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色んな意味で黒い本。

新しい朝は希望の朝なんですって。知ってました?


おはようございます。杉崎璃桜すぎさきりおう異世界三日目の朝です。


そういえば何故名前をリオにしたかというと、リオウって発音できないと思うの。だから最初から省いてみた。あの、名前のやり取りに萌える皆様にはごめんなさい。何度となく異世界トリップにおける名前の発音のやり取りに、ちょっとイラッとした私です。



今朝も特にさしさわりのない話しをして朝食を終えました。ウリセスの尊顔を見ても動じなくなってきました。


三日たち、慣れてきました美形顔。(一句)


さて、今日は昨日ヨアキムーエキスパートな司書ーに預けた『黒の総本』を読むべくさっさと図書室へ。


図書室は大きなホールまるごと一つだけど、室内から移動できるので外へ出る必要はなく、そのうち風と光に当たらないと私の光合成の心配がーいえ、精神的な何かが崩れてくるのではないかと。


部屋の小さな窓から見える景色からは街が見えません。どうやら私の部屋は表ではなく裏に位置するようで、聞いた話では東南から見下ろすように街が広がっているそう。


ええ。

未だに、部屋と図書室と朝食を摂る部屋にしか出入りしていません。

それ以上の移動が無理かといえば、可能ではあるができる限り深入りしたくない、というのがあるのと、屋敷を覚えて出入り口を覚えたところで逃げられないだろうな、というめんどくささからそのままになっている。


ひとまず私のやるべきことは、『黒の総本』を読むこと。それからまた判断すればいい。





ヨアキムは私に気づくとすぐに椅子へ案内した。


今気づいたことだが、この席はほのかに窓からの光で明るく、けれど直射日光ではないので本が読みやすいということだ。


ヨアキム、侮れない。



用意された『黒の総本』をじっと見る。


表面の皮は随分古く、『黒の』というだけあってすべてが黒い。中の紙まで黒いとはどういうことだ。


表紙を開く。



『黒の総本』


「!」タイトルの横にじわり、と文字が浮かんだ。



『残念ながらユーザーの魔力レベルが測定出来ません。この総本は、一定の魔力を持つ人間もしくはそれに順ずる者に開かれます。』


『何かの間違いで手にしてしまわれたそこのあなた、あなたには無用の産物です。どうか、正しい所有者へお返しください。返却先はXXX-XXXX-XXXXX』



「破ろうかしら。」ふざけた内容だ。しかも返却先の番号は王宮になっているところが芸が細かい。


ぱらぱらとめくると、真っ黒い何も書いていない紙が続いている。


「これ自体が意思を持っている?・・・なら燃やすと脅したらどうする。」


『呪われますよ。』


ご丁寧に、返答が来た。


ぐっ、と表紙を掴む手に力が入る。



「どうかしましたか?」ヨアキムが声をかける。


「これを開いて、何が書いてありますか?」私以外の人間が触った場合はどうなのか。ヨアキムに開いてもらった。


「はあ、・・『黒の総本は黒の術師のみに開かれる、力無き者、色の無き者はね。』・・ですが。」




何だ、その差は!!!!



もう一度本をひったくり、表紙を開こうとして、ふと思い、裏表紙を開く。


『誰にでもできる簡単な黒の術の使い方入門』

『発行:天に赤竜舞う月59日』

『発行元:エクセレントでゴージャスな黒の術師初代』

『乱丁・落丁なんかあるわけないでしょ馬鹿じゃないの』





脱力。




「・・・リオ様、大丈夫ですか?」ヨアキム、今はそっとしておいてくれないかな。


何だかとっても疲れたんだ。





本を読むことを諦めた私は、庭に出て良いかとウリセスに聞いた。



「それで、リオ、本は?」



何で、こうなるかな。


はい。ただいま庭を東屋へ向かって移動中です。シンメトリーな庭園は緩やかに計算された傾斜があり、イングリッシュガーデンとも呼べるものだった。

外に出ると鳥の声や水音、風が葉を揺らす音が聞こえて、ささくれだった気分を撫でてくれるようだ。

ただ、何でウリセスが一緒にいるのかな。


「駄目でした。何ですあの変な本。」


「変?」


「あの本、ヨアキムと私では違う言葉で表示されます。」そう言っておおまかな内容をウリセスに言えば、彼は少し考え込んでいる。


「本来なら、髪を染めていようと、属性が遮られたり抑えられたりすることは無い。」


「なら、私にはやっぱり・・」関係ないのだと言う前にウリセスが遮った。


「いや、リオの場合はやはりその髪が影響しているのだろう。明日にはわかる。」ウリセスの言葉に小さく溜息をつく。


「最も・・・本来ならばなどと私が言えることではないがね。」ウリセスがやや自嘲ぎみに言う。


「どういうことですか?」


「少し、長くなる。」そう言って彼は東屋のベンチにハンカチを敷いた。私はそれに促されその上に座る。



こうしているとまるで彼と長い間一緒にいるかのように錯覚を起こすが、まだ彼とは出会って三日しか経っていないのだ。信用してはいないはずなのに、何故こんなにも慣れてしまっているのだろう。


その答えがわかるのはまだずっと先のことだった。



ちょっと半端ですが、続きます。

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