重すぎる過去
「ミオは良かった。戦争知ってたからな。本当に愛国心あるっていうか、愛があってさ。で、決めたんだ。次に喚ぶのは、女性にしようって。」
「で、私ですか。」五代目はどんな人だったんだろう。同じ女性で、ここへ来て、日本へ帰った人。
「何かを生み出すのは女性だ。俺の見えない未来まで生き抜けよ、リオ。そのためにお前を喚んだ。目的が終わればお前を帰すもよしこの世界に残るもよし。まぁ残ったら【魔法使い】と強制バトルだけどな。」
「ミオに協力してもらって、キメラを生み出した。罪悪感?そんなものあるか。所詮弱者は強者に阿る。どれだけ【魔法使い】と戦おうと、どれだけこの世界が戦をしようと、関係ない。俺たちの世界じゃないからな。…まぁそう睨むな。俺にだって、多少の思い遣りはある。」
「ウリセスはそのことを知っているんですか。」
「いや?あいつは、何か鈍くさくてなぁ。あの歳で独身てありえないだろ?お前嫁になってやれよ。良かったじゃねーか歳の差があんまり気にならな…痛っ。叩くな。」
「歳のことは言わないでください。」声にドスが効いたのは仕様です。
「…失礼しました。」
「まぁ、そんなわけで、お前はあいつと強制的だが戦うことになるわけだ。ま、今の所は俺が助けてやるから大船に乗っとけ。」
いや、全然安心できないんですけれども。
で。
結局、過去と置かれた状態がわかったところで、目の前の問題は解決していないわけで。
「どーしろって…?」
本を閉じると初代は消えた。
正式契約したので、禁書の中の本もこの『黒の総本』で見えるようになって
いるらしい。
ただし、やっぱり使える術は限られているけれど。
明日から初代が訓練してくださるそうですが、とっても憂鬱です。
嫌だと言ったら、
『じゃーお前、帰れなくてもいいのか?俺はどっちでもいいけどなー。あと、今のままじゃ【魔法使い】に殺されるぞ。間違いなくな。』
7歳年下の外見の男は、そんなことをにべもなく言い放ちました。
普通、異世界トリップって、その世界を平和にするとか、冒険するとかだと思うわけですよ。それが何でしょう。
日本が関わってくるなんて。
あんまり考えたくないんですけど、勇者とか救世主とかいうポジションに近くなっている自分がとても嫌です。
『あの男があの力を手に入れれば、間違いなく歴史が変わるぞ。それは防がなくてはならない。』
初代は、やたら歴史に詳しかったです。
トリップ体質のうちに詳しくなっていったそうです。原首相暗殺事件なんて知りませんから。はらたいらなら知ってますけど。その暗殺にも絡んでいたとか無いですよね、やめてくださいね。そんな重い人勘弁してくださいね。
『容疑者ではないが、何らかの関係はしていた可能性はある。』やめてー。いやもう、勘弁して、許容範囲超えました、きっちり、はっきり、ボーダーを越えて行きましたよ!高々と!
『行き過ぎた国粋主義者の考えなんぞわからんが、恐ろしいのはあいつが未だ自決していないということだ。つまり、あいつは未だ俺の術を狙っているし、この世界に潜伏して機会を狙っている、とも言える。日本へ帰れないとわかった時点で死を選んでいないのなら、確実に狙いは俺だな。―つまり、お前だ、リオ。お前の持つ『黒の総本』にすべてがある。それは奪われるなよ。最悪、燃やしてもいいが、そうなるとお前は俺のサポートを受けれなくなる。一人であいつと向き合わないといけないから、俺としてはお勧めできない。』
「……ばっかやろー……」
初代の半生とかは本になりそうだなと思ったけど、そこへ自分が絡むなんて予定外でした。
「重いです…」この重圧をどうしてくれよう。
「リオ様ー!!でっきまっしたぁーーー!!」甲高い声が頭に響く。やめて。今やめて。アリッサが突入してきました。
「完璧ですっ………」アリッサが感極まってまた涙している。うん。わかった。あなたの仕事は素晴らしい。ウリセスに給金上げてくれるよう頼んでみようかしら。
「ん。いいみたい。動きやすい。」そう。ようやくドレスひらひらからおさらば!パンツスタイルです。
ジャケットは長めでコートっぽくなっていて、腿まである。前で止めるボタンはダブルで腰の下から左右にジャケットが開かれている。ベストは薄めで着心地もよく、パンツも動きやすくて問題なし。靴はショートブーツしか用意できなかったというので、特にかまわないと言った。
「じゃあ…行くかなぁ…」どんよりした気持ちで部屋を出る。
「リオ様?どちらへ…」
「ん…ウリセスのとこ…」とりあえず、なんか、すっごく謝りたい気分だから。ああでも、
そんなの知るか。
って言われたらどうしよう。私が言いたい台詞なんだけどね。
そして、四代目にそそのかされた人物がいるはずなんだろうけど、そちらは全く進展無しだしね。
あと9日と半日。
エリスさんは部屋を出た広間に居ました。
何でいるのかな。
「どちらへ?」
「ウリセスのところへ。」見るからに魔法使いらしくない。秘書っぽい。この人が本能的に私を襲うのか。できれば戦いたくないなぁ。
どんよりした気持ちのまま、ウリセスの部屋へ向かった。
※表示がおかしかったので直しました。




