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big dream  作者: 胡桃
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過去


私がシンガポールに来たのは中1の秋。

初めての転校だった。

新しいクラスに海外生活、共学学校…

早くシンガポールに行きたい!

そう思っていた。


しかし、私の期待は崩れるようになくなった。

馴染めないクラス、地味な友達、打ち込めない部活。

この学校での生活が大嫌いだった。


そのうえ、日本人学校だったため、校内は日本国内同然。

このままでは海外に来た意味がないと父親に語学学校を迫られ

いっそ日本に住んだままの方が良かったといらない後悔をしていた。

シンガポールに来る前のウキウキ気分の自分が憎らしく、

今の自分がみじめだった。


その時気付いた。

こんな私を受け入れてくれた、

仲よくしてくれた愛原中のクラスメイト、部活友達の大切さを。

今更気づいても遅かった。

彼女たちと楽しく話すことが、歌うことが、私にとってどれほどの心の栄養だったのか。

そしてまた自分の行いを悔いた。

なぜシンガポール行きに反対しなかったのかと…。


クラスメイトの色紙をみて、部活仲間の寄せ書きをみて

何度涙したことだろう。

泣いて泣いて泣いて気付いた。

このままじゃ絶対後悔する。

このままじゃ中学校の思い出は後悔の連発になってしまう。

後悔しないためにはどうすればいいか…

「日本での生きる糧であった大好きな学校、コーラス部を取り戻せ」


そう…それだ!

以降、当時の私の夢は日本に帰国することだった。

帰って、大好きな学校で勉強して、大好きな部活で大好きな仲間と合唱コンクールに出ること。

中2と中3の間の春休み、人生で初めて私は夢をかなえた。

見事、帰国。

私は祖父母の家に住むことになった。


「要は逃げ出したかったんでしょ?」とお考えになったかもしれない。

いやいや、そんなことはない。後から考えればシンガポールではいい経験もできたし

友達だって中2になって増えました。

それに、自分のやりたいことを胸にしまっておく方が弱いでしょ?

挑戦しない方が弱いでしょ?

自分のやりたいことがあるのなら

自分の弱さを飲み込んで自分の意志貫く方が楽しいしカッコいいと私は思う。

親元離れる不安はあったけど自分の夢のためならそんなのどうだってよかった。


そんなこんなで私は晴れて4月1日久しぶりに日本の地を踏みしめた。

春なのにそれはそれは寒い日だった。


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