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パリの京都人 京都のおばちゃん、おフランスを旅行します!  作者: 鷲生 智美


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3/17

第3話 観光のスタートはやっぱりモナリザでしょう!

 フランス旅行、昨日帰国しました。

 このエッセイはフランスで書く予定でしたが、毎日疲れて帰宅して夜も早く寝るので、その日はXを更新するのが精一杯でした(Xの記事はコチラ→※1)。


 今日から、記憶が薄れないうちにせっせと探訪記を書いていこうと思います。


 さて。時間を巻き戻して、パリ到着後の翌朝。

 この日からパリ観光スタートです。

 そりゃもう、最初はルーブルに行ってモナリザですよ、当然w


 この「最初はルーブル」。

 実は出発10日ほど前まで、コレが実現可能かどうか怪しかったw


 ご存じの方も多いと思いますが、ルーブル美術館に泥棒が入り、しばらく休館してたんです。

 これが長引いたら、鷲生もルーブルに入れないところでした。

 出国前に、再オープンしてくれて心底ホッとしましたよw


 しかし、それ以外に、懸念事項はありました。

 人が多すぎて名画が鑑賞できるかどうか。

 ルーブル美術館には、年間1000万人もの人が訪れます。

 単純に日割りで一日3万人以上。

 ちょっとした自治体レベルの人がやってくるのです。


 そのルーブルへの一日平均3万人の訪問客の中で「モナリザ」見ない人なんて、まずいないわけで。


 そんな中で、鷲生はちゃんとモナリザの前にたどり着くことができるのか、出発前から見られるのか気をもんでおりました。


 同じ混雑でも、今年の初夏に日本の大阪市立美術館で万博がらみで開かれた「日本国宝展」では、「委奴国王」の金印が展示されていて凄い人が殺到してたんですが、その際には見学者が並んで見るようにルートが設けられていたんですよね。


 ところが、事前に調べたところでも、また一足先に今年の夏にルーブルを鑑賞してきた家人の話でも、モナリザの前だからといって、並んで順番に見るというシステムにはなっていないとのこと。

 無秩序に人がたかっているだけだとか。


 そんな中で鷲生が最前列まで人混みをかき分けて前に出ることができるでしょうか。

 こんなに大人しくて気弱な鷲生が……(本当かあ?w)。

 せっかく大枚はたいてルーブル美術館にまで来たのに、他人の背中でモナリザが見られなかったらどうしよう……。


 せめて開館してすぐの時間帯なら人が少ないからと思い、予約は一番早い9時で取りました(2回行くのでそのどちらも)。


 もちろん15分くらい前にはルーブル美術館の入り口に行きましたが、開門を待つ行列がずらり。しかも、鷲生は地下の入り口にいましたが、あの有名なガラスのピラミッドの地上入り口にも並んでいる人はいるでしょう。


 はたして。

 開場した瞬間から結構な人が中に入ります。

 そしてたいていの人はモナリザに向かいます。

 まあ、その人の流れ+美術館の案内板に従っていれば、ほぼストレートにモナリザの部屋まで行けたのでそこは助かりました。


 もちろんモナリザの前にもすでに人だかり。

 その人々の向こうにモナリザが小さく見えます。


 さあ、鷲生はこの人の壁を越えて、モナリザと対面が叶うのか......。


 結論から言うと、その点は大丈夫!

 お客達、皆さん、自分が見終えたらさっさと後ろにさがって場所を開けてくださいます。

 なんか、やたら回転が早いので、人垣の外からでも順当に前に進んでいれば最前列に出られます。

(そのモナリザをふくめ、今回のルーブルで撮影した写真をnoteに投稿しております※2)


 たとえば、 日本の、首都圏の通勤電車が激混みじゃないですか。

 あれでも乗ったり降りたりできるんですから、モナリザの前の人混みくらい楽勝ですよw


 そうそう、それに、その最前列の範囲も広いんです。


 といいますのは。

 モナリザ自体は割と小さな絵ですが、それを多くの人が最前列で見られるように、円弧状の柵があります(ほかの人のブログを眺めていると「防犯上」という面もあるようです)。

 モナリザから1,2m離れて木製の柵がありますし、鷲生が行ったはさらに2メートルほど外側にロープで円弧状のに立ち入り制止のラインが定められていました。


 だから、長さのある円周上の最前列には比較的容易に出られます。

 真正面はやや混みますが、それでも、上述のように回転が早いので、そこを目指していればそんなに待たずに出られます。


 円弧上の立ち入り制止があるおかげで人にさえぎられることなくモナリザを見ることはできますが、実物よりやや遠くからしかみられないのはちょっと残念。


 ただ、写真を撮るならズームで撮影できますし、これが目的なら全然問題ないです(この点、別の記事で触れようと思います)。


 肉眼でも、絵の全体像が程よく鑑賞できる距離ではあるかと思います。


 そ・し・て。

 鷲生は、ふと思いついて、日本で購入した単眼鏡をフランスにも持って行ってたんですよね。

 これは2025年に大阪万博記念に関西のあちこちで日本の名宝を展示する展覧会が開催されていたのでそのために購入したのですが(その経緯はコチラ→※3)。

 別の記事でも書きますが、パリでも大活躍したのなんのw


 このモナリザも、単眼鏡でじっくり隅々まで見れました。

 人混みの最前列でもしばしの鑑賞時間はとれましたし、人混みの後ろに下がっても単眼鏡の焦点を合わせればちゃんと見えます。


 ルーブル美術館も人混みからよく見えるように計算しているのか、絶妙な高さに展示してあります。

 最前列で見ても見上げるほどではなく、それでも人混みの後ろから人々の頭越しにだいたい見られます。

 それから鷲生は身長165㎝で、日本人女性の中では背が高い方で、これくらいあれば十分周囲に埋没しなくて済みました。


 さて。じっくり見たその感想は......。


 頭の中にあるイメージよりも「細面」かな、と。


 漫画で『エロイカより愛をこめて』という青池保子さんの人気作品があります。

 美術愛好家のエロイカと、彼を毛嫌いしつつも何かと絡まざるを得ないNATOの情報将校のエーベルバッハ少佐が登場します。

 そのエーベルバッハ少佐が芸術音痴で、「モナリザ」を「太った三段腹のオバちゃん」と形容するのです。


 実は鷲生は25年前にも一度モナリザを見たことあるんです(オランダに住んでいたのでフランスまで鉄道タリスで旅行に来ました)。

 そのときもエーベルバッハ少佐の「太ったオバちゃん」評については、「そうだよね」くらいにしか思いませんでした。


 ともあれ、モナリザは丸顔というイメージがあったところ、今回は細面に感じたのでした。


 あと、西洋人女性がモデルなんだからそりゃ当然彫りが深いんですが。

 今回単眼鏡で鑑賞すると、陰影(明暗)のコントラストが、鷲生の中のイメージより強いように見え、いっそう彫りの深い顔立ちだと思いました。


 だから、モナリザという女性がわりとシャープな人物に見えて、それだけにその「謎の微笑み」のミステリアスさがより深く醸し出されている感じ。


 あと、行く前に予習していた本では、「組まれた手に注目」というアドバイスがあり、そこもちゃんと見ましたよw

 完璧主義のダヴィンチはもう少し描きこみたかったようですが、優美な、流れるような指の姿でした。


 25年前にモナリザをじかに目にしたときには、以下のようなことをいささか驚きをもって感じたものです。


 ほら、モナリザって、ポスターとかグッズとかあちこちでその画像を見かけるじゃないですか。

 それを前提にしたパロディさえ既に陳腐に感じるほど、私たちはその複製品に慣れ親しんでしまっています。


 なんかそういう有名作品って、目の当たりにしても「あ、今までどこかで見たのと同じ」と単に「再確認」で終わりがちなところってあるかと思うんです。


 だから25年前の鷲生も「モナリザなんて複製品を腐るほど見てるから、そんなに感激しないだろうな」とナメていたのです。

 ところが、実物を見ると「やっぱ、ちゃうわ。迫力あるわ。オーラがある!」と、そこに大いに感動したものです。


 鷲生は若いころ、働きながら放送大学で勉強してた時期があるんですが、その中の美学の講義で、ベンヤミンやアドルノの「複製芸術」や「アウラ(オーラ)」についての話を聞いたことがあり、それをしみじみ思い返していました。


 今回の訪問でも「やっぱ、本物はええわあ」と思いましたよ。


 さて。

 今回の旅行で、鷲生はルーブル美術館に2回訪問する予定を立てていました。

 1回目、パリ観光の初日の午前に、とりあえず「ルーブル美術館ならコレ!」というのをチェックし、そして金曜日(普段は18時までなのが、夜の21時半まで開いている)に一日をかけてみて回ろうというものです。


 ルーブル美術館は広大で、全館をじっくり見れば1週間はかかると言われています。

 もともとは宮殿で、大きく3つの部分に分かれています。

 最初に建てられたのがシェリー翼という中庭を囲む四角い宮殿で、そこから二つの腕が延びるように、細長いリシュリュー翼とドュノン翼があります。


 幸い、ルーブルゆうたらコレ!な「モナリザ」「ミロのビーナス」「サモトラケのニケ」はドュノン翼に(比較的)固まってくれています。

 この日はこれらを中心に見て回りました。


 実は、この記事では今まで延々モナリザの話を書いてきましたが、入り口からモナリザに向かう階段にサモトラケのニケがいたんですよ!


 25年前も思いましたが、巨大な大理石の塊なのに、動いている一瞬を閉じ込めたかのような躍動感!

 すっばらしいです!


 大理石の塊だというのに(くどいw)、活き活きと衣がたなびき、翻っているので、吹き付ける風の存在が感じられるほど。


 宮殿の階段にありがちな、下から広い階段があり、広々とした踊り場から左右両側に階段が延びるという空間の、その踊り場に据えられているので、左右と正面、いろんな高さから鑑賞することができます。


 そこから、下に降りて、ミロのビーナスを見ました。


 25年前に見たときはどっしりした体格だと思ったんですが。

 まあ、日本人はこういうしっかりした体格の人はあまりいないし、いても美しいと芸術の対象にはならないですからね。

 だから、当時はガタイの良さに驚いたのです。


 ただ、今回は記憶していたよりは、ほっそりしてるかな、と思いました


 また、写真と違ってこうして周りをうろうろしながら鑑賞していると、思ってた以上に体がひねられている……いや、左足が結構前に出ているんですよね。足の動きに連動して上半身も動いている感じ。


 あと、予習してた本では額から鼻先までのまっすぐなラインが美しいとありましたので、それも見てきました。


 少し離れた場所から見ると、全体のバランスも良く、やっぱり名作ですよねえ~。ふう。


 こうしてサモトラケのニケ、モナリザ、ミロのビーナスのルーブル三大至宝をちゃんと見られたので、午前中かけてドゥノン翼近辺をウロウロしていました。


 彫刻ではミケランジェロの「瀕死の奴隷」と、「抵抗する奴隷」など。

 たくましくも、怪しいほど美しい。

 男性の肉体美を感じさせるのが、やはりミケランジェロですね!


 それから鷲生の本来の好みではないですが、「アモルの接吻で蘇るプシュケ」の洗練された、完璧な造形。

 彫刻家が計算し尽くしてのこの姿でしょうし、そこに作為的・人為的なわざとらしさの臭いはプンプンするんですがw、それだけに「何も足せない、何も引けない」という何らかの完成の頂点を極めてる感はあるんです。


 いくら鷲生が「こんな甘ったるい作風って好きじゃない」と思っていても、悔しいけど「うーん、美しい」と唸らざるをるを得ません。

 いや、まったく好みじゃないんですけどw こんちくしょーw


 それから、また階段を上がってモナリザのあるあたりに行こうとして、うわあ!と思った部屋が。

 チマブーエ、ジオット、フラアンジェリコの、ルネサンスの黎明期の画家の作品が同じ部屋にどーんと!

 それぞれかなり巨大な絵画です(もっと小さいと思ってました)。

 この辺の時代の絵画を鷲生はありがたいと思うので(カトリック信者ですし)、そりゃもうニコニコと笑顔で見て回りました。


 そこからイタリア絵画が並ぶグランドギャラリーへ。

 モナリザ以外のダヴィンチもここにあります。


 ラファエロ、カラヴァッジョなどもさりげなく展示されてます。


 ラファエロの同じ画題の作品の中でも優美なものの一つ、聖母マリア様と赤ちゃんの イエス様と聖ヨハネの絵(ルーブルのそれは「美しき女庭師」と呼ばれてます)。

 その前で自撮りをした鷲生。ええ、我ながら厚かましいと思ってますともw


 残念だったのは、グランドキャラリーの奥の奥、スペインの絵画があるはずのエリアの手前で封鎖されていて見られなかったこと。

 まあ、仕方ないですね......。


 そこからグランギャラリーとは反対側にあるフランス絵画などを見て回りました。

 ほら、あのドラクロワの「民衆を導く自由の女神」とかですよ。

 美術の教科書だけでなく、世界史のフランス革命のページに載ってたりなんかするアレです(言うて、この絵の主題はアントワネットが処刑されたときではなく、そこからやや時代が下がった別の段階の7月革命なんですけど)。


 この部屋にはダヴィッドの「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」もあります。

 これも、世界史の教科書のナポレオンのところで掲載されているかもしれません。

 ナポレオンのもとで主席画家だったダヴィッドがこれを完成させてナポレオンがそれを見たとき、ナポレオンが帽子を脱いで画家に一礼したというエピソードをどこかで読んだ気がします。

 そりゃあ、これだけ荘厳に描いてもらったら、皇帝も脱帽しますわなぁ~とw

 すっごい力作です。


 なお、ルーブルではこの絵の反対側の壁がここの絵画のぶんだけ鏡になっていて、鏡写しになった状態も見られましたw


 あと、この日はゴヤも見ましたし、ちょっと離れたところにありますが(シュリー翼の上の階)、フェルメールの「ボビンレースを編む女」も見られました。


 また別の記事に書きますが、この辺は人がいなくてガラガラ。

 ここらあたりのトイレもがらスキで、穴場ですw


 駆け足でしたが、ルーブル美術館で最低限抑えておくべき作品が見れてとーっても満足でき、幸先の良いスタートとなりました。


 で。

 次は午後2時に予約入れてたオランジュリー美術館へと向かいます!


 あ、そうそう。

 盗難事件のあった「アポロンの間」。

 この日ウロウロしてたら、本来そこに入る扉の前に出ました。閉鎖されてましたよw(前景のnote記事の最後にその写真があります)。


*****


※1 https://x.com/washu72802210/status/1983603238495776967

   https://x.com/washu72802210/status/1983604341060915682


※2 「パリ観光の1日目午前はルーブル美術館に」

https://note.com/eagle9052/n/n2ce399bd0ff4


※3 ミュージアム巡りをより深く!より快適に!

https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16818622176662331079



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