第2話 パリの皆さん、なんかやたら親切なんですけど⁈
なんか、行きのフライトで気持ちが沈んでたんですよ。
機内で何もすることがないので自分の人生を振り返ってたりしてたのもよくないんでしょうけど、フランスに降り立ったところでその先が怖くて怖くて気が重かったんです。。
自分で行きたくて計画した旅行ですが、なんか「帰りたい」(←「行き」のフライトですw)、「こんな旅行しなければよかった」と後悔している始末。
だって、旅行ガイドとか情報を調べれば調べるほど、日本人は安全神話に守られ過ぎでボケっといてる、だから犯罪に巻き込まれないよう注意しろと言われますし。
家人も口を酸っぱくして「気を付けてね」と言いますし。
実際、シャルルドゴール空港で”Taxi?”と声をかけてきた人たち(2人くらい)は、あかららさまに胡散臭そうでしたしね……。
もちろん目も合わさずに”NO”っつって、首を横に振ってスタスタ歩き去りましたけど。
しかしながら、その後、なんか皆さんに親切にされるんですよ。
まず、空港から高速郊外鉄道RERのB線に乗るんですが(治安悪いと日本での情報でビビってたんですが)。
先にいたムスリムのご夫妻(スカーフ巻いて大きなスーツケースを持ってました)が、鷲生が通れるように道を開けてくださいましたし(鷲生も大きなスーツケース引いてました)。
次は、RERのB線からD線に乗り換えるとき。
鷲生は椎間板ヘルニアの既往症があり、最近は股関節もちょっとすり減っているので重い荷物を持って階段を上下したくはなくないのです。
だからRERのB線からD線に乗り換える駅にエレベーターがあって心底ホッとしたんです。
ところが。
鷲生がそのエスカレーターに乗ったら、ガコッって突然止まったんですよ!エスカレーターが!
もうどうしていいか分からなくて。
仕方ないので、止まったエスカレーターをスーツケース持ち上げて(12.5㎏ありました)昇ろうとしたら。
後ろから来たお兄ちゃんが、何か話しかけてくれて。
どうも持って行ってくれるようです。
まー12.5㎏のスーツケースを盗む人間もいなかろうとお願いしたら、さっさと持って上がって、上り終えた所でさっと置いてスタスタと立ち去ろうとして……。
とーっても有難かったので、わりと大き目の声で「サンキューソーマッチ」と「メルシーボクー」って言いましたよ。
本当に嬉しかったです。
(まあ、止まったエスカレーターで立ち往生されたら、後続の人が困るからっつー理由かもしれませんがw)。
それからホテルの最寄り駅で道に迷いつつ、ヒィヒィ言いながらホテルにチェックイン。
その日の夜と翌朝のための買い出しに最寄りのスーパーへ。
無人レジがあったので、他の人が使ってるのを見て鷲生もトライしてみることに。
モニターが英語表記にできるので助かったんですが、一つバーコードを読み取ってくれないものがあってもたついてたら、入口にいた係員がすっ飛んできて「これは隣のQRコードを読み取らないように隠してスキャンしてね」と助けてくれました。
まあ、他のお客さんにもそうですし、3台ある無人レジ専用の係員かもしれませんが、口調が柔らかいので、なんかホッとしました。これから6泊お世話になるところですしw
そして。
パリの人って親切だなあと思った、極めつけの出来事はメトロの改札。
交通カードにチャージしたはずなのに改札が通れない。
ちょっととまどってただけだったんですが、そこにフランス人の初老の男性が一生懸命話しかけてくださいます。
全部フランス語なのでさっぱり分からないんですけどw(鷲生の第二外国語はドイツ語でした……)。
それでも、その紳士。
自分のスマホを取り出し、このチケットが有効かどうか分かるアプリかなんかを起動して自分のと鷲生のとをやってみせてくれ、結果、鷲生のカードにはチャージが必要だということが分かりました。
その間、改札から外れた所まで一緒に移動して、自分の持ってた紙袋を地面において。
本当にお世話を焼いて下さり、有難いやら申し訳ないやら。
そして、駅員さんを見つけて、引継ぎまでしてくださったんです。
──解決しなくて、結局、別の改札まで言ったんですけどね。
そして、もう一日経過して思うに、鷲生がチャージするときの交通カードを
機械から離すのが早くてチャージができてなかったのが原因だったと思います。
まあ、結果はともかく、お気持ちが嬉しいじゃないですか。
そして。
心優しさは、別に旅行者の鷲生に対してだけではありません。
朝に買い物してたら、同じく無人レジにいた女性がスーパーを出たところで、通りに座り込んでたホームレスらしき男性に、お会計していたバナナとサンドイッチを差し出していらっしゃったのです。
そういえば。
鷲生が奈良にいったとき。
近鉄奈良駅のローソンから出てきた外国人観光客が、座っていたホームレスにサンドイッチを渡してらしたんですよね。
なんか、奈良公園の鹿を外国人観光客がいじめるとかなんとか言う人がいますけれど、鷲生は見たことないですし、それどころかこんな親切な外国人観光客もいらっしゃるんですよ。
この旅行が終われば、鷲生は京都での日常に戻るわけですが。
京都に戻ったら、外国人観光客を助けられる人間でありたいと、しみじみ感じているところです。




