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パリの京都人 京都のおばちゃん、おフランスを旅行します!  作者: 鷲生 智美


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11/17

第11話 まだまだ見どころいっぱい! (1) ルーブル美術館で丸一日(4)

 今回もルーブル美術館の探訪記です。

 なにせ9時開場とともに入館して1日過ごす予定でしたので。

 今回の記事を書いているあたりで、午後のお昼過ぎから夕方にかけてです。

 

 ちなみに。

 この時点でまだお昼ご飯食べてません(泣)。

 ルーブルでは基本飲食禁止であり、館内のレストランやカフェを利用しなければなりません。

 一方で、鷲生が一人で飲食店に入るのが苦手&お値段的に入れるカフェが、この時点でウロウロしている場所からは離れた場所にあったのです。

 それに、お昼時に行ったところで満員で並ばなければならないでしょうから、ご飯は後回しにしました……。


 さて。

 前回はフランス絵画史(革命前まで)に残る絵画をご紹介しました。

 今回は、それ以外……の予定でしたが。


 今回の記事の写真もnoteに投稿しておりますけれど、最初の1,2枚はフランスの革命前の絵画です。

 noteの写真の記事はコチラ↓

https://note.com/eagle9052/n/n5c793eac2c45


 1枚目のは、画風から判断して、てっきりフランドル地方のものだとばかり。

 いや、この絵画(「パリ高等法院のキリスト磔刑」)、描いた人はフランドル派なんですが、パリ高等法院のために描かれたそうなので、うーーん、フランス絵画ってことなりますかね……。

 当時の「国家」や「国民」の認識は、近代以降の国民国家成立以降とは違ってただろうと思いますが……。


 2枚目は、フランス画家のもっと時代が後の作品だと思いこんでいたんですが、17世紀フランス人によるもの。

 なんか、後の時代の部屋にあった記憶があったんですが(そして、革命後の写実主義につながる立ち位置の絵画かなと思ってました)。

 ナン兄弟の「農民の家族」です。

 鷲生が「写実主義の時代の?」と感じたように、とても誠実な筆の運びではないかと思います。


 さーて。

 3枚目はルーベンス。

 ルーベンスっつーたら、大作。

 工房でじゃんじゃん大規模絵画を生産しまくっていたので、ヨーロッパのあちこちの美術館にルーベンス(とその工房)の大作がかかっています。

 ルーブルでは、「マリー・ド・メディシスの生涯」の連作です。


 マリー・ド・メディシスはフランスの王妃様です。


 鷲生がエッセイでフランス史をざっくりまとめておりますが、恋多き「王妃マルゴ」の夫だったアンリ4世が、愛人のガブリエル・デストレを失った後で、マルゴとの離婚が成立し(カトリックなので「婚姻の無効」)、そして再婚したのがマリー・ド・メディシスです。


 マリーも政治に乗り出しましたが、名君の誉れ高いアンリ4世とは反対方向の行動が多く、あまり歴史的な評価は高くないようで……。

 自分で自分の生涯をルーベンスに描くように命じ、ルーベンスが神話になぞらえて24枚の連作にしましたが、現代の美術史家の先生曰く「まー、依頼を受けたプロの仕事だねw」という、苦笑が見えそうなコメント。

 クライアントの気に入る絵を描くのも大事なことだったんでしょうw


 次に鷲生が写真を撮影した絵は、夜空に浮かぶ月が、池の水面にも映っているという絵です。

 誰の作品だろう?と思って解説プレートを見ると、「ルーベンス」。

 へえ? あんまりルーベンスっぽくないけどなあ?

 そこはちょっと意外でしたが、全体として雰囲気のある夜空の表現に惹かれてカメラに収めてきたのです。


 今、調べてみると、これはもともと別の作家の作品の絵を、ルーベンスが模写というか引用というかしたもののようです。

(ルーブル美術館の解説はコチラ→※1)


 その元ネタの作品は、エルスハイマーという画家の作品「エジプトへの逃避」で、ドイツのミュンヘン(アルテ・ピナコテーク)にあるのだとか(※2)。


 鷲生は、ルーブルで美術館賞をするお客さんが少ないことをこのエッセイで繰り返し指摘しており、名画の前を素通りする人は絵画鑑賞の知識が不足があるのでは?と偉そうなことも書いてますがw 鷲生も知らないことはいっぱいです。

 アルテ・ピナコテークに1度行ったことがありますが、言うて25年も前のことで記憶がありません。

 この円安では今後渡欧もむつかしいでしょうし……日本に来てくれないかなあーと願っています。


 ルーベンスの次は、そのお弟子さんだったファンダイク。

 イギリスにわたって、イギリス上流階級の肖像画を描いています。


 鷲生が若いころから持ってる西洋美術史の本『美術の歩み』(ゴンブリッチ著)に出てくる、「チャールズ1世の肖像画」。

 てっきりロンドンにあるものと思っていたので、ルーブルで出くわしてちょっとびっくり。

 ええ、記念撮影してきましたともw


 そして、ここからはネーデルランド。

 フランス・ハルスの「ジプシー女」と「リュートを弾く道化師 」

 フランス・ハルスは笑顔を描いた作品が多いです(アート業界を舞台にした漫画『ギャラリーフェイク』でも「笑顔の画家」と呼ばれていたような)。


 ルーブルの話でなくて恐縮ですが、家人の仕事の都合で何回か言ったことのあるアムステルダム国立博物館の「陽気な酒飲み」は鷲生の大好きな絵の一つで、ほんま、酔っぱらったオッちゃんが「よぉ!」と声をかけてきているかのような、そんな声が聞こえるような活き活きした絵です。


 そして、フランス・ハルスがあるなら、当然レンブラントも!


 ルーブルには『ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』があります。

 画題は、ダビデ王に見初められた人妻バテシバ。

 ダビデ王は夫を死地へ追いやります。


 いかにもレンブラントらしいドラマティックな光の当たり方。

 その中に浮かぶ、豊麗な女性の体、そして運命に翻弄され、内面に葛藤を抱えてるバテシバの表情。

 また、鷲生が予習した本では指先の力の入り具合に揺れる感情が表れているという指摘もありました。


 で。

 このエッセイでさんざん書いてきましたが、やっぱりここにも人がいないw

 この一室には他にもレンブラントがあるですけどーっ!


 レンブラントといえば自画像をたくさん書いた人で、ルーブルにもあります。

 そのうちの1枚。

 標識プレートに”bareheaded”(無帽の)とあるのを、鷲生が「ハゲ」と勘違いし(「むき出しの頭」から「ハゲ」を連想しましたw)、「つるっぱけじゃないけど、まー、だいぶ後退してるしなー」と思い、なんかの笑いのネタに写真を撮ったのですw

 ごめん、レンブラント……。


 ルーブルにはもっと年老いた頃の『画架の前の自画像』があります。

 帽子をかぶっているので、ハゲかどうかわかりませんw


 ネタにしてしまったので、レンブラントの名誉のために言い添えますと。

 鷲生はやはり20年ほど前にロンドンのナショナルギャラリーに行って、レンブラント最晩年の肖像画の一つを見て本当に感動したことがあります。

 あれだけ規模の大きな美術館の、あまたの作品の中で最も印象が鮮烈で、鷲生の絵画鑑賞歴でも一番感動した経験です。

 これを語りだすと長くなるので、また別の機会に……。


 それから、ルーブルには「エマオの晩餐」がありました。

 鷲生がプロテスタント教会に所属していた時、会報に掲載されていた絵です。


 そして、レンブラントがあるなら、もう一人のオランダの超有名画家フェルメールもあります。


「ボビンレースを編む女」です。

「天文学者」もあるはずですが、今回はなかったです(25年前にルーブルで見ましたし、その後も京都市美術館に来た時に見ましたから、あきらめはつきますw)。


 フェルメールのある部屋には、今回のフランス旅行の初日にも足を運び、そして例によって人がガラガラ(ほぼいない)のに驚いたのですが。

 今回は、その時よりは人はいました。


 しかし、noteの写真を見てお分かりのように、まー日本では考えられない人のまばらさw

 でも、じっくり鑑賞できてよかったですよ。

 あと、単眼鏡で見ると、光のツブツブや、糸の質感などもヴィヴィットに分かって良かったですよ!


 noteの写真の半分くらいしか語っておりませんが、長くなってきたので一度ここで終わります。

(レンブラントのハゲ疑惑なんかに脱線するからですw)。


 次回は、巨匠なのに、作品の一つの馬の絵が後世に思わぬ理由で軽くディスられている気の毒なジュリコーの話から始めようと思います。


*****


 ※1 https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010060903


 ※2 https://en.wikipedia.org/wiki/The_Flight_into_Egypt_(Elsheimer)

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