【第3章 第12話】“断片”に刻まれた真実
夜。
古びた宿屋の一室で、クロはノアから受け取った“断片”をリングに投影していた。
《観測者の記録:断片003 ——第一の継承者、ノア》
空間に映し出される、過去の映像。
そこには、まだ幼いノアが、儀式の場で“時蝕”に触れる姿があった。
「私が……観測者になったのは、“選ばれた”からじゃない。
……死の淵で、無理やり“時”に囚われたの。
寿命が尽きる瞬間、適合率が奇跡的に一致して……」
画面の中で、ノアは泣いていた。
命を失いかけた少女が、“永遠の観測者”として閉じ込められる瞬間。
「それが、観測者……」
セレネが言葉を失う。
クロは拳を握った。
「ノア……それでも、あんたは俺を助けてくれたんだな」
「クロ……?」
「だったら、俺があんたを……“観測者の輪”から解放する」
クロの中に、新たな決意が灯る。
その時——リングが反応する。
《新たな断片の座標を特定:北方の時刻鉱山群》
《危険度:★★★★》
「……次は、“あんたの過去”を終わらせに行く」
クロの目が静かに燃える。
セレネが、そっと手を伸ばす。
「一緒に行くよ。どんな“時間”でも、あたしはあんたの隣にいる」
二人の指先が触れ合い、未来へと“繋がる”。
その夜、運命の歯車はさらに深く回り出した。
“断片”に刻まれた真実が、少年を“選ばれし者”へと導いていく——。




