【第3章 第11話】選ばれし者たちの影
ノアとの再会、そして《時蝕》の進化。
新たな力を手に入れたクロは、セレネと共に時計塔を後にした。
その頃、街の外れ——薄闇に包まれた古びた礼拝堂に、3人の“異形”が集っていた。
「“クロ”という名の少年が……《刻限》に到達したそうだな」
低く、冷たい声が響く。
顔の半分を仮面で覆った男・ヴェイルが口を開いた。
「想定よりも早い。観測者が動いたか……」
隣に立つのは、銀髪の青年・ユリウス。
どこかノアに似た雰囲気を持つ彼は、瞳に揺れる光を見つめていた。
「因果は再び巡る。
“彼”が再誕するならば、こちらも——“次の鐘”を鳴らすだけだ」
三人目は、フードで顔を隠した小柄な影。
何も言わず、ただ手にした懐中時計を開き、その針を一度止めた。
「選ばれし者たち……“時の継承者”が目覚め始めている。
この均衡も、長くは保たれまい」
礼拝堂に響く、時計の“チクタク”という音。
それはまるで、迫り来る“終末”を刻むようだった。
──一方、クロとセレネは、次の目的地へと歩を進めていた。
「ノアの話……まだ全部じゃない気がする」
「うん。あたしもそう思う。
あの“観測者”って立場……本当に、全部が味方ってわけじゃなさそうだし」
クロはリングを見つめた。
《観測者の記録:断片002 ——選定と継承について》
「選ばれる……そして継がれる……か」
「クロ、気をつけてね。
あたし、あんたが壊れるとこなんて、絶対に見たくないから」
セレネの真剣な瞳に、クロはわずかに微笑む。
「壊れねぇよ。……まだやること、山ほどあるからな」
そして、夕暮れの空の下——
“新たなる継承者”を巡る戦いの幕が、静かに上がろうとしていた。




