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【第2章 第12話】“静けさの中の決意”
静まり返った空間に、ようやく穏やかな風が吹き抜ける。
クロとセレネは肩を並べ、崩れかけた廃屋の縁に腰を下ろしていた。
「……終わった、のかな」
セレネの声が、ほんの少し震えていた。
「終わった、ってことにしよう。今は、な」
クロは空を見上げる。そこには、かすかに星が瞬いていた。
ノアの声がリングから届く。
《現在、危険反応はすべて消失。寿命残量は三分十二秒。限界ギリギリだけど……助かったわね》
「三分か……また、ギリギリだな」
セレネが小さく笑った。
「でも……私の中の何かも変わった。クロに触れて、時間を共有して……あの時、怖くなかったの」
「……俺も、誰かと一緒に生きようと思ったのは、初めてだ」
小さな沈黙が流れ、ふたりはそっと見つめ合う。
そのとき——
リングが微かに震えた。
《観測ログ更新。クロのスキル“時蝕”および“逆刻”、安定化傾向確認。使用リスクは依然高水準ですが、継承適性が強化されつつあります》
「スキルが……馴染んできてる?」
ノアが静かに答える。
《クロの“存在そのもの”が、世界に影響を与え始めているのよ》
その言葉に、ふたりは互いに視線を交わす。
そして——決意を胸に、夜の静けさの中、ふたりはゆっくりと立ち上がった。




