【第2章 第7話】黒衣の男と“供物”
今週も読んで頂きありがとうございます。
200人以上の方に読んで頂けているようで、嬉しく思います。
引き続き、よろしくお願いします。
倉庫の最深部。
そこには、儀式のような装置と、中心に立つ一人の男がいた。
黒衣をまとい、顔の半分を仮面で覆っている。
男の前には、寿命を奪われ倒れた人々が幾人も転がっていた。
「ようこそ。貴重な“供物”を連れてきてくれて、感謝するよ」
男は笑った。軽薄な口調に反し、その気配はぞっとするほど冷たい。
クロは警戒しながら問う。
「……お前がこの仕組みの主か。“寿命を喰らう市場”の裏側にいた」
「主? いや、僕はただの“管理者”さ。真に喰らう者は——もっと深いところにいる」
セレネの身体が震えた。
「この感じ……あの時、私を拘束していた“気配”と同じ……!」
ノアの声が鋭く割り込む。
《クロ、この男……寿命を“媒介”にして、空間そのものを制御しているわ。広域歪曲スキル《タイムグリッチ》の使用痕を確認》
「タイム……グリッチ?」
《一部の空間だけ“時間を抜き取る”異常スキル。影響下にある者の寿命は、倍速で消耗する》
クロは叫ぶ。
「ふざけんな! そんなもんで、他人の命を勝手に——!」
男の仮面の奥が、わずかに笑った気配を見せた。
「君も同じだろう? 寿命を奪い、喰らって強くなる。違いなんてない」
クロの拳が震えた。
「……違う。俺は、選んでる。奪う覚悟も、背負う覚悟も、全部」
「なら、その選択——僕が試してあげよう」
黒衣の男がゆっくりと手を上げた。
空間が、裂けるように揺らぎ始めた。




