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【第12話】寿命が語る“生きたい”という本音

廃ビルの一室。


クロはソファに座りながら、手首のリングを見つめていた。


『寿命残量:00:05:12』


ギリギリの戦いを終えたあとでも、たった五分残っていた。

そのことが、不思議な希望を灯していた。


「命って……削れるだけじゃないんだな」


ノアが隣に座る。


「そう。誰かのために使った命は、時に“延命”すら超える奇跡を起こす」


クロは首をかしげる。


「それって……俺がやった《時蝕》のこと?」


「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」


ノアはふわりと笑った。


「スキルは確かに力。でも、力だけじゃ“生きたい”とは言えない。……あなたの中に、本当の願いが芽生えたからこそ、命が応えたのよ」


クロはリングを握りしめる。


「……俺、生きたいって思ったんだ。昨日まで、そんなこと一度も考えなかったのに」


セレネは別室で休んでいる。


ノアは、彼女の手配や身元の保護を進めているようだった。


「これから、どうするの?」


「……もっと時間を稼ぐ。生き延びるためじゃない。生きる意味を見つけるために」


クロの言葉に、ノアの瞳がわずかに揺れる。


「あなたは、きっと遠くまで行ける。——誰よりも、深く時を超えて」


窓の外、夕日が差し込む。


命は、まだ五分しかない。


でも、たった五分が、世界を変え始めていた。

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