12/92
【第11話】光の先に、少女はいた
死角ルート——
雑多な廃材を抜け、クロと少女は地上へと通じる細い抜け道を駆け抜けていた。
「はぁ……っ、まだ……っ?」
「あと少しだ、頑張れ!」
リングにはまだ赤い光が残る。限界の警告は鳴り止まない。
≪寿命残量:00:05:44≫
《時蝕》を一度使った影響は大きい。
「こんな子どもに……無理させてごめん……!」
少女は泣きそうな声で言う。
「……お前が謝ることじゃないよ」
クロは笑った。
「俺が、助けたいと思っただけだ」
やがて、光が差し込む。
「出口だ……!」
鉄格子を蹴破るようにして飛び出したその先は、朝焼けに染まる外界。
空が、眩しかった。
「助かった……!」
少女が涙を溢れさせる。
「名前は?」
「……セレネ。兄のこと、助けてくれて……ありがとう」
「クロだ。こっちこそ、ありがとう。お前のために動けたことで、俺……また、生きられた気がする」
言葉に詰まるセレネ。
そのとき——
「無事ね。よかった……」
ノアが廃ビルの影から現れた。
「ノア……!」
「セレネさん、あなたに負わせた責任は私たちが取る。身の安全も確保するわ」
セレネは、小さく頷いた。
クロは、空を見上げた。
寿命は減っていく。それでも、今日一日を、生き延びた。
——たった五分が、永遠のように尊かった。
彼の中で、何かが強く芽吹いていた。




