表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/92

【第9話】決断の刃、静かなる怒り


「ノア。俺は、やっぱり見逃せない」


市場の片隅、ノアはクロの横顔を見つめていた。


「……あの子を助けたいのね」


クロは頷く。


「命を金で扱う連中の思うままにされるなんて、耐えられない」


「でも、正面からやれば、寿命が足りない。スキルの発動も制限される。下手をすればあなたが——」


「分かってる。でも、俺は……!」


クロは拳を握る。


「——誰かを守れる力を持ったんだ。なら、使う。俺自身が選んだ道だ」


ノアはしばし沈黙し、やがてふっと目を伏せた。


「……なら、私も手伝う。作戦を立てよう」


クロの表情が、ほんの少し和らぐ。


「ありがとう」


ノアは手元の小型端末を操作し、バザールの見取り図を表示した。


「この市場には、監視網の死角がいくつかある。あの少女の檻はちょうどその接点。

ここから15分後に定期巡回が外れる。そこを狙って接触する。

ただし、寿命スキャナーには注意して。異常な寿命の増減は即通報対象よ」


「……ってことは、スキルも制限されるな」


「ええ。でも、接触して檻のロックを解除するだけなら、十分現実的」


クロは深呼吸し、静かにリングを見た。


『00:06:02』


「六分か……。足りるかな」


「足りさせて。あなたならできる」


ノアの声は、どこか祈るように震えていた。


やがて時間が訪れた。


クロは市場の雑踏の中へと消えていく。


金の欲望が渦巻く空間の中で、彼だけが静かに怒っていた。


「奪う奴らに……何もかも取らせてたまるか」


彼の歩みは、確かに未来を選び取ろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ