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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
85/86

85.目的

 大地が裂け、海が割れ、その隙間から溢れた黒い魔力が島を覆うように囲んでいく。


 島が4等分された影響か、繁華街の方から多種多様で大きな魔力の気配が立ち上っている。


「町の方でパニックが起きてる....」

 エメリアは冷静に周囲の情報を分析する。


(街の方でこれだけ大きな魔力の気配を立ち上らせたら、森のモンスターが寄って来ちゃう....それに、気配が大きすぎてシルバーが目の前の戦闘に集中出来なできてない...)


「アガット、街に行って状況を説明して魔力を抑えてきて」

「え?!でも!私だけ逃げるなんて!」

「アガット、貴方はさっきお腹に穴を開けられたの、まだ完全に治ってないんだから、逃げなさい」

「っ!嫌です!それならシルバーさんだって同じじゃないですか!」

「分かってる、シルバーは私が逃がすわ...私とタンザーでできるだけ時間を稼ぐ、だから、貴方は応援を呼んできて」

「そっ、そんな...たった2人であれを抑えるって事ですか?!そんなの....」

「アガット……貴方もシルバーも怪我人よ...戦闘では役に立たない、でも、情報の伝達、避難誘導、他に役に立てる事はいっぱいある、そして、ちゃんと治療を受けて治ったら戻ってきて」

 快活な笑顔でエメリアはアガットの頭を撫でる。

「わっ、分かりましたぁ」

 アガットは涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、反転して街の方へかけて行った。


「僕達2人であれを相手に時間稼ぎか.....」

 タンザーが剣を抜き肩を回す。

「ごめんね、タンザー、一緒に死んで」

「死なないよ、あいつを倒して、僕が英雄になる」

「ふふっ、頼もしいね」


 緑色の光と、青白い光が輝き。

 邪神へ向かって飛んで行った。


ーー


 目にも止まらぬスピードで、タンザーの剣が邪神に放たれる、だが、邪神はそれの腕で軽々とガードしてみせた。

「何だ?この感触....」

 邪神はゆっくりと腕を持ち上げ、タンザーの方へ反撃するが、その拳にはスピードも力もない。

 タンザーは少し距離を取って軽々とその攻撃を躱す。


 そしてそこへ、風の刃が邪神を襲う。

 エメリアの魔法だ。


 しかし、邪神は表情一つ変えずに受け流した。


「シルバー!一旦下がれ!」

 タンザーがシルバーに叫ぶ。

「いいや、これは勇者の仕事だ」

「分かってる、だから一旦メーガンの所に行ってちゃんと治療してから来い!」


 シルバーは少し悔しそうな顔で、首に手を当てる。

「メーガン、今何処だ?」

「メーガン!応答しろ!」

「クソっ、出ない...」


 シルバーは諦めて剣を構える。

「シルバー!」

「仕方ないだろ?!メーガンはどこに居るか分からない!それに、今の邪神は弱ってる!今の俺たちでも充分対処出来る」


 タンザーは焦った様子で邪神を見つめる。

(傷1つ付けられないが、あいつの攻撃もこっちには当たらない.....今は少しでも火力が欲しい)

「分かった、だけどシルバーはサポートだ」


 風の刃を潜り抜けた邪神がギロリとシルバーを見る。

「ゆ゛う゛し゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛?」

 シルバーの肌がぞわりと粟立つ。


 シルバーの動きが一瞬止まる、邪神はその隙にタンザーを掻い潜り、シルバーへ手を伸ばす。

 

 先程までのゆったりとした動きからは考えられない、素早い動きに、シルバーもタンザーも反応が遅れた。

 

邪神の細長い腕がシルバーの腕を掴む。


 そして、一瞬の内にその腕を握り潰した。


「ぐわぁ!」

 痛みに顔を浮かべるシルバーを、邪神がゆっくりと持ち上げる。


「シルバー!」

 タンザーの剣が邪神の背中を叩くが、ビクともしない。


 邪神はシルバーをじっくり眺めた後、興味を失ったおもちゃのように放り投げた。


 自由落下していくシルバーを、タンザーが追いかける、そして、その様子をエメリアは冷静に見つめる。


 邪神はシルバーには目もくれず、空をぼーっと眺めていた。

 

ーーーーーーーー


 そしてそんな様子を遠い空から眺める影が2つあった。


 片方は粗暴そうな少年、もう片方は根暗そうな少年で、胸には黒い石が嵌められている。


「わーお、本当に邪神が復活してるよ」

 アシュが少し目を輝かせながら、目下の邪神を見つめる。

「かなり弱ってるが....最悪だ..」

「え?なんで?」

「勇者が俺達魔族を見つけて、その後すぐ邪神が復活....どう考えても魔族が犯人だと思われんだろ」

「確かに、でもいいんじゃない?元から嫌われ者なんだし下がる好感度もないでしょ、このままこの国ぶっ壊して貰おうよ」

「俺はそれでもいいが、魔王の計画の邪魔になる」

「へぇー」

 アシュがニヤリと笑い、ヴァレクを見る。

「何だよ」

「ヴァレクはあの計画反対派じゃなかったっけ?」

「ちっ、うるせぇよ」

「ふふっ、それで?俺達はどうする?」

「....邪神に勇者を殺して貰った後、俺達が邪神を殺す」

「オッケー、それ最高」

 アシュとヴァレク、2人が拳を合わせ笑った。

 

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