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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
84/86

84.全ゲーマーが大好きな、アレ

【オニキス様、邪神を封していた結界が破られました】


「「は?」」


 淡々と語られる衝撃の事実に、オニキス、クレイの2人は同時に素っ頓狂な声を上げ、顔を見合わせる。


「行くぞ!クレイ!」

 オニキスは黒い剣を抱えて、結界の方へ走り出した。


「ちょっと、待ってくれ!」

 クレイもとりあえず、彼の後を追う。


「邪神かぁ、どんな奴かな?」

 オニキスは走りながら嬉々としてクレイへ声を変える。

「なんで嬉しそうなんだよ!」

「だって、ゲームでも出てこなかった隠しボスだし、それをラスボス前に見つけるなんて!ゲーマーなら皆大好きな奴だろ?」

「何言ってんだ?」


「マナ!とにかく邪神の情報を教えてくれ」

【分かりました】


【邪神、終戦暦前325年に実在した人物で、アガリオン北部からヘルミオスまで、全83ヶ国もの国を滅ぼした事で知られる人物です。

 その目的は不明で、あらゆる攻撃に耐える高い耐久力を有していると言う証言が数件と、指を振るだけで高度な魔法を使えるという痕跡があります。】

「83ヶ国?!一人で?」

【はい】

(おいおい....魔王より何倍も強そうじゃん...)

「魔王の格が下がっちゃうな.....先に魔王と戦いたかった」


 そんな事を話しながら、オニキスとクレイは何もいない森を駆け抜ける。

 邪神の結界の方に近付くつれジメッとした重たい空気が森を支配して行く。


 知らず知らずの内に2人の速度は落ちていき、そして、結界まで1km。


 2人の足が止まる。


「オニキス」

 顔色の悪いクレイが、胸を抑えながら斜め上を見上げる。


 日も落ち、星々の小さな光だけがある空。

 

 そんな空にぽっかり、星の光を遮る何かが見える。


 暗い空に擬態したソレ、普段なら誰も見つけられなそうな物体だが、その物体が放つ圧倒的な威圧感によって、すぐに見つける事が出来た。


「何か、いる」

 オニキスがそう言った瞬間、光弾が空へ放たれた。


 光弾は雲を吹き飛ばし、まるで太陽のような輝きと共に、空に定着した。


「この魔力、姉ちゃん?」

 ほんのり優しい緑色を纏う光弾は、夜空をまるで日中のように明るく照らす。


 急激な光量の変化にオニキスは視界が真っ白になり、そして、段々とその光に慣れていく。


 邪神が光の元に晒される。


 視線の先には、枯れ木のような細く長い、生気のない身体。

 そしてそれを覆う黒く大きな、鳥のような翼。

 翼も枯れ木のように羽がスカスカで、傷んでいる。

 顔も皮と骨だけで、窪みで影ができており、上手く表情を捉えることが出来ない。

 そして、黒いモヤが身体に纏わりつき、まるで夜空で出来た布を羽織っているように見えた。


 クレイはその異様で不気味な出で立ちに、恐怖を掻き立てられ、ガタガタと震えている。


 が、オニキスはまた違った感想を抱いていた。

(あの羽根、そしてこの格の違いを見せつけるような圧倒的威圧感.....この世界に来る前の時の事を思い出す.....)

「邪神か.....まさかな」

 

【かなり弱っていますね】

「弱ってる?」

 オニキスは空に浮かぶ邪神を見る。

 言われてみれば、息はか細く、目の焦点も合わずにフラフラしている様に見える。

 しかし、身に纏うオーラは圧倒的で、オニキスの心臓を締め付け続けている。

「弱ってる?あれで??」


 困惑するオニキスを他所に、銀色の流星が邪神を目掛けて流れて行った。


ーーーーーーーー


「待って!シルバー!」

 封印結界の崩壊の瞬間、エメリアの静止を振り切り、一直線に勇者が空を駆けていく。


 奇しくも、それはオニキスが走り出したのと同じタイミングだった。


 遅れて、エメリア、タンザー、アガットが追いかける。


 邪神の気配が近づいて来た所で、エメリアが光弾を打ち上げ、夜を昼に変えた。


「あれが邪神....」

 アガットが不安そうな顔で唾を飲む。


 エメリア達がその異様な出で立ちに速度を落としていくのと対照的に、シルバーは速度を上げ、邪神へ突進する。

「待っ」


 シルバーは速度を上げながら、腰にある聖剣を抜く。

 その時、肩の怪我がズキリと傷んだが気にせず聖剣を振り上げる。


 そのまま、スピードと体重、魔力、全てを込めた一撃を邪神に振り下ろした。


 聖剣は邪神の首と肩の間に当たり、聖剣が止まる。

 勇者渾身の一撃は、その衝撃も、衝突音すらも吸収し、邪神に傷1つ付けること無効化された。


「なっ?!」

 シルバーはその手応えの無さに驚愕している間に、邪神がゆっくりと指を空へ向けた。

 その体からどす黒い魔力溢れたかと思えば、瞬く間に、空を覆うほど大きな魔法陣が姿を現す。

 そして指を振り下ろすと、巨大な魔法陣から現れた十字の光が地面に向かって落ちる。


「なっ!やめろ!」

 十字の光はシルバーの横を通り抜け、島を4等分に切り分けた。

間が空いてしまい申し訳ありませんでした。

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