表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
80/86

80.トルマリン

 メーガンは、虹色の髪の女を追いかけ、山を下っていた。

(何処まで行くの?)


 相変わらず鼻歌混じりで歩く女、この険しい山道をまるで町を散歩するかのように歩いていく。


 メーガンはバレないように気をつけて歩いているが、女に周りを警戒するような様子は無く、簡単に後をつけることが出来た。


 女が止まる。


 目の前には大きな岩山がある。


 その岩山には人がひとりギリギリ入れそうな隙間があり、彼女はその隙間へ体をねじ込んだ。



 彼女は所々引っ掛かり、ジタバタしながら穴へ入って行き、その姿が消える。


 メーガンも彼女を追い掛け、岩の前へ。


(魔力は感じない、天然の隠し通路......)


 誰でも、隠したい物は、頑丈で、強固なセキュリティのある箱に入れたがるものだ、そしてこの世界で1番それに適しているのは魔法。

 この世界の隠し通路や、金庫には少なからず魔力が掛かっているものが多い。


 その結果。このような魔力を伴わない仕掛けは誰にも気づかれないという、強固な結界になりうる。

 

 

 メーガンが穴を覗くと、3m先程に行き止まりが見える。

(なるほど、これなら誰もこの先に進もうとは考えない)


 メーガンも意を決して、その穴へ体をねじ込んだ。


 

 狭い穴の中を、左へ、右へ、そして奥に進む程、暗く、暗く、本当に出口があるのか不安に襲われ、岩の中で溺れそうになる錯覚をメーガンが襲う。


「はぁ、はぁ、はぁ....」


(落ち着いて、パニックになったら死ぬのは私)


「落ち着いて、メーガン」


 自分をまるで別人のように扱い、客観視する事で落ち着きを取り戻そうとする。


「落ち着ー」

 岩の隙間を抜ける、先には人が10人が余裕で通れる程広い洞窟。


 洞窟の壁は今までに見た事の無い物だった。


 鉱石が、溶けて、圧縮され、凝固されたかのようで、奥から放たれている銀色の光が、その壁にあたり、虹色の光となって反射する。


(なんなの.....この道....)

 メーガンは神秘的なその光景に圧倒されていた。


 奥にいる人影に気づいたのは、一呼吸置いてからだった。


「貴方!何をやっているの!」

 メーガンは白い光の粒子を身にまとい、人影に叫んだ。


「貴方、さっきの人?ついて来ちゃったんだ....」

「何をしているか聞いているのよ!」

 メーガンが指先を女に向け、白い矢を放つ。


 白い矢は、女の横を掠め、奥の()()()()へ当たって弾けた。


「貴方貴方って私の名前はトルマリンよ、マリンって呼んで」

 トルマリンが、少し不機嫌に、悪戯に、メーガンへ笑い掛ける。


 見る人が見れば骨抜きになりそうな光景だった。


 しかし、メーガンは別の事に気を取られ、それどころではなかった。


「貴方.....その壁....っ、まさかっ!」

 メーガンが今にもゲロを吐きそうな顔で叫ぶ。


「バレちゃったか....そうだよ、これは邪神が封印してある勇者の結界、みんな、上からしか見た事ないでしょ?

私が掘ったんだ〜

どう?凄いでしょ?」

「何する気?」

「やだなぁ、悪い事なんて考えてないよ、だからちょっと外に出ててくれない?」


「ーいいわ、力ずくで聞き出す」


 メーガンが背後に複数の魔法陣を展開する。

 一息置いて、魔法陣から白い光が放たれた。


 目にも止まらぬスピードで一直線に放たれた光は、トルマリンに当たる、直前で彼女が消える。


 そして、消えた彼女は突然、メーガンの背後に現れた。

「なっ」

「少し、静かにしててね」


 トルマリンの長い足が、大きな弧を描いて、メーガンに吸い込まれる。


「グハッ」

 蹴られたメーガンはその威力で壁に叩きつけられた。

「グッう、らうぇ」

 壁に叩きつけられたメーガンは、胃の内容物を吐き出した。


「ねぇ、貴方、この結界ってどうやったら壊れると思う?」


 トルマリンがゆっくり結界へ近づいていく。



「どんな魔力にも弱点となる魔力がある、赤は青に、青は黄に、もちろん個人差はあるけど、じゃあ、銀色の魔力の弱点は?」


 彼女の虹色の魔力が暗く、黒く染まっていく。


「銀色の魔力は純粋を司る。

 邪を払い、誰にも犯されない聖域をつくる、そうゆう魔法に特化した魔力だと思うの。

 一方、黒い魔力は、何にでも染み渡り、物体を犯し尽くす、不浄を司る魔力。

 どう?銀の魔力の弱点になり得ると思わない?」

  トルマリンが黒い魔力を纏う。


「や、やめ...」

 メーガンが地を這い、必死にトルマリンを追いかける。


 トルマリンは魔力の込めた真っ黒な指で、そっと銀色の結界に触れた。


「やめてーー!」

 メーガンの悲痛な叫びが洞窟に響き渡る。



「...........」

「...........」



「......あれ?」

 トルマリンから気の抜けた音が漏れる。


 彼女が黒い魔力を何度も結界へ押し付ける。


 通常なら、ティッシュに水を零すみたいに、黒い魔力が広がっていくはずだ。


 しかし、目の前で起きるのは全く逆の光景。


 銀色の結界は、まるで同じ極同士を近づけた磁石のように、黒い魔力を弾いている。


「あ、あれ?」


 トルマリンが気まずそうにメーガンの方へ振り返る。

「違うっぽい」


 メーガンもまた、気まずそうに彼女から目を逸らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ