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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
71/86

71.ある鍛冶師の話

「行っちゃった.....」

 オニキスとクレイは、一直線で宿に帰るアミィを見送る。

「で、どうゆう事だよ?」

「ん、何が?」

「その剣の素材はなんなんだ?」

 クレイが、マナを指差す。

「ああ、話せば長いんだけど....」


 実技実習の日、黒い魔力を操るモンスターに出会った事、そこで腕を怪我した事、そのモンスターの素材で義手を作った事を簡潔に説明した。

 魔石を埋め込んだ事や、もう体のほとんどがそのモンスターの素材でできている事は隠して。

(なんか、遠い昔のように感じるな)


 

「そんな事が....」

「そっちは?」

「ん?」

「どうゆう流れでアミィに鍛冶を見せる事になったんだ?」

「ああ、今日の朝いきなり部屋に入ってきて、鍛冶見せろって叩き起された.....」

「ふははは、おもろ、俺もクレイの鍛治興味あるから見せてよ」

「え、あ、ああ....」

 クレイはあまり乗り気でないような返事で答えた。


ーーーーーーー


 クレイの鍛治は、どうみても集中を欠いていた。

 炉に火をいれ、鉱石を叩く、この作業だけを見れば、一見普通に見えるが、よーく聞くと、クレイは小さな声で鼻歌を歌っているのだ。

「ふん、ふ〜んふ、ふ〜ふ、ふふ〜」

「おい!クレイ!」

「ん?」

 クレイは顔だけこっちに向けて、手元を見ずに木槌を下ろす。

(こいつ、全然集中してねぇな)

「1回手を止めろ!」


 クレイが手を止める。

「クレイ、集中しろ」

「......」

 クレイが気まづそうに頬をかく。


「なぁ、もしかしてだけど....」

 オニキスの声は低く、明らかに憤怒の雰囲気を醸し出している。

 そんな彼は、懐から黒い剣を引き抜き、クレイに向けた。

「この剣も、そんな感じで作ったんじゃねぇだろうなぁ?」

 クレイはただ、地面を見つめるだけで、答えない。


「なるほど、できねぇなら、俺が無理矢理集中させてやるよ」

 黒い魔力が、剣から溢れ出す、黒い剣をよく見れば、その表面に魔法陣が張り巡らされている。

 クレイの脳裏に浮かぶのは、人を操るオニキスの代名詞ともいえる魔法。

「な?!辞めてくれ!、分かった!理由を話すから!」



ーーーーーーーーーーーーー

6年前。

 ちょうどオニキスがこの世界に来た頃の話。


 俺達は、ウィンダールと呼ばれる、田舎の少し大きめの村に住んでいた。

 村に子供は少なく、それをアレクスと言う、今とは似つかない可愛げのある赤毛の少年が纏め上げており、皆仲良く遊んでいた。

 しかし、ある日タンザーが剣聖にその才能を見出されいなくなった事で、この生活は瓦解する。

 子供達のまとめ役だったアレクスは剣にのめり込み、自然と、皆それぞれの道へ歩むようになったのだ。


 それはクレイも例外ではない。


 ある日暇そうに村を散策していた時、変なおじさんに話し掛けられた事がきっかけだった。

「何やってんだ、坊主」

 話しかけてきたのは、髪も髭も、全く整えられていない中年だった、しかし、体はまるでボディビルダーのように、筋肉もりもりで、脂肪の少ないバキバキな体をしている。


「んー別に何も」

「暇ならちょっと手伝ってくれや」

「やだ」

「ああん?暇なんだろ?」

「でも、おじさん怪しいし...」

「なっ?!この野郎....はぁ、せっかく最強の武器を見せてやろうと思ってたのに...」

「最強の武器?!」

 思わず、声が出る。

 しかし、最強の武器なんてそんなロマン溢れる言葉、この年代の子供に刺さらない訳がなかった。

「少しくらいなら、手伝ってあげてもいーよ」

 怪しいおじさんはニヤリと笑っていた。


 

 煉瓦造りの大きな建物に入ると、肌を焦がすような熱気に襲われた。

 そこには、一際目立つ大きな炉と、忙しなく働く若い人達。

 

 ここは、すこし有名な鍛冶師の工房らしい。


「ねぇ、最強の武器は?」

「ああ、今から作るから手伝え」


 そこから俺は、この工房に所狭しと並ぶ魔道具の操作を永遠と手伝わされた。

 正直、苦じゃなかった。

 手伝い初めてから数日。

「できた」

 師匠が、感慨深げに呟くと、周りの手の空いた人達が近づいてくる。

「師匠ー、できたんですか?見せてくださいよー」

「おお、いいぞ」

 師匠は、刀身がうねうねと曲がった珍しい見た目の剣。

「フランベルジュですか....依頼されたのは普通の剣じゃなかったでしたよね....また怒られますよ?」

 弟子の一人が呆れたように呟く。

「仕方ねぇだろ?こいつがこの形がいいって言ってんだからよ」

 師匠はそう言いながら、剣を叩いた。

「..師匠はこの剣の声が聞こえるの?」

「ああ、もちろん」

 師匠が豪快に笑う、その顔に嘘は見えない。

「クレイ....剣の声が聞こえるなんて、そんな訳無いだろ...いつもの妄言だ」

 ここ数日、良く面倒を見てくれた兄弟子が、そんな事を言う。

「おめぇにはまだ分かんねぇか....」

 そう言って笑う師匠は少し悲しそうに見えた。

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