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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
65/86

65.前夜祭(2)

 遠慮のないノックで入って来たのは、筋骨隆々イケメン、クレイだ。 

 もうお昼が過ぎてかなり経つが彼は眠そうな顔をしている。

「おはー、今日は何すんの?」

「遅かったですね、クレイさん」

「え?あ、ごめん」

 突然あまり喋ったことの無いアミィに責められ、クレイの眠気が吹き飛ぶ。


「クレイさん、質問が」

「な、なんだ?」

「オニキスさんの剣はどうやって作ったんですか?」

「どうやってって....」

 その抽象的な質問にクレイは頭を悩ませる。

「作る所見せてください」

「え?い、いま?」

「はい」


「おい!今から俺達はトランプ大会やるんだ、作ったやつ見せてもらうくらいで勘弁してやれ」

 オニキスの身勝手な援護射撃にアミィの圧力が弱まった。

「まあ、それくらいなら」

 クレイが何も無い空間に両腕を差し込む。

 彼が空間から腕を引き抜くと、その手には2本の短剣が乗せられていた。

「失礼します」

 そう言ってアミィはクレイの短剣を奪い取る。

 手に取ったそれをまじまじと見つめ、魔力を流してみたりと、調べ尽くす。


 完全に自分の世界に入り込んでしまったアミィを見てオニキスに助けを求めるようにそろりと近づいてきた。

「おい、どうゆう事だ?」

「アミィがクレイの事気になるんだってさ」

 オニキスがやや投げやりに、拗ねた子供もような態度で答える。

「なっ!」

 クレイが動揺し、答えるを求めるようにアミィを見るが、アミィはこちらの話に目もくれずに短剣を見つめている。

「そう言う雰囲気じゃなくねぇか?」

「はぁ」

(めんどくさい説明パートは俺任せか)

 オニキスはベットから起き上がり空間から黒い剣を取り出した。

 剣先から柄まで黒いの剣、その剥き出しの刃は底のない穴のように真っ黒で、ガーネットは吸い込まれそうな感覚に襲われその顔を恐怖に染めた。


「クレイの剣に魔法を刻んだ」

 魔法陣が見えるようクレイの目線に剣を掲げる。



 クレイは剣に刻まれた魔法陣を読み取ろうと目を凝らしーー

「な?!なんだよこれ!」

 弾かれたように後ずさる。


 最初はその情報量の多さに驚き、次にその中身、1つも理解出来ない難解な魔法陣に感嘆し、恐怖する。

「いったい..この剣にどんな魔法を込めたんだ?」


「.......マナ、こいつは俺の友達のクレイだ」

【こんにちはクレイさん、私はマナと言います、よろしくお願いします】


 部屋に静寂が訪れる、クレイもガーネットもアシュリーも間抜けな顔で、その理解出来ない剣を眺めていた。

「まあ、完璧な人の脳みそを作る魔法、かな?」

 静かな部屋でオニキスは語る、クレイへだけでなくガーネットとアシュリーにも聞かせるように。


「あ、ちなみに周りには内緒ね?言ったら...まあいいや」

 自然と脅迫しそうになった口を理性で抑える。

 その不自然な会話の切れ目が逆に周りに恐怖を与えていたのだが、オニキスは気にせず話を進める。

「アミィの作った魔法だからねー、アミィの許可なく言いふらすのはさ、ほら、なんか良くじゃん」

「あ、ああ」

「そうですね、知的財産ですからね...」

 捻り出すよにクレイとガーネットが答えた。


「だろ?だから人になんか聞かれたら精霊が宿ったって言い訳しようかなーなんて考えてる」

「だ!駄目だそれは!」

 否定したのはクレイ。

 彼は怒気を宿した目でオニキスを睨む。

「え?やばい?」

「精霊が宿った剣なんて、広まったらどんな事になるか....」

 そう呟くクレイは恐怖に身を震わせている。

(クレイと精霊、何かあったっけ?)

 オニキスはゲームの知識を探る、しかし忘れてるのか知らないのか、何も思い出せなかった。


「そうだな、じゃあ、アミィと会話出来る剣くらいにしとくか、声もちょっと似てるし、魔法陣見られなければバレないだろ」

(凄いアミィの事好きな人だと思われちゃうけど)

「そうだな、それがいいと思う....すまんな」

 クレイが安堵したように息を吐く。

「なんでクレイが謝るんだよ、いいアドバイスだった」



 何故か自己嫌悪に陥っている様子のクレイを見て、オニキスはため息をついて再度、何も無い空間に手を差し込む。

 

 取り出したのは黒いブレスレット。オニキスはそれをクレイに投げ渡した。


「お、おい!」

「剣のお礼、熱に関する魔法の補助ができる装飾品だ」

 クレイは驚いたような目でそのブレスレットを見つめる。

「気に入らないなら他のもあるよ」

「い、いや、想像よりずっといいお礼だったから驚いただけだ、あ、ありがとよ」

 クレイが少し気恥しそうにお礼を言う。


「アミィ!」

 オニキスは声を掛け、何かをアミィに投げた。

 アミィが振り向きそれを両手で握り締めるようにキャッチする。

 手に握られていたのうっすらと黒い輝きを帯びた宝石のついた指輪だった。

「マナのお礼、魔力の操作をアシストしてくれる効果がある、強いだろ?俺も一時期使ってたからお下がりになっちゃうけど...」

「ありがとうございます」

 アミィは感情の抜け落ちたような棒読みでそうお礼をいい、指輪をそのまま左手の薬指に嵌めた。

(もしかして異世界って結婚指輪を薬指に嵌める文化ないのかな?あとで調べるか)


「オニキスさんってアクセサリーいっぱい持ってるんですねぇ」

 横からアシュリーが羨ましそうに声を掛ける。

「暇な日はだいたいダンジョンに行ってるからね」

「へぇ、でも普段は着けてないですよね?」



「うん、人を殴る時にちょっと邪魔だから」


 それは、オニキス渾身のジョークのつもりだったのだが、周りはそれを真摯に受け止め、ドン引きした表情でオニキスを見ていた。


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