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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
58/86

58.世界一有名な法

「面白いシナリオ.....」

 ガーネットが呟く。

「例えばさ、封魔の勇者みたいな、邪神を命を賭けて封印するみたいなさ、かっこいいだろ?ああゆうの」

「すいません、思いつきません」

 ガーネットが絶望したような表情で謝る。

「まあ、後でもいいよ、思いついたら教えて、俺を納得させられたら協力してあげるから」

 

 それから列がようやく進み始める。

 ガーネットは深く考え込むような仕草を見せており、オニキスは喋りかけられず、二人の間にはまた、沈黙が流れていた。


「国同士の外交のためって言うならさー、王子様とかの婿に入るとかじゃだめなの?、物語の定番はそっちでしょ?」

 とうとう耐えきれなくなったオニキスが暇つぶしにそんな事を言うと、それを聞いたガーネットが目を見開いて驚く。

「え?オニキスさん知らないんですか?!」

「ん?何を?」

「あの世界一有名な法律ですよ?」

 ガーネットが心底呆れた様子でオニキスを見る。

 そんな彼女の見な事ない表現にオニキスはショックを受ける。

「法律は俺に関係ありそうな民法と刑法しか見てないから....」

 誰でも知っている世界一有名な法、そんな物がテストに出る訳もなく、受験勉強以外の知識が貧弱なオニキスが知るわけもなかった。

「しかも、黄金の王アンバーは結婚もしてないし子供もいないんですよ?誰の婿になるんですか?」

「え!?なんで?跡継ぎはどうするの?王に何かあったらどうなんの?」

 ガーネットが信じられないといったような目でオニキスを見る。

「本当に知らないんですね.....」

「なんだよ、早く教えてよ」


「....この国の王は黄金の魔力を持つ人がなるという法律があるんです」


(ファンタジーだ)

「.....んな馬鹿な」

 次はオニキスが呆れる番だった。

「黄金の魔力を持つ人なら誰でもなれるのか?」

「はい、どんなに馬鹿でも、お金が無くても、王の器でなくても、.....敵国の者であっても」

「いやいや、そんなの成り立つ訳ない、いきなりとんでもない奴が王になるかもしれないって事だろ?無理無理、そんな国すぐ滅びるに決まってる」

「オニキスさん....もうこの法律ができて2000年くらい経ってるんです、そしてこの国は1000年も前には列強に名を連ねるている。それが事実なんです」

「おかしいよ...」

「オニキスさんの疑問は当然です、こんなおかしな制度のある国が何故こんなに強いのか、それは多くの学者達を今も悩ませている議題ですから.....

 学者達の話では、その黄金の魔力に何か特別な力があるのではないかという説と、黄金の魔力を持つ人間には王の資質を持つ人が多いのではないかという説があります。

 まあ、そもそも黄金の魔力は勇者の銀色くらい珍しい色ですから研究もなかなか進んでいないんですけどね」

(魔力と性格の関係か....最近聞いたな)

「黄金の魔力の人は王に向いてるとか、そんな血液型占いみたいな感じて王は選ばないでしょ、黄金の魔力に特別な特性があるに1票かなぁ」



 この世界はゲームの世界だから多少おかしいのはあたりまえだ、と、オニキスは切り捨てることが出来なかった。

 オニキスにとってこの世界は、ゲームの中ではなく、ゲームの世界を現実に作ったといったイメージの方が強いからだ。

 ゲームでは何も考えずコマンドを押せば成り立っていた魔法は、この世界では前頭葉にある第一運動野を使い魔力を動かし、魔法陣を構築する、妙にリアリティのある世界だったからだ。


 それに、異世界転生でよくある、魔法が科学に劣る描写。

 そんなものはこの世界においてはありえない。

 日本で出来ることはこの世界でも出来るし、前世の人が解き明かせなかった謎も、この世界では説き明かされたりしている。

 例えば、重力がなぜ存在し、なぜそのように働くのか、この世界ではしっかり把握されている。

 オニキスには理解出来なかったが。


 そんなもし世界に魔法があったら、を忠実に再現した世界で、突然現れたファンタジー要素に、オニキスは困惑していたのだった。




 そんな時、オニキスの脳内に通信魔法のベルが鳴り響く。

「もしもし」

 オニキスは喉にでも当てて答えた。この魔法は文字を入力する事で会話出来る魔法なので、声を出さなくても通話できるのだが、まだ動揺しているのか、しっかり声を出して応答する。

ー(もしもし、クレイだけど、例の武器、明日には完成しそうだ)

「は?」

ー(明日取りに来るか?暇な時間教えてくれ)

「はぁ!?、おい、早すぎるだろ....」

ー(そうか?これくらい普通だろ、俺の魔力はものづくり特化だからな、それを加味したら遅いくらいだ、苦労したぜ、この素材、加工しにくいし....)


(いや、ゲームではポンポン作ってたけど、あれは演出だと思ってた....)


「お前も天才だったのか....」

ー(何言ってんだ?忙しいなら俺が届けてやってもいいぜ)

「いや!今すぐに行く、待ってろ!」

ー(いや、まだ完成じゃ...)

「どこに行けばいい!」

ー(まじで今から来るのか....部屋だけど...)

「おっけー、30分で行く」

 こうして通話が終わる。 オニキスは興奮に目を輝かせ、尻尾を振りながら列から飛び出そうとし、


 不機嫌そうなガーネットと目が合った。


「あ....」

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