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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
53/86

53.友達といれば移動時間も.....

 オニキスは凹凸の激しいガタガタの地面の森を真っ直ぐ歩いていた。

 彼の顔は少し恥ずかしそうな、罪悪感のような感情が見え隠れしている。

(言わなくていい事言っちゃったな....なんか恥ずかしくなってきた)


 そんな事を考えながら、目印もない森を迷わず進む。

 彼に迷いが無いのは、通話魔法の時受信した魔力の方向に向かって進んでいるからである。


 いくら歩いても変わらない景色にオニキスが不安を感じ始めた時、声が聞こえた。

「オニキスさん」

 鈴のなるような綺麗な声。

「ガーネット?」

 木々の隙間からから現れた声の主は、ガーネットだった。


「迎えに来てくれたの?ありがとう」

「ああ、は、はい、おはようございます、オニキスさん」

「呼び捨てでいいよ、よく俺の位置が分かったね?自分でも自分が何処にいるのか分からなくなってたよ」

「その...ごめんなさい、腕輪の発信を追って来ました..」

 許可なく位置情報を追跡していた事について、彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。

「腕輪の発信って?」

 オニキスが質問すると、ガーネットは少し驚いた表情を浮かべる。

 オニキスが腕輪に刻まれた位置発信魔法に気づいていない事に驚いたらしい。

 同時に、なんでこの人が首席になれたんだろうという疑問が彼女の頭に浮かんでいた。


「腕輪には一定間隔で通信波の発信を行う魔法が刻まれています。おそらく学園側が生徒の位置を把握する為の物だと思います、それを勝手に盗み見ました」

「え、暗号化されてないの?」

「されています、なので()()()ざっくりとした位置しか分かりませんし、どの信号が誰の物かも分かりませんでした」

「私には?」

「あ....アミィさんには分かるみたいです....オニキス...さんの位置も、アミィさんから教えて貰いました。」

 ガーネットが罪悪感を感じるような顔で、おずおずと答えた。

「まじか、どうやって?」

「魔法は強固でも、腕輪自体が脆弱だ、とか行ってました、ごめんなさい、正直私にはよく理解出来ませんでした...」

「そっか、腕輪かー」

 オニキスは軽く返事をしながら、顎に手を置き、何かを真剣に考え込む。


「オニキス...さん、どうしたんですか?」

「ん?あー、呼び捨てでいいよ、今日は繁華街の方に行こうと思ってるんだけど、どっちに行けばいいか分かる?」

「はい、こっちです」

 ガーネットはそう言って森の中を進み始めた。


 ゴツゴツとして歩きにくい地面を、ガーネットが先行し、オニキスはそれについて行く。


 2人が歩く道はとても静かだった、人の気配もモンスターの気配もない。

 もちろん人にもモンスターにも気配を隠す能力はあるが、今、森には木々の揺れる音しかしない。

 オニキスはそんな森の音を心地よさそうに耳を傾けているが、ガーネットは2人の間に流れる沈黙に気まずそうな表情を浮かべていた。


 そんな彼女の空気を感じ取ったオニキスが口を開く。

「ガーネットって背高いよね、俺と同じくらい?何cm?」

 暇を潰すために簡単な問いを投げかける。

「え?、、175cmです...」

 ガーネットは少し恥ずかしそうに答えた。

(やべ、デリカシーなかったかな...)

 だが、オニキスはその様子が落ち込んでる様に見えてしまった。

「い、いいね、俺背が高い子の方が好きだよ」

 オニキスは慌ててフォローする。

「へ、ふぇ?、す、好きって....」

 ガーネットがオニキスから顔を背け、照れと恥ずかしさで頬を染める。

 そんな様子をオニキスは慌てたような表情で見る。

(やべ、地雷だったか?身体的特徴への話は安易にするべきじゃなかったな...)



 そんな話をしていると、視界が急に開く。 目の前から木と地面が無くなり、下には高い崖。

 この場所からは、下に広がる繁華街が一望できた。

 華やかで人の溢れる街道、歩む人は皆明るい顔でその町を歩いている。

 少し離れたこの場所でも、人々の喧騒が微かに聞こえる。


「ガーネット、早く行こ」

 オニキスが目を輝かせる。

「え?」

 困惑し、立ち尽くすガーネットをオニキスは不満そうな顔で見つめる。

「疲れたの?」

「い、いや、大丈夫です」

 彼のそんな表情に、ガーネットのトラウマが蘇る。



(まあ、俺もちょっと疲れたし、しょうがないか?)

 舗装もされていない、獣道すらない山を歩き続けた2人、いくら魔力が優秀だからと言っても疲労が無い訳がなかった。


 オニキスがガーネットに手を差し出す。

「魔法で行こっか」

 ガーネットが彼の手を見る。

 思い出されるのはアシュリーの姿、オニキスの手は触れるだけで人を操れる凶器だ。

 しかし、ガーネットは光に引き寄せられる虫のように、彼の手を取った。


 オニキスはガーネットの手を引き、体を引き付ける、そして右腕を彼女の肩に回し、左手で足を攫った。

 そして、壊れ物を扱うように優しく抱き上げる。

「キャッ!」

 腕の中に抱き抱えられたガーネットが小さな悲鳴が上がる。


「ちょっと我慢しててね」

 オニキスはそう言って黒い魔力を身に纏う。


 そして、崖から1歩踏み出した。


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