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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
47/86

47.アミィの図鑑

「もしかして、俺って嫌われてんのかな…」

 去っていくガーネットの背中を見つめ、オニキスは悲しげに呟く。

「嫌いと言うより、怖いって感じでしたよ」

 アミィが一切気を使わずに言い放つ。

「うー、自業自得だけど、悲しい」

「自覚あったんですね」

 アミィの物言いにオニキスは何か引っかかるものを感じ、首を傾げる。

「自覚?....え、俺って怖いの?」

「?、さっきからその話してたんじゃないんですか?」

 2人の会話はすれ違い、どちらも首を傾げ、考え込む。


「いや、俺、入学して舐められないように試験官とか勇者ボコボコにしたでしょ?、皆に怖がられるのもしょうがないかなーって」

 オニキスがそう言うと、アミィは少し気まずそうな顔をしてオニキスから目を逸らす。

「ああ、そうゆう事ですか.....私の話は忘れてください」

 アミィはそう言ってオニキスの視線を避けるように盤上を見つめる。


 が、オニキスは逃がさない。

「ねぇ、俺って普段から怖いの?」

「.....はい」

 アミィは無表情だが、少し言いにくそうに1拍置いて、返答した。

「まじか...」

 オニキスは絶望した表情で頭を抱える。アミィが少し気を使っている様子なのが更に真実味を醸し出し、心に刺さっていた。


 アミィが駒を動かしながら、考え込むような仕草を見せる。

「オニキスさん、たまに人を見る時、凄い顔してますよ」

「え....」

「他人というか、仲良くない人を見る時、私より無機質な目してます、まるでその人の事が見えてないみたいな」

「え...そんな目してた?」

 驚いたオニキスは自分の顔をぺたぺたと触っている。


 アミィが飛車の駒を掴み、持ち上げる。

「チェスでも、将棋でも、強い駒を弱い駒でカバーする戦法を好んでますよね」

 突然変わる話題にオニキスはついていけず、困惑する。

「.....いや、強いじゃん、だって...」

「貴方は極端なんですよ、ポーンを簡単に捨てすぎです。

 オニキスさん、クイーンサクリファイスとか、した事なさそうですね」

 オニキスはまだ、アミィが何を言いたいのか分からず、考え込んでいる。

「い、いや、だってポーンとか正直邪魔だし、クイーンは最強なんだよ?取られたら負けるじゃん」

 しどろもどろになりながら、何とか答える。


「弱い人は強い人を引き立たせるための駒、オニキスさんの性格をよく表している戦法だと思います」

 アミィが淡々と紡ぐ言葉に、オニキスはようやく彼女が何を言いたいのか理解する事が出来た。

 そして、彼女の言う事は間違っていないかも知れないと思い、笑う。

(いや、言い過ぎだろ....)


「ちょっと違うよ、俺が好きなのは強い人じゃなくて、非凡な人、興味が無いのは弱い人じゃなくて、普通の人だ」

 アミィの性格診断を聞いて、大きく納得すると同時に、意識していなかった自らの性格への理解を深めていく。

「俺、普通の人が持ってない物を持ってたり、出来ない事ができたり、そう言う人がどうしようもなく好き、逆は嫌い」

 オニキスが晴れ晴れとした笑顔でアミィを見つめる。


 幼少期から頭の良かったアミィは、天才や非凡という称賛を嫌という程浴びて生きてきた。

 と同時に様々な嫉妬や畏怖などの悪感情も、同じくらい浴びた。

ーあの子、おかしいよ

ー気に食わない

ー俺たちの努力を...

 最近は自分を否定する言葉しか聞いてない気がする。

 しかし、目の前にあるオニキスの笑顔はそういった悪感情のない純粋な笑顔だった。


 しばらく惚けているアミィを見て、オニキスが蟲惑魔的な笑みを浮かべる。

「どうしたの?もしかして自分が告白されたと勘違いしちゃった?」

 少しだけオニキスに見惚れていたアミィは、彼の言葉に萎えて、無表情に戻る。

「冗談だよ、勿論アミィの事も好きだよ」

「オニキスさんの好きって薄っぺらいですよね」

 アミィの照れ隠しのように呟き、駒を進める。


 アミィは思う。才能を愛し、普通を嫌悪するその考え、そして少しの破滅的な性格、物語の悪役にしたら面白くなりそうだ、と。

「オニキスさん....」

「何?」

「.......オニキスさんって一人っ子でしょう」

 アミィから話しかけておいて、かなりの間を開けて質問する。

「え?そうだけど...あ、いや、エメリア姉ちゃんがいるよ」

 オニキスが慌てて訂正するが、アミィは興味無さげに、盤上を眺めていた。


 何アミィが本当に聞きたい質問はそんな事では無かった。

ー平和は好きですか?

 彼女が本当に聞こうとしたのはこの質問だったが、直前で辞めた。

 なぜ辞めたのか、アミィにも分からない。

 彼女は心の中で、別に聞かなくてもいいか、と自分を納得させた。


ーーーーーーーー

 

 空が暗くなりアミィと解散したオニキスは、部屋に戻り食事とシャワーを済ませた後。

 暇を持て余して外へ出て散歩を始めた。


 シャワーで火照った体を夜風が冷ましていく。

 その心地良さに身を委ねながら、プラプラとあてもなく歩き続けてる。

 宿の近くと公園は夜もしっかり街灯が配置されており、歩きやすい、が、その2つから離れると途端に何も見えない程真っ暗な道になる。

 リゾートから離れたこの場所は、人の暮らしもない森だらけ、月の光すら届かないその道をオニキスが歩いていると、森の中にうっすらと光が見えた。

 オニキスは吸い込まれるようにその光へ近ずいて行った。


 オニキスかある程度近ずくと、光の正体が判明する。

 それは魔法陣だった。キラキラした緑色の光を散らしながら、大きな魔法陣が浮かんでいた。

 そしてその魔法陣を囲む怪しい人影が5つ。



(何あの黒魔術研究会みたいな人達、こわー)

 心の声とは裏腹に、オニキスは少しワクワクした表情でその人達に近づいて行った。

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