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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
44/86

44.創りたい/死なせない

 謎の部品が散乱する部屋で、クレイが語り始める。

「聖剣の誕生にはいくつかの説があるが、最も有力なのは精霊が鍛えたという説だ。」

「精霊!?」

 オニキスが子供のように目を輝かせる。

「ああ、聖国では物は長い年月を経ると精霊が宿ると言われてるんだ」

「へぇー」

(日本の付喪神みたいな感じか?まあ、日本人が作ったゲームだしな)


「他に有名な剣って言うとデュランダルだが、あれも天使に貰った説や、鍛冶神に作られたって説がある」

「いいなぁ、欲しいなぁ」

 そんなオニキスの言葉にクレイが少し不機嫌になる。

「他にも、ある鍛冶師が弟子を犠牲にして作った呪いの武器とか、世界の有名な武器にはそれなりの逸話が出てきやがるんだ....」

 オニキスは何故クレイがこんなに悔しそうなのか分からずに首を傾げる。

「そうだね、ロマンがあっていいんじゃない?」


「神とか、精霊とか、呪いとか、そんなあやふやな力に頼らずに自分の力だけで最強の武器を作りてぇんだ!俺は!」

 クレイの熱量が上がる。


「いいねぇ!手伝える事があったらなんでも言ってよ!」

 オニキスも立ち上がり、クレイの肩を叩く。

 そして、ポケットから黒いぬらぬらとした素材を取り出し、机に置く。

「うわぁぁぇ、な、なんだよ、コレ!?」

 クレイはいきなり差し出されたその、グロテスクな黒い肉を見て、部屋を飛び出す勢いで立ち上がり壁に激突する。

「例の黒い魔力に耐えれる素材だよ、これで武器を作ってくんない?」

 クレイの目には涙が溜まっており、オニキスは吹き出しそうになるのを必死に抑えた。

「足りなかったらまた言ってねー」

 とうとう笑いを抑えきれなくなったオニキスが、高笑いしながら部屋を出ていった。


「お、おい!こんなキモイの置いてくなよ!なんの素材が教えろー」

 クレイは腰が抜けていて立てない様で、ドアに向かって叫んでいた。



 次の日の朝、オニキスは宿に付いているレストランへ向かう。

 そこは学校とは違うビュッフェ形式でかなり混雑していた。


 オニキスが食事を取り終わり、席を探していると、4人用の丸いテーブルに1人で座るメーガンを見つける。

「おはよ、隣いい?」

「ダメ」

 オニキスがメーガンの前の席に座る。

「ちょっと、前もダメ」

「いや、俺これから一生、絶対メーガンと食べるって決めたから」

「...な!?、何言ってんの?」

 メーガンが顔を赤くしながら捲し立て、その様子を見てオニキスは満足そうに笑う。


「あんまりキッパリと否定しちゃダメだよ、オニーは人の嫌がる事大好きなんだから」

 料理の乗ったプレートを持ったエメリアがオニキスの横の席に座る。

「おはよ姉ちゃん、そんな、人を人格破綻者みたいに言わないでよ、ただのカリギュラ効果だよ」



「おはようございまーす、何の話ですか?」

 アガットもまた、料理を持って空いてる席へ座る。

「おはよう、アガットちゃん、俺がさっきメーガンをからかったのはカリギュラ効果であって、俺が性格悪い訳じゃないんだよーって話してた」

「カリギュラ効果ってなんですか?」

「やめろって言われると逆にやりたくなっちゃうやつ」

「あー、私もよく分かります!でも、やるとだいたい悪い方に行きますよねー」

「たしかに」

 オニキスとアガットがキャッキャと笑う。



 前菜を食べ終えたオニキスが肉を口に運ぶ、その肉にはソース等はかかっておらず、塩のみの味付けだった、しかし、手の込んだ料理の様な深みが口の中を広がっていく。

「美味しい.....」

 オニキスが幸せを噛み締めるように呟く。

「塩か、この塩が良いのか?」

 オニキスはそんな事を言いながら、席を立ちどこかへ向かう。


 そんな様子をエメリアが少し驚いた表情で見る。

「あんなに楽しそうにご飯を食べるの初めて見た..」

 困惑しているエメリア見て、メーガンは察する。


 味覚障害だった事、そしてそれが治った事、それをエメリアは知らない、恐らくオニキスがエメリアを心配させまいとして事だろう、しかし、それがメーガンにはとても悲しかった。


 レストランでオニキスと食事した時の事を思い出す。

 あの時、メーガンもオニキスと同じくらい喜びを感じていた。

 オニキスのこれまで苦労と喜びを共有した、あの瞬間に、幸福を感じた。


ーあれは私より先に家族が共有すべき感情だ。

 メーガンが目頭に熱いものを感じ、立ち上がる。

「すいません、御手洗に行ってきます」

「わかりましたー」


 メーガンが小走りでトイレへ向かう。

 メーガンはもうひとつ、オニキスのセリフを思い出していた。

『俺がもうすぐ死ぬって事を、まだエメリアに言っていない』

 いつかアミィの部屋でメーガンが聞いた言葉。


「絶対に死なせない」

 メーガンが固く拳を握りしめて呟いた。


 オニキスが塩の入った瓶を持ってテーブルに戻る。

「あれ?メーガンは?」

「御手洗に行きました」

「おっけー」

 オニキスは、スプーンに塩を乗せて舐める。

「美味しい...旨みって言うのかなぁ、これだけで酒いけるやつだ...」 

 オニキスがしみじみと呟く。

「お酒?」

 アガットがキョトンとしている。

「あ、やべ」

 オニキスが焦ってエメリアを見る。

「オニー...お母さんに迷惑掛けるのだけはやめてね」

「分かってるよ」

「本当に?」

「うん、捕まるなって事でしょ?」

「うん、なんにも分かってない」

 オニキスの適当な返事に、エメリアの説教は加熱し、メーガンが帰ってくるまで続いた。

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