43.破滅の道
森から飛び出した2つの影がオルスガルを引き裂く。
「シルバーに、タンザー!?」
クレイが2人の正体を見て驚きの声を上げる。
「クレイ!?、こんな所で何やってるんだ?」
タンザーもまた、クレイ達のパーティを見て驚きの表情を浮かべている。
「遊んでたんだよ、そっちは?」
オニキスが回復薬を飲みながら答える。
「遊んでるって...まあ、いいか、こっちは試験やってる所だけど」
オニキスの答えにタンザーが呆れながら答える。
突然、オニキスが森に顔を向ける。
すると、森の中から人が出てくる。
「シルバーさーん、タンザーさーん、どこまで行ってるんですかー」
藍色の長髪が特徴的なアガットが、手を振りながら大声でこちらに呼びかけている。
その後ろから2人、エメリアとメーガンがついてきている。
「へぇー、その5人で組んだんだ....意外、だけど...強いね」
「オニキス...今知ったのかよ...あんなに学校で話題になったのに...」
オニキスの言葉に、クレイがため息をついた。
エメリアはオニキスを見つけると、駆け足で近づいてくる。
「オニキス!?、なんでここにいるの?」
「遊んでた、姉ちゃんも混ざる?」
「う、うーん、いや、試験があるからやめとく」
エメリアは少し悩む素振りを見せたが、オニキスの提案には乗らなかった。
「そっか、メーガンは?」
「お断りします」
メーガンがいつもと違うお淑やかな声で断る。
「あ、そう言えば、こっちに怪我人が出たんだ、治してあげてくれない?」
オニキスがガーネットを見る。
「わかりました」
メーガンがガーネットの腕に触れ、治療を開始する。
「オニキスは回復魔法使えないのか?」
メーガンの治療を少し離れたところから見ているオニキスに、クレイが話し掛ける。
「使えないよ、意外だった?」
「まあ、意外だな、首席で使えない人の方が珍しいんじゃないのか?」
「そうだね、俺の場合は魔力の特性と回復魔法の相性が悪くてさ」
「へぇーその黒い魔力か、どんな特性なんだ?」
オニキスが少し間を置き、話し始める。
「俺の魔力特性は多分、何かを壊す事に特化した魔力だと思う」
「壊す?」
オニキスが持っていた魔力剣に魔力を流すと、剣に傷が入り、壊れた。
「こんな感じ、何かを壊す魔力と何かを治す魔法は相性最悪なんだよ」
「なるほど、攻撃魔法に特化した魔力か、けどオニキスは攻撃魔法あんまり使わないよな?」
「強い攻撃魔法を使うのには脳を強化しないといけないだろ?」
オニキスの言葉を聞いたクレイがハッとした表情で顔を上げる。
「そうか...脳に壊す魔力を流すのは....いや?いやいや」
クレイが何かに気づき、後ずさりする。
「それって強化魔法を使う度に....そんなの....最弱の魔力じゃ....いや、そこまでして..なんで....」
「終わりましたよ」
メーガンが治療を終えて立ち上がり、オニキスに近づく。
そしてオニキスに触れて回復魔法を開始する。
「ありがとう」
その後、シルバー達と別れ、オニキス達も解散する事になった。
オニキスが宿に着いた時にはもう、日は完全に落ちていた。
オニキスは自分の部屋に戻り、ベットの上で目を閉じる。
(暇だ...アミィの部屋にでも遊びに行くか?流石にダメか)
右腕にある腕輪を見る。
(位置情報の監視くらいはしてそうだしなー)
「よし」
オニキスが立ち上がり、部屋を出ていった。
オニキスが部屋のドアを叩くと、扉が開く。
中から顔を出したのは、少し眠そうなクレイだった。
「オニキス?どうした」
「暇だったから遊びにきたよ」
クレイの部屋は何かの部品が乱雑に散らばっていた。
「クレイ....まだ1日経ってないのに、なんでこんなことに....」
「ご、ごめん、」
「まあ、いいや」
そう言ってオニキスがベットへ飛び込む。
「おい!俺のベットだぞ」
「大丈夫、さっきお風呂入ったばっかりだから」
クレイがため息を吐いて、部屋の椅子に座る。
机の上には何か複雑そうな何かが置かれている。
「何それ?」
オニキスがその謎の何かに気づく。
「ああ、武器だよ」
「へぇー、見た事ない形だけど、なんなの?」
「暇潰しで、何も考えずに手を動かしてたら出来た奴」
「何それ、おもろ」
オニキスがベットから出て、その何かを見つめる。
「ぽえー」
「クレイって聖剣を越える武器を創りたいんだっけ?」
オニキスが楽しそうにその武器をつんつんしながら、クレイに話し掛ける。
「聖剣を越えるっていうか、最強の武器をこの手で創りたいんだ」
クレイが真剣な表情で答えた。
「なんで?」
「なんでって...鍛冶師なら誰もが目指すべき所だろ!」
「そ、そうなんだ」
クレイの予想外の熱量に、オニキスが少し困惑する。
「聖剣だって正確には人の手だけで作られた物じゃないんだからな」
クレイが悔しそうに拳を握りしめる。
「え!?そうなの!?」
「知らないのか!? 1番有名な剣だぞ!」
「うん....教えてくれない?」
オニキスが気まずそうに頬を搔く。




