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LAST GAME〜楽しいゲームの世界に転生して〜  作者: あき
狂気のデスマッチ編
37/86

37.仲裁

 オニキスとタンザー、黒い光と青白い光がバチバチとぶつかり合う。


 オニキスとタンザーの戦いは、拮抗し、高め合い、遂に誰にも分からない未知のゾーンへ突入する。


 世界中から優秀な者が集まるこの学園であっても、この戦いを正確に観測できる者は少なかった。


 人の身を越える魔力を宿すオニキスと、そんな化け物に普通の魔力で対抗するタンザー。

 そんな魔境をまじかで見るクラスメイトの心情は、嫉妬、羨望、そして恐怖。




 アミィとメーガンも彼等の戦いをじっと見つめる。

「アミィ...オニキスは大丈夫なんだよね?」

「私にも分かりません、オニキスさんも分かっていないと思います」

「そ、そんな....」

 メーガンも皆と違った意味で恐怖していた、今のオニキスはいわば風船だ、空気がパンパンで、いつ破裂するか分からない風船。

 そしてオニキスは今もその風船に空気を入れ続けている。


「止めないと」

 メーガンが覚悟を決め震える足で1歩踏み出した。


ーーーーー


 オニキスはもう一度距離を取る。

 魔力操作のコツを掴んできたオニキスが、魔法陣を作り始める、魔法陣に描かれている図形は多くない、簡単な魔法だ。


 魔法陣から魔力で作られた半透明の剣が現れる。

 オニキスはその黒い剣を構え、もう一度突撃する。

 

 対するタンザーは剣を構い直し、深呼吸する。

 一瞬だが魔法を発動する隙は十分あった、しかしタンザーは剣のみに集中する。


 オニキスが地を駆け、タンザーへ襲いかかる。



 その瞬間、辺りに眩い銀色の光が包み込み、観客達は皆、その光に耐えられず目を瞑る。


 光が消え、観客達は目を開く。


 最初に視界飛び込んできたのはオニキスの剣を魔法の盾で受け止めるエメリアと、タンザーの剣を聖剣で受け止めたシルバーだった。


 エメリアの盾には穴が空き黒い剣が貫通している。

 幸い、ギリギリの所でエメリアには傷は付いていない。


「姉ちゃん....」

「オニー、聞きたい事はいっぱいあるけど、今は聞かないでおいてあげる、だから医務室に行ってきて」

 エメリアはオニキスを力強い目で見つめる。

「分かった、ありがとう」

 オニキスは強化の魔法を解き、脇目も振らずに演習場から出て行った。

(ブレーキはちゃんと機能すんのかよ.....)


ーーーーー

 一方タンザーは未だに緊張状態で、剣に込める力が抜けないでいた。

「タンザー!落ち着け!」

 シルバーが銀色の魔力を纏い剣に力を込める。

 

 その光を見てようやくタンザーが息を吐き、その全身から力が抜け、ヘナヘナと座り込む。

 彼の手は小刻みに震え、顔は恐怖に染まっている。

「あ、ああ、ごめんシルバー、もう大丈夫」

 タンザーはシルバーから差し出された手を取って、立ち上がる。



「だぁぁぁあぁぁ!クソがァァァァァァァ」

 シルバーの背後でアレクスが魔力を撒き散らしながら地面を殴る。

「シルバァァ、次は俺とだ」

 アレクスがシルバーを睨みつけて言う。

「アレクス.....お前も一応医務室に行けよ」

 シルバーはタンザーに肩を貸し、早々に演習場を後にした。


ーーーーーーー

「あ....」

 オニキスとエメリアのやり取りを呆然と見ていたアミィがなにかに気づいたように呟く。

「メーガンさん、オニキスさんを探しに行かないと」

 未だに呆然といているメーガンは、何が何だか分からないといった顔をしている。

「オニキスさんは医務室に行けません、色々な意味で、オニキスさんを治せるのはメーガンさんだけです、探しに行きましょう」

 そう言ってアミィも演習場から出て行った。


ーーーーーーー


 アミィとメーガンは二手に分かれて、オニキスを探す事になり、メーガンがひとり学園の廊下を歩く。

 静かな廊下に、メーガンの足音だけが響く。

 その足取りは重く、表情も優れない。

「私、どうすれば....」


 メーガンが歩いていると、隣の部屋から物音が聞こえる。

 部屋の名前は男子トイレ。

 その部屋の名前を見て、メーガンは首を傾げる。


 この学園のあらゆる部屋には魔法で結界が張られている。その効果は様々で、例えばトイレの部屋には透視魔法防止や生体認証、防音魔法まで、主に犯罪対策の魔法が掛けられている。

 

 この学園では部屋から廊下に音が漏れることは基本的にないのだ。


 メーガンは物音のしたトイレのドアノブに手をかける。

 すると、メーガンには開けられないはずの扉がゆっくり開き始めた。


 清潔なトイレにはパッと見人はおらず、幾つか並ぶ個室の1つが閉まっている。

「オニキスー、いるー?」

「なんだ、メグか」

 個室の中からメーガンの愛称を呼ぶ明るい声が聞こえる。

「メグ?」

「Meganを略してメグだよ?」

「いや、そっちじゃなくて....じゃなくて、大丈夫なの?」

「うん、大丈夫、先帰っていいよ、俺もすぐ行くから」

「そう?でも一応スキャンするよ」

「..........いや、大丈夫」

「?、ほんとに?」

「..........」

 オニキスの返事が無くなる。

「オニキス?」

 メーガンが個室の扉へ手をかける。

 その扉は抵抗もなくすんなりと開いた。

 

 そこにあったのは便器に座るオニキスの姿......ではなく、便器の前にぐったりと座り込むオニキスの姿だった。

 オニキスの周りには空になった回復薬の瓶が幾つも転がっている。


「オニキス?!」


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