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23.禁忌

 アミィの服に着替えたオニキスはその清潔感溢れる白いベットへ寝転がる。

 肌触りの良いシーツに程よく柔らかいベットがオニキスを包み込み、眠りへと誘う。


 オニキスはその眠気に身を委ねた。


「オニキス?まあ、寝たままでもいいか」

 メーガンが集中を始める。

「アミィ、どこから始めればいいと思う?」

「とりあえずスキャンの結果を」

「この前やったばっかりでしょ?身体への負担は?」

「今更でしょう」

「...そうね」


 メーガンが魔法を発動し、隣にオニキスがもう一人現れる。教室で見せた簡単な3Dモデルとは違い、オニキスの精巧な人形のような物になっている。


 アミィはその人形の火傷だらけの腕に触れると、簡単に腕が取れる。そしてパンを分けるように人形の腕を縦に引き裂く。

「この火傷は...もう治ってるのか...

 とりあえずメーガンさんが今治せる所はありますか?」

「筋肉や関節ね、この辺はパッと治せる、他の臓器は一応他の先生の意見が聞きたい所ね」

「関節はもう諦めるしかないと思ってました...さすが聖女の魔法ですね」

 アミィが怪しい笑みを浮かべる。


 メーガンが魔法陣を作りだすと、神聖な光が人形を包み込んで行く。

「人形で回復魔法のシュミレーションですか、凄い、なんて便利なんだ!欲しい!」

「一応聖国の秘術だから、自重してよね....」

 アミィが今にも踊りだしそうなテンションで人形を見つめる。

 人形への魔法が終わり、メーガンが満足そうに人形に触る。

「おっけ、このプランで行くわ」


 メーガンが治療を開始する。

「脳はとても綺麗なのね」

「そうですね...ここまで綺麗な魔法使いの脳は見た事ありません」

「もしかして脳を強化してないの?」

「そうでしょね、それどころか命に関わりそうな臓器は恐らく強化して無いんでしょうね」

「いや、待って、脳を強化しないで、シルバーにも私にも勝ったの?!」

「ええ、驚異的ですね」

「それって力の半分も出せてないって事じゃない!」

「もっとじゃないですか?」

 メーガンの手が汗ばんでいく。

ーこの人なら本当に、魔王を....


ーーーー


 オニキスが眠そう目を擦って起きる。

「久しぶりによく寝れた.....」

「おはよう、オニキス」

 メーガンがオニキスの顔を覗き込む。いつものクラスメイトに接する態度ではなく、医者が患者に向ける態度だ。

「体が軽い.....タイムリミットはどのくらい伸びた?」

「伸びてないわ、そこまで大掛かりな魔法はまとまった休みが取れる時にしましょう」

 メーガンが席を立ち、どこかへ行ってしまう。


 オニキスがアミィを見つける。

 彼女は椅子に座り、人形を見つめ、何かを考えている。

「え?何その人形」

 オニキスは飛び起き、人形に近づく。

「ああ、メーガンさんが作ってくれたオニキスさんの人体模型です」

「アミィ!あっち向いて!」

 オニキスは上着を脱いで人形の股間を隠す。

「なんで裸の俺がここにいるんだ?!」


 こんなに騒いでもアミィの視線が変わることはなく、ただ一点、その人形を見つめている。

「あっち向いてってば!」


 メーガンがお茶を持って寝室へ帰ってくると、オニキスが人形に抱きついていた。

「何やってるの?」

 オニキスが目に涙を溜めて言う。

「メーガンも見たのか?!俺のチンチンを!」

「はぁ?!私達だって別に見たくなかったわよ!でもしょうがないでしょ?!」

「せめて許可取ってよ!」

「あんたが寝るのが悪いんでしょ?!」

 二人がワイワイと言い争いをしている間もアミィは黙って何かを考えている。


 するとアミィが突然立ち上がってどこかへ行ってしまう。

 残された二人が唖然としていると、アミィが本や資料を持って帰ってくる。


「私のプランを聞いてください」


 アミィがベットに本と資料を並べていく。内容はどれも魔族の体に関する物だ。

 並べ終わるとアミィが真剣な面持ちで口を開く。

「貴方が体を傷つけて治してを繰り返しても、寿命は縮むばかりです。そこで根本的な解決案を考えました」

「アミィ...私は非人道的な事はしないわ」

 メーガンもまた真剣な目でアミィを見返す。メーガンにはアミィの案の見当がついているらしい。

「根本的な解決案って?魔力の色を変えるとか?」

「魔力の色を変える方法はまだ見つかっていません、いつか私が見つけます」

 オニキスが目の前に置かれた資料を見つめる。


「なるほど、俺の体の方を改造しようって事か?」


 一呼吸置いてアミィが無機質な目をメーガンに向ける。

「はい、メーガンさんの魔法なら可能です」


 オニキスは大きく息を吐き、メーガンは怒りの籠った目でアミィを見る。

「私はやらない」

「どうしてですか?」

「どうしていいと思ったの!人を魔族に改造するなんて!非人道的よ!それに、成功するとも思えない!」

「やって見ればいいでしょう?その人形で」

「やらない!」


「ちょっと考えさせて」

 オニキスはそう言ってメーガンから貰ったお茶を飲む。

「意外ですね、オニキスさんは二つ返事で受けると思ってました」

「オニキス、考える必要なんて無い!私はやらないから」

(うるさいなぁ、静かに考えさせてくれよ)


「メーガン、俺が魔王を倒すのに協力するって言ったよね?」

「うん、それでもやりたくないものはやりたくない!」

「勇者を助けたいんでしょ?皆がやりたくない事を勇者に押し付けた結果が今じゃないの?」

 メーガンの顔が苦悶に歪む。


「アミィ、実は、俺がエメリアを避けてる理由はもう一つあるんだ」

「へぇ、その理由は?」

「俺がもうすぐ死ぬって事をまだエメリアに言ってない」

「....なるほど、言えなかったんですね」

「ああ、でも、言わなくていいならそれが一番だ」

 オニキスがニヤリと笑う。


「やってくれ」

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