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21.不穏

 オニキスはメーガンと別れ、教室へ戻るために廊下を歩いている。

(聖女様を説得するためにああ言ったけど、王がこの学校に来たのは多分別の理由だ、だってそれが理由ならゲームで登場しなかったのがおかしいし....)

 オニキスは頭を悩ませていると、いつの間にか教室に着いていた。

 

 オニキスは席に着き、謎の空き時間を利用して本を読み始める。

「おい!お前、聖女様に何をした!」

 なんの特徴もない集団がオニキスを囲み、凄む。さっき食堂でメーガンに話しかけていた集団なのだが、オニキスは気づいていない。

「なにも?」

 オニキスは彼らには目もくれず、本を読み進めている。

「なにも?ならなんで聖女様が泣いているんだ!」

「知らないよ、本人に聞けばいいじゃん」

 そう言われると、その男は苦虫を噛み潰したよう顔をする。

 もう本人には聞いたらしい。


「何をしてるんですか?」

 教室の入り口からメーガンの静かな声が伝わる。

「こいつが何かしたんだろ?!だから謝らせる」

 その男がオニキスに掴みかかろうとする。

「やめて、オニキスから離れて」

 その親しげな呼び方に周りは戸惑っている。

「早く」

 メーガンの冷たい言葉が彼らに刺さる。

 その集団は仕方なく離れていった。

 メーガンがオニキスの隣に座る。


「乗るわ、貴方の提案」

 メーガンがそう呟くと、オニキスはニヤリと笑った。

(ごめんね、勇者、魔王は俺が貰うよ)


「なんの本読んでるの?」

「初めてだね、聖女様から話しかけられるの」

「協力するんでしょ?貴方の事も知っとかないと」

「そうだね....じゃあ俺の事はオニーって呼んでよ」

「それはやだ、オニキスって呼ぶわ、私の事もメーガンって呼んで」

「ふふっ、よろしくメーガン」

 オニキスが手を差し出し、メーガンが握った。


ーーーーーー


 その後2つの簡単な講義を受け、放課後。


 オニキスは背後に視線を感じる。

「メーガン!俺、先に生徒会行ってるから!」

 困惑するメーガンを置いて、オニキスは走って教室から出ていった。


 生徒会では新入生へのサポート資料の制作を制作する。

 中にはこの広い校内の地図があり、オニキスはそれをじっと見つめる。

「シエナ先輩」

 オニキスは席を立ち、少し離れた所にいる、暇そうな黒髪清楚の先輩へ話しかける。

「なんですか?」

「成績優秀者は部屋貸して貰えるってまじですか?」

「そうですよ、と言っても秘匿性の高い研究分野専用で、普通は3年生が使う部屋ですけど....」

 シエナ先輩はアミィを見る。

「アミィさんなら借りれるかも知れませんね、彼女の論文、先生達の中で噂になってるみたいですから」

「ありがとうございます先輩」

 オニキス少し離れたアミィの元へ向かう。


「ねぇアミィさん」

 オニキスが小さな声で話しかける。

「なんです?」

「俺最近メーガンと仲良くなったんだ」

「そうみたいですね」

「だからさ、二人っきりになれる場所が欲しくてね」


「ちょっと!何言ってるの?!」

 メーガンは何を勘違いしたのか、顔を赤くして立ち上がる。

「どうしたんだい?メーガンさん」

 生徒会長のサイアンが心配そうな顔で話しかける。

「いえ!なんでもありません!」


「だからさ、アミィさん、俺たちの為に部屋借りれないかな?」

「私はホテルの受け付けではありません」

 アミィがニヤニヤしているオニキスと顔を赤くしているメーガンを見る。

「何が目的ですか?」


 オニキスは息を吐き、下品なおじさん笑いを辞める。

「メーガンが治療に協力してくれるらしい、誰にも見られたくない」

「私のメリットは?」

「言う必要ある?」

 アミィは目を輝かせながら、首を傾ける。

「結構前からワクワクが隠しきれてないよ....」

「そうゆうことなら、私の家に来ます?」

 アミィが可愛く笑う。普段のクールな彼女からは想像出来ない程綺麗な笑顔で、オニキスは少し恐怖を感じた。

 

 そこからのアミィの仕事は凄かった。本来2日かけて作る資料をほぼ1人で終わらせてしまった。

 

「先輩、お先に失礼します、早く行きましょう!みんな」

 テンションの高いアミィが乱雑に資料を纏めて部屋を出ていく。

 少し失礼な物言いにオニキスはヒヤヒヤするが、先輩達は笑って見送ってくれた。



 オニキス達一行はアミィの案内で街を歩く。

「あれ?アミィってこの国の人じゃないよね?」

「ええ?そうですよ」

「寮はあっちだけど....」

「ああ、寮は私には手狭で、もう少し大きい部屋を借りたんです」

「なるほどねぇ、俺が住んでる家もこっち方向なんだよ」

「へぇ、じゃあ登校中に会うかもしれませんね」


「あれ?オニー?」

 聞き覚えのある声が聞こえる。

 一行が振り向くと、エメリアが心配そうな顔をして立っている。

「オニー?何してんの?」

「エメリア姉ちゃん....ちょっと友達の家に遊びに行ってくる。

 ベリルさんにも遅くなるって言っておいて」

「そ、そっか.....友達できたんだ、良かったね!」

 エメリアは少し目に涙を溜めている。

(そういえば二人はこの世界に来てからの初めての友達になるのか、友達かは怪しいけど、エメリア姉ちゃん心配してたんだ)

 エメリアがメーガンの手を取って、握る。

「アミィさん、メーガンさん、オニキスのことよろしく」

 エメリアが少し悲しげに笑った。少しメーガンの顔が赤くなっている。

「早くしないと暗くなっちゃうから。もう行くねエメリア姉ちゃん」

 

 オニキスは少し強引にエメリアと別れた。

「エメリアさんと仲いいんだ」

 メーガンが久しぶりに口を開く。

「まあね、エメリアのお母さんに引き取られてね、エメリアとはお姉ちゃんみたいな感じ」


「でも、学校では避けてますよね」

 アミィはサラッと口にするが、それを聞いたオニキスは目を見開き驚いている。

「アミィ...お前凄いな、姉ちゃんだってまだ避けられてる事に気づいてないのに...」

「え?なんでそんな事するの?思春期?」

 メーガンがバカそうな顔で聞いてくる。


「俺と仲良いと迷惑掛かるだろ」

 そう言うと、メーガンが黙り、一行に気まずい空気が流れる。

 誰もフォローする事なく、その空気のまましばらく道を歩いていく。

 するとメーガンが何かに気づいたように足を止める。


「ん?ねぇ、それって....

私達には迷惑掛けてもいいって事?!」

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