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異・セカイ生存圏  作者: オール・マッド
序章「吸血鬼アドルフ」
14/19

祖国から去るもの、

タイトルに間違いがありましたので修正いたしました。

「…ほほう、つまりはこの暗黒大森林を棲み処とする種族を束ね、我が祖国シュタイン地下王国の確かな後ろ盾と共に打って出るというわけですな。しかしアイゼンバッハ国王陛下に迷惑はかけられん。恐らく協力と言っても陰ながらの支援くらいだろう。それくらい現在のアドルフ閣下にいる軍勢は矮小じゃ」


たしかに現在動かせる手勢は負傷者を除きわずか495名程度、それにガング殿が指揮するゲオルグ・プライドを傘下に入れたとしても1000余名程度、決して多いとは言い切れない。

現在この暗黒大森林を根城にしている対話叶は種族はゴブリン、ダークエルフを含めて六つ。

小鬼族(ゴブリン)吸魔族(ダークエルフ)小人族(ホビット)豚鬼族(オーク)蜥蜴族(リザードマン)、そして唯一独立して動き、我々と友好ではない蟲人族(デミインセクト)


蟲人族との対話は一筋縄ではいかない、他の種族と違い、情報が皆無に等しい。

現在、交渉が始まっていない三つの他の種族がすぐに下るとしてもその手勢は恐らく一万に届かないだろう。小鬼族と豚鬼族の特性上、他種族の女を孕ませ続けて兵士を量産するのは簡単だが、それはあまりにも誇りを肥溜めに捨てるが如き所業…少なくとも姫様配下である最後の誇りを持った我らゴブリン一族にはできぬ…。


ただしかし…




「良いのですか?頼みの綱であったダークエルフも壊滅状態にて、蟲人族を除いた全ての種族を手中に収めたとしても、大森林に隣接する国家は大国ばかり、戦えたとしてもせいぜい最初の奇襲のみのように感じられますが…」


「…たしかに、お前たちのみの力であればそれは揺るがないだろう。ゴブリンにしてもダークエルフにしても、時代によっては精鋭でもあった。その証拠にいくらか局地的勝利を重ねている。が、しかしだ。大局を見ればそのすべてが大敗に終わっている」


アドルフはジークにいくつかの戦役に関する書類を叩きつけた。


「それはなぜか?一つは技術格差だ。ゴブリンは少しかじった程度の鍛錬技術や数学や建築技術はあれど体躯は小さく、魔法も苦手な種族だ。ダークエルフは魔法に関しては合格点、当時としては先端技術であっただろう。しかし、彼らの長い寿命はその技術の進歩を止めてしまった。長命な種族は短命な種族と共存した社会にて時間感覚が養われ、目覚ましい進歩の要因となるが、現在はその関りが希薄になってしまったために、装備やその他技術における差が露骨に出てしまったな。もう一つは…」


ジークは既にこのアドルフの言葉一つ一つに納得し、自らの未熟さを悔やんだ。


「もう…一つというのは」


「簡単だ、軍師の不在。様々な書類に目を通したが、有名な智将が全くと言っていいほど不在ではないか。魔族の誇りのようなもので、作戦などではなく己の力量で敵を討ち滅ぼすことを何よりの美徳としているのが災いしているのか、()()()()()というのもほとんどが武勇に優れた猛将で、兵法に関してはほぼ記述がない。精々奇襲と突撃、簡易な防衛が関の山とは悲惨でしかない」


「しかし閣下。今から育てるのではあまりに時間がかかり、探したとしてもそれは負けるとわかっている博打を打つような所業にて、良い結果は望めぬかと…」


すると、アドルフはすこしキョトンとした顔をして、すぐにその意味を理解する。


「そういえば言っていなかったな、私は昔、謀略にて国を乗っ取り、数々の大国を討ち滅ぼしてきた。軍師というのは私のことだ。ジークよ。私がこうやって過去の資料を読み漁っているのはただお前に文句をつらつらと並べて敗北の理由探しをしているわけではない。あまり人の言葉を引用するのは好みではないが、『孫子曰く、敵を知り己を知れば百戦して危うからず』といったそうな」


「…つまりはこれも全て勝利のための情報収集にすぎぬと?」


「その通り。世界に覇を唱えるのだ。寡兵での戦如き、勝てぬようでは元から負けているのと同じことよ」




________「アドルフ閣下の下ならば、勝利は固いでしょう。我らが覇道はやがて王道に成り得る。あなたも彼に下ればいずれわかるでしょう」


「あんたの答えが気に入った、例え滅亡したとしても数千の軍勢がおれば一戦するには十分というもの。何より、ワシはジーク殿を気に入った。あんたと共に戦いたいものよ」


その日、密かにゲオルグ・プライドはアドルフの軍門へと下った。


知らせはすぐにアドルフの下に届いた。アドルフが何故ガングに直接交渉を持ち掛けなかったかというのは後々にてわかるお話。


数日後、ゲオルグ・プライドを除く部隊はすべて、ヨークランド連盟王国へと帰還を果たす。


ゲオルグ・プライドに関する情報はアドルフの手によって口封じされ、ブラックドッグの巨大な群れに襲われた彼らはゲオルグ・プライドの傭兵たちを殿として命からがら逃げ帰ったというシナリオへ変わった。


そのまた数日後、場所はシュタイン地下王国・大城塞、国王の間


「ヨークランド連盟王国からの伝令あり!ゲオルグ・プライド傭兵団は殿を果たし、全滅との書状にございます」


玉座には髭を蓄え、甲冑を身にまとった男が佇んでいた。


「…ガングは逝ったか、我が懐刀であり、ドワーフの長い歴史の中でも有数の勇猛さと鍛冶技術を蓄えた強者であったが…悔しさは募るばかりだ」


彼はシュタイン地下王国国王アイゼンバッハ、彼の後ろから黒いローブを身にまとった男が現れる。


「国王陛下、早馬にて機密の書状があります。現在進行中の戦争計画について軍部との会議の前に目を通してくだされ。()()()()()()()()()()()()()よりということは一大事に他なりませぬ」

まずは二か月も投稿期間を開けてしまい、本当に申し訳ございませんでした。夏は投稿主がいろいろと忙しかったのに加え、ちょっとゲーム面白過ぎたのが8割の理由でございます。長期間投稿しておらずとも失踪することは現状ないと思うので多分ゲームが飽き始めたらちょくちょく投稿していくんで長ーい目で見ていただけると幸いにございます。ちなみに、この主人公「アドルフ」が差別を受けていた種族を束ねていく第一章ですが、この話を折り返し地点とさせていただきたい。

第二章にはちょっといろいろと書きたい部分がありますのでそちらに向けて精進してまいりますのでこれからもご愛読のほどお願い申し上げます。

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