偽りの恋に疲れた令嬢は、棺に眠る恋の約束を目にし、不誠実な恋人を捨てる
異世界恋愛・失恋モノ。
家紋武範様主催『約束企画』参加作品です。
泥炭地で腐らない遺体(湿地遺体)のことを知って書いてみました。
誤字脱字報告ありがとうございます!
そして、たくさんの感想もありがとうございます!!!(感涙)
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【1.序】
ハイディは婚約者のいる男と恋仲になってしまった。マックゴールドリック伯爵家の長男ドウェインだ。
ドウェインは婚約を破棄してハイディと一緒になると、熱っぽく何度も言った。
「婚約者は病でね、寝たきりなんだ。良識ある親だったら婚約は辞退してくるはずだ」
ドウェインはそう言って、何度もハイディの手を撫でた。
「だから、お願いです、待っていてください」
こういう男は信用できないと、世間はいつも言うではないか。
ハイディは半信半疑だったが、しかし信じたい気持ちの方がいつも強かった。
「では待ちます……」
ドウェインの気持ちに嘘はないと思う。
でも彼には結婚の約束をした人がいる。
結婚の約束をした人がいるのに、ドウェインは私と会っている。
彼に結婚の約束をした人がいるのを知っていて、私は彼と会っている。
これが不誠実な関係でしかないことは、頭ではよく分かっている!
私はなんて未熟者なんだろうか。
でも、愛してしまった。彼が逢おうと言ってくると、どうしても抗うことはできないのだ。
いつもいつも……。
これまでに、断りの手紙を書いたことはあった、でも、すぐに使者を呼び戻して手紙を破り捨てた。
彼が「待っていてください」と言うのを信じて、ハイディは婚約が破棄されるのを待つ。
──でも、それはいつまで?
案の定、ドウェインの婚約破棄の話はなかなか進展しなかった。
ハイディとドウェインは人目を忍んで逢瀬を続けていたが、ドウェインはいつも申し訳なさそうな顔で、
「すみません、なかなか先方が断りを入れてこなくて」
「病人をこちらから捨てるのはちょっと外聞が悪くて」
「見舞いは行っていますが、彼女とは何もありません。横たわっている彼女の横で、彼女の家族を相手に話をするだけですよ」
「彼女だって別に私のことは好きじゃないんです」
などと繰り返す。
そしてハイディに言うのだ。
「本当に好きなのは君だけ」
「ねえ、ハイディ、先方もちゃんと分かっていると思います。病の娘など大手を振って嫁にやれないじゃありませんか」
「私を見捨てないで。どうか私を待っていて下さい」
ハイディはその言葉を信じて待っていたが、ついには待つのに疲れてしまった。
ドウェインを愛している気持ちは変わらない。
しかし、人に誇れない不誠実な関係は、確実にハイディを苦しめていた。
愛している。会えると胸が躍り出す。でも同時に、強い背徳感と、将来への不安が押し寄せてくる。
彼を信じて待っていても良いのか、それともこの恋はやめるべきなのか。
つらい、つらい、つらい──。
ハイディは少し心に休息が欲しくなって、田舎の領地に帰ることにした。
ドウェインとしばらく離れることはとても寂しく後ろ髪ひかれる思いだったけれど、それでも少し環境を変えなければ心が押しつぶされて窒息すると思った。
「愛しているよ、ハイディ。君が傍にいないととても寂しい。こちらの問題を片づけて、必ず君を迎えに行くから、待っていて。私を見捨てないで。愛している──」
王都を離れる馬車に乗り込むとき、ドウェインはそういってハイディの手を強く握りキスをした。
「これは別れじゃないからね、必ずまた──」
ハイディはもう本当に涙が止まらず、かといってずるずると同じ環境に留まるのも苦しく、つらそうにドウェインの顔を眺め、
「必ず、迎えに来て──」
と嗚咽の混じる声で懇願すると、馬車を出させた。
馬車の中で、どれだけハイディが後悔したことか。
しかし馬はハイディの気持ちなど知らず、淡々と手綱をひかれるまま道を往く。
田舎の領地には兄レンベック伯爵と兄嫁が住んでいた。
ハイディが故郷の邸に到着すると兄嫁は露骨に嫌そうな顔をした。
「ハイディったら相変わらず派手な格好をしているのね。こんな田舎で派手にしていたら身持ちが悪い人みたいですよ」
「どうして嫁に行かないの? もう16でしょう。いつまでも若い子気分で独り身でいるなんて、恥を知らなきゃだめじゃないですか」
「結婚相手の選り好みをしているの? もっといい人がいるんじゃないかとかそういう考えは感心しませんよ。身の程に合った結婚相手なら十分じゃないですか」
兄嫁は兄と結婚する前は別の人を好きだったと聞いた。
その人が兄嫁とは違う女性と結婚してしまったから、兄嫁は兄と結婚したのだと言っていた。
兄には気の毒だけど、兄嫁はきっと幸せじゃないのだ。だから私にこんなことを言うのだ。
そんな風にハイディは思った。
「まったく嫁き遅れの義妹が邸にいるなんて、やりにくいったらありゃしないわ。せっかくだから少し旅行に行くことにするわ。留守番お願いね」
そう言って兄嫁は、兄と子どもたちを連れて旅行に行ってしまった。
ハイディは正直ほっとした。
口うるさい兄嫁がいなくなって少し羽が伸ばせると思った。
だいたいあの兄嫁が(兄嫁だけに限らないかもしれないが)、もしドウェインのことを知ったらどんなにハイディを罵るだろうかと考るとぞっとする。
ハイディだってわざわざ兄嫁などに言われなくても十分に分かっているのだ。だからこうして田舎に帰ってきたのだし。
兄嫁が余計な詮索をせずに、義妹を疎ましがってさっさと旅行に行ってくれたのは、ハイディにとってはまだよかったことかもしれなかった。
【2.眠っているような死体】
そうして留守を仰せつかっていたある日。
朝方、急に領内の北方にある村の村長が訪ねてきて「お家の方の遺体が発見されました」と言うので、そんなことあるもんかと思いながら、ハイディは村長に連れられてその亡くなった人を見に行った。
亡くなった親族の話は最近聞いていない。
思ったより長いこと馬車に揺られてついた先は見渡す限りの原野だった。どこもかしこも背の低い草が生えてはいたが、生育環境があまりよくないのかひょろひょろとして、色が薄くて少し褐色を帯びていた。確かにこの地方は大きな川があって水気はあるが、寒くて土が悪く、あまり農業には適さないところだった。
馬車が止まったので
「ここ?」
とハイディは村長に聞いた。
自分で馬車を下りてみると、ちょっと先に10人ほどの人だかりができているのが見える。
皆一様に下を向いているので、その視線の先を辿ってみると、泥まみれの遺体が横たわっているのが確認できた。
ハイディは近づいてよいものか一瞬迷った。もし遺体が腐っており、見た目がぐずぐずで強烈な匂いを発していると嫌だなあと思ったからだ。
しかし、それならこんなに人だかりができているわけがない。
村長に促されるようにしてハイディは遺体に近づき覗き込んでみた。そして、驚いた。
遺体は少しも腐っていなかった。
そして、その遺体の男性は、まだ若くて、たいそう美しかった。美しいまま、まるで眠っているかのようだった。
その遺体の主は、泥に埋まっていたため確かに変色して肌は張りを失っていたが、その人が端整な容姿を持っていたことが見て取れた。
掘り起こされた今となっては乱れていたが、それでも麗しい金髪の巻き毛は優雅に切り揃えられ、かつては丁寧に整えられていたのだろう。
しかもたいへん上等な衣装を身に着けていた。たくさんの色の糸を使って織り込まれ、張りのある肉厚の生地に刺繍、あちこちと施された職人の手仕事が見事だった。
こんな衣装を身に着けられるのはよほどの身分と思われる。
そして、その身分を保証するように、首から紋章がかけられていた。
金の細工品。
そう、それは確かにハイディのレンベック伯爵家の紋章だった。
村長はちらりとハイディを見て躊躇いがちに言った。
「こちらの紋章を着けていらっしゃるものですから……」
「そうね。でも、変よ。身内にこんな方いないわ」
ハイディはきっぱりと言った。もし身内にいたとしたら絶対に見知っているはずだ、こんなに見目が好いのだから。
「でもお身内だと思うのですよ。まさか盗んだ紋章ではないでしょう? だってこの方はこんなにも立派でいらっしゃる」
村長にそう言われて、ハイディがもう一度まじまじと遺体を見ると、確かに違和感がある。
「この方は大変美しいし、もう佇まいだけで高貴な方だと分かるわ。でも、なんだか服装のデザインが……古臭い……今風ではないわね?」
「そうでしょう。でもよく似合っていらっしゃる。だから、我々は別の可能性を考えています、ハイディ様」
「別の可能性?」
ハイディは訝しげに村長を見つめた。
村長は軽く頷く。
「時を越えて眠っていた遺体だということです」
「時を越えて眠っていた? それはどういう?」
ハイディは余計に怪訝そうな顔をする。
村長は困ったように額を撫でて、
「いやあ。この地ではごくたまに、こういうことがあったと聞いていましてね。つまりね、大昔に亡くなった方の遺体が腐らずに発見されたことが、前にもあったそうなのですよ。私も実際自分の目で見るまでは信じませんでしたが」
と言った。
「でも村長、大昔に亡くなった方の遺体って。遺体なんて普通腐ってしまうでしょう?」
「それが腐らないってことがね、あるみたいなんです、ハイディ様。学問所の方も呼んでいますから直接伺うといいですよ」
遺体を囲んでいたうちの一人が学問所の先生だったようで、その先生はこちらを振り返った。その先生は白い髭をたっぷりと蓄えたおじいちゃん先生で、ふむふむもごもごと絶えず何かを口から発している。
最初はただの音だと思って聞き流していたハイディだったが、そのうち何やら単語が発せられていることに気付いて、慌てておじいちゃん先生の言葉に耳を傾け始めた。
おじいちゃん先生は、
「この土地は……ふむ……泥炭地と言ってな……、寒くて酸欠の土壌でしてなあ……酸性度も高いし……。生き物は……んむむ……腐りやしませんのじゃ(※注:生命活動に適さない環境でバクテリアなどもあまり生息できない)。他の泥炭湿地帯では……ふむ……古代の、数千年前の人間の遺体なんかも見つかったりしておりますそうで。んー、この地でも何十年か前に、やはりきれいな大昔の人間の遺体が見つかったものでした、ふむ」
などと言っている。
「へえ」
ハイディは詳しいことはよく分からなかったが、たまにあることなのだということが分かればそれでよかった。典型的な『事象に名前が付いていればよく分からないけどそれだけで安心する』タイプである。
「それで、先生。この遺体はいつの時代の方なのですか?」
ハイディは尋ねた。
「ぱっと見るにごく最近だね」
「ええ!? 最近不審死した身内なんて聞いていませんけど」
とハイディが思わず抗議の声をあげると、
「んまあ……だいたい100~200年前の……遺体でしょうかね……ふむ」
とおじいちゃん先生は言った。
ハイディは思わずずっこけた。
なるほど。おじいちゃん先生の時空は少し歪んでいるに違いない。このおじいちゃん先生は書物か何かで膨大な時の流れの中に生きているので、100~200年前なんてごく最近なのだろう。
しかも、このおじいちゃん先生は心なしか残念そうだった。もっと大昔であってほしかったとかそんな感じなのだろうか。
そのとき村長が神妙な顔つきで言った。
「先生、どうもね、こちらのご遺体は、誰かに殺害されたんじゃないかと思われるのですよ。ほらここの傷をご覧ください」
「ほお……うむむ……そうだね、首に縄の後が……くっきりと残っているね」
おじいちゃん先生は遺体を覗き込んで検分した。
ハイディはぎょっとした。
絞殺体!?
こんな美しく眠っているようにみえる人が!?
ハイディの驚いた顔を見て、おじいちゃん先生はゆっくりと説明するように言った。
「珍しくはね……ありませんよ。泥炭湿地に埋まっている遺体がね、他殺体だというのは……まあ……よくあることです。多くは……うむ……人柱的な何かと考えられていますがね」
「人柱、ですか。この地で」
「ええ……急に湿地の水が増えたとか……ねえ……気温が下がったとか……んー……そもそも農耕に適さない土地で何か起これば……すぐ餓死が待っていますからね。祈りたい気持ちにも……うむ……なるでしょうよ」
とおじいちゃん先生が学者らしく淡々と言うので、ハイディは少し戸惑った。
「人柱なんて軽い気持ちで言うものじゃないでしょ。仲間を殺すことなのだから──」
「うむ……だから……よほど切羽詰まった人間の営みが……ね……この地にあったということですかね」
ハイディは寂しい草の原野をもう一度眺めた。
見渡す限りの荒れ野。
しかし村長が慌てて口を挟んだ。
「でも、この人はレンベック伯爵家の紋章を持っています! 100~200年前には既にレンベック家は爵位を持っていたと思いますし、少なくともこの地の有力者でした。いくらこの地が困窮に瀕していたとしても、貴族が人柱になるなんてことはあり得ない!」
おじいちゃん先生はカラカラと笑った。
「ですな……! こりゃ人柱じゃあ……ない。怨恨か陰謀か……ふむ……、それとも何か別のご事情があったのかな……?」
そこまで言ってからおじいちゃん先生は悪戯っぽくハイディを見た。
「どちらにせよ……今更……ふふふ……、衛兵たちが100~200年前の遺体の死因を調べるだろうか……ね。あんた、これを事件化するかね……?」
「あ、ええと──」
ハイディは思わずどもった。
それから、
「そりゃ多少うちで調べますわ。うちで埋葬するにも、まずこの遺体がどんな続柄で何をしていた人なのか、多少は知る必要がありますもの」
と答えた。
おじいちゃん先生は頷いた。
「ああ……そうなさるがよろしい。そして丁寧に……うむ……埋葬して差し上げなされ。こんな冷たい荒れ果てた土地に……ね……一人でずっといたんだ、可哀そうだからね……」
「そうですわね」
「とりあえず言えることは……ね、この人を殺した人間は……、完全犯罪に成功したということだ……。殺した人間の方は……ふむ……とっくに土に帰っているだろうがね」
おじいちゃん先生は遠く昔を馳せるような目をした。
【3.墓暴き】
「疲れた」
ハイディはふうっと大きく息を吐いた。
ハイディは、例の遺体を然るべきように埋葬しなければならないので、あまり時間がないぞと思いながら、ひとまず自分だけ屋敷にフラフラと帰ってきたのだった。
そして、執事に遺体の引き取りの段取りをつけるように命じた。
ハイディは着替えもせず、ふかふかな布を張らせた長椅子に倒れこんだ。仰向けになり目を閉じてみる。
身の回りの世話にかけつけたばあやが驚いて、
「おかげんが悪いんですか」
と聞く。
「いいえ」
とハイディは短く答えると、深く深く……さっきの若くして遺体になった麗人を思い浮かべた。
「ねえ、ばあや。100年も前の身内が見つかったんですって。誰だと思う? 金髪の美形よ」
ハイディは呟くようにばあやに話しかける。
「あら、まあまあ。でも、そうですね。想像もつきません。おや? ああでも、あたしが子どものころに村で噂がありましたよ。こちらのおうちには空っぽのお墓があるんですって。お墓の中に棺は入っているのだけど、棺の中は空っぽだって」
ばあやは少し思案して答えた。
ハイディは飛び起きた。
「ええっ!? そうなの? 知らなかったわ。誰のお墓のこと?」
ばあやは昔のことを思い出そうと目を宙に泳がせて、
「ええと、その人は、誰でしたっけね。ご領主だったけど、突然行方不明になった方だったとか。まだ若くて独身だったから弟が後をお継ぎなさったけど、母君様が嘆き悲しんで、帰りを待ち続けたとか。けっきょく戻らないままで、母君様が亡くなられたときに棺をその方の分も一つ用意して、母君様のご遺言通りに思い出の品を入れたとか何とか」
とぽつりぽつり思い出しながら答えた。
ハイディは大きく掌を打った。
「きっとそれだわっ! ご領主だった方なのね。では肖像画がきっとあるはずだわ!」
ハイディは疲れていたことも忘れて、歴代の肖像画の架けられている屋敷の西の塔へと行ってみた。
ばあやが慌てて後を追う。
肖像画を新しい方から一枚一枚眺めていき、
「あっ! この方だわ!」
とハイディは叫んだ。
肖像画には150年くらい前の年代が記されている。
『アンドリュー・レンベック伯爵』
金髪巻き毛のたいへん美しい青年だった。
母君様が帰りを待ちわびて一緒に埋葬を願ったのがよく分かる。
その肖像に描かれていたのは、端正な顔立ちに凛々しさを兼ね備えた、なんとも立派な青年だったから。
ばあやが隣で、
「まあまあ、こんなに美しい方がいらっしゃったなんてねえ! 神様の最高傑作に違いないわ」
と感嘆のため息をついている。
ハイディもその肖像に目を奪われていたのだが、ふとこの麗人が殺されて荒れ野に埋められていたことを思い出し、ハッとした。
何ともまあ、哀れ──。
「ばあや、この方をそのお墓に納めて差し上げたいのだけど」
ばあやは頷いた。
「そうですね。でも埋葬はお兄様のレンベック伯爵の許可が必要かと思いますよ」
ハイディは「確かに」と思った。
「では、その例のお墓が本当に空っぽなのか確認しておくことにするわ」
「ああ、それはそうなさった方がよさそうですね。もし昔の噂が嘘で、空っぽのお墓なんてなかったら面倒ですもの。私も、大昔の噂で記憶に自信がありません」
ばあやは歳には勝てないと申し訳なさそうに頭を掻いた。
それから、
「こんな美しいお方がお墓にも入れずにどちらかを彷徨っていらっしゃったかと思うと可哀そうですね」
とぽつんと呟いた。
それで、翌日、ハイディは墓守と邸の男手を呼び集め、例の『空っぽのお墓』を掘り起こすように命じた。
『アンドリュー・レンベック伯爵』と刻まれたお墓である。
男たちはもう執事から遺体の噂を聞いていたので、皆神妙な顔つきで黙々と作業した。
掘り起こされた棺を開けると、噂のとおり、中に遺体は入っていなかった。
「ああ」
と皆が合点のいった顔をした。
この墓は、きっとあの麗人の遺体のためのものなのだ。
しかし、棺の中には、故人の愛用品、それから母君様が忘れられなかったのだろう、子供時代の服とか肖像画が入っていた。また日記と手紙が入っていた。
「確認なさいますか?」
と執事がハイディにそっと尋ねる。
確認するかとは、日記や手紙のことである。
ハイディがそっと執事を見返すと、渋い顔で小さく肯いたのが見えた。
麗人の遺体が他殺であることを懸念してのことだろうと思う。
ハイディは迷った。
それは何かの秘密であるかもしれなかった。
故人の秘密を暴くことは、あまり気が進まなかった。
かといって、かつての当主が殺されたというのはたいへん物騒な話ではある。
150年前ともなると緊張感はだいぶ薄れるが、これが例えば今自分の兄レンベック伯爵が殺されたというふうに重ねて考えてみると、なるほど、家の大問題である。
現在のレンベック家の大事に関わることなのかどうかを知っておく必要はあるかもしれなかった。
ハイディは意を決して、日記と手紙を手に取った。
麗人の遺体を納めるため、棺は屋敷の礼拝堂に移すように男たちに命じた。
そして、残りの作業は兄レンベック伯爵の許可を待ってから行うと言い、ハイディは皆を労ってささやかな酒をふるまった。
それからハイディは一人部屋に戻り、少し後ろめたい気持ちで『アンドリュー・レンベック伯爵』の日記を開いた。
故人の日記を熟読するのも変なので、斜め読みで重要そうなところを探す作業だったが、日記には友人たちとの会話や女性への憧れなどが書かれていて、150年前のアンドリュー・レンベック伯爵が、今の自分たちと変わらない普通の若者だったことが感じ取れた。
しかし、後半につれて、日記はひどく陰鬱なものに変わっていった。
アンドリュー・レンベック伯爵は難しい恋をしたらしい。日記の最後の方は、ある女性への胸を締め付けられるほどの恋心が綴られていた。
「あなたを愛しています。こんなにあの人のことを考えてしまうのは自分でも止められない。」
「こんなに会いたいと思っているのに、なぜ会えないのか。つらい。」
「世界があの人と自分だけだったら良かったのに。そうしたら誰に咎められることもなく、いつも一緒にいられるのに。」
せっかくアンドリュー・レンベック伯爵の件で気が紛れていたのに、この日記を読むと自身の難しい恋人ドウェインのことが思い出されてきて、ハイディは重々しい気分になりついつい涙が出てきてしまう。
しかし、不意に出てきた殴り書きに、ハイディは衝撃を受けた。
「愛しています、愛しています、愛しています──
心から愛しています、王妃様」
なんですって!
相手は王妃様!
アンドリュー・レンベック伯爵の難しい恋とは、つまり──。
そして、日記の最後のページには「明日、抱えきれないほどの罪を背負うだろう」と走り書きされていた。
ハイディは嫌な予感がした。
日記だけでは要領を得なかったので、ハイディは恐る恐る手紙の方にも手を伸ばした。
手紙は10通ほどあった。
王妃からアンドリュー・レンベック伯爵に宛てた秘密の手紙だった。
「私もあなたを愛しています。昨夜のパーティではあなたの姿を見られると思ったのに、いらっしゃらないからがっかりした。なぜ来てくださらなかったの」
「若い侍女たちがあなたが美しいと噂をしている。私は言いたい、あなたが愛しているのは私だって、誰よりもあなたを愛しているのは私だって! でも誰にも知られてはならないなんて!」
「お会いしましょう。あなたとの初めての夜。夫を裏切る恐ろしいことなのに、今から楽しみで仕方がないの。胸が打ち震え……これが運命の恋というものなのね」
ハイディはぎょっとした。
アンドリュー・レンベック伯爵は王妃と逢引の約束をしていた!
ハイディは慌てて日記を開き直した。逢引は成功したのか!?
しかし、手紙に記された日付は、日記にはなかった。
その日の前日で日記は終わっていたのだった。
例の「明日、抱えきれないほどの罪を背負うだろう」の走り書きで。
逢引の前日、彼は殺され、泥炭地に埋められたのだ。
約束は果たされなかった……!
前日に死んだ若きアンドリュー・レンベック伯爵。どれだけの無念だったろう。
約束は果たされず、彼はあの地で時間のはざまに迷い込んだように、死にながら眠っていた。
まるで神様から許されぬ恋の裁きを受けたかのように。
ずっと待たされ止まってしまった、私の恋のように──。
【4.果たすべき約束】
結局、棺の中の日記や手紙からは、若きアンドリュー・レンベック伯爵がどうして殺されたのかは分からなかった。
もしかしたら、この手紙を入れた母君様はその核心的な部分も知っていて、そしてそこだけは隠ぺいしたのかもしれない。
事件性は大いにあり得る。しかし、アンドリュー・レンベック伯爵個人の素行によるところが大きい。
そうハイディは判断し、このことがあまり人に知られないようにアンドリュー・レンベック伯爵の遺体は素早くひっそりと埋葬してしまうべきだと思った。
旅行中の兄からは、だいぶ戸惑いの滲む返事が来た。
兄は、「空っぽの墓なんぞ当主の自分は聞かされていない」「その遺体が本当にアンドリュー・レンベック伯爵かどうか確信が持てない」「土の下から腐っていない遺体が出てくるなんて聞いたことがない」などとつらつら疑り深い文章を書いて寄越した。
しかし、「ではその遺体をどうするかと考えたときに、その遺体がアンドリュー・レンベック伯爵である可能性があるなら、彼のために用意された墓に埋葬するのも間違いではないと思われる」などといった回りくどい表現で、つまりは「埋葬の許可」を出してくれた。
ハイディは兄嫁の尻に敷かれっぱなしの小心者の兄を思って苦笑した。
そして、許可が出たならとさっさと埋葬を済ませることにした。
ハイディはすぐさま執事に言いつけて埋葬を手配した。
さて、ハイディが墓守や神官、村長らと共にこぢんまりとした埋葬をしていたとき、少し離れた木立の陰から見知らぬ女性がこちらを見ているのを見つけた。
ハイディと目が合うと彼女は近づいてきて、
「ハイディ・レンベックさんですか」
と震える声で聞いた。
「そうですが」
とハイディは少し警戒しながら答えると、急にその女性は泣き声を張り上げた。
「お願い、私の姉からドウェインさんを盗らないで!」
ハイディはぎょっとした。
私の姉? ということはこの人はドウェインの婚約者の妹?
墓守や神官、村長らが傍らにいることを忘れるくらい、ハイディは気が動転していた。
「姉は彼を愛しているの! 姉は自ら毒を飲んだの、彼を繋ぎとめるために。彼はそのことをよく分かっているわ! 姉が別の女のところに行くなら死んでやると言ったとき、死ねるものなら死んでみろと言ったのは彼だもの。姉は最後の賭けに出たのよ」
その女性は泣きながら怒っていた。
「ああ……」
絶望がハイディを襲う。
死ねるものなら死んでみろ、ですって?
ドウェインの言葉が脳裏に甦る。
『婚約者は病でね、寝たきりなんだ。良識ある親だったら婚約は辞退してくるはずだ』
嘘つき、嘘つき、嘘つき──!
良識ある親だったらあなたを詰るだろう。
あなたのせいで婚約者は寝たきりになったんじゃないの!
そして、それは、きっちり半分、私のせい。
ハイディが現実に打ちのめされていると、女性は追い打ちをかけるように鋭い言葉を投げかけた。
「あなたはそれでも私の姉から彼を盗りますか?」
女性は胸にかけていたロケットペンダントを外した。そしてぱちんと開けて中を見せた。
「あっ……!」
思わずハイディは悲鳴を上げた。
ロケットペンダントの中の女性は金髪麗しい巻き毛で、一瞬、泥炭地で見つかり今や棺の中に納められている麗人の遺体と重なって見えた。
儚げですきとおった肌。はにかんだ笑顔の。
アンドリュー・レンベック伯爵の約束は果たされなかった。だが──、全人生を賭けてベッドに横たわる彼女は、果たさなければならない約束の生き証人だ。
二人とも、なぜ私の前に姿を現すの?
「ああ……」
ハイディは心かき乱され、嗚咽を漏らした。
「彼を姉に返して」
「分かったわ。もう会わないと彼に伝えて」
ハイディは青白い顔でそう言うのが精いっぱいだった。
「ちょっと中断してしまいましたが……では埋葬を続けましょうか」
執事が何事もなかったかのように穏やかな口ぶりでそう言い、その場にいた人たちが気まずい空気からハッと我に返ったとき、急に周囲が騒がしくなって、ハイディの兄夫婦が駆けてきた。
「まあまあ、何をやっているんですか、ハイディ! あなたったら先祖の墓を暴いているというんですから、まったく非常識にもほどがあるわ! 飛んで帰ってきましたよ!」
兄嫁が真っ赤な顔から蒸気を出して怒っている。
「泥炭地で数代前の当主の遺体が見つかったの。埋葬の許可はお兄様にいただいたけど」
ハイディが不服そうに言い返すと、
「ぎゃっ! 生きてるの、この人!?」
と、兄嫁は棺に納められた麗しのアンドリュー・レンベック伯爵の遺体を見て後ずさった。
ハイディはそっと説明する。
「いいえ、死んでいるわ。150年前に死んだのに、泥炭地では腐らないんですって。お墓も棺も用意されていたと聞いたから入れてあげるの。還るべきところに」
還るべきところは、ここ? ええ、たぶん。
兄嫁は小さく息を吐くと、うんうん頷いた。
「そう、そうなの、うんそうね。空っぽのお墓なんていけないわ。納めるところに納めないとね。早く埋めてあげるといいわよ。外界は騒がしいでしょ、安らかに眠らせて差し上げて。で、そちらの女性は? ご友人?」
「え? あ、いいえ、まさか……!」
ハイディと例の婚約者の妹は、顔を見合わせて否定すると、兄嫁はまた急に不機嫌そうな顔になって、
「何でもいいわ。ハイディだけじゃなくあなたも未婚ね。まったく年頃の娘が結婚もせずに何をしているのやら。そんな思い詰めた顔をして。人生ただ一度の恋とかをまだ追ってるつもり?」
と毒づいた。
「お義姉さま、この人は違うわ」
ハイディが慌てて弁解しようとしたが、兄嫁はまったく聞く耳を持たず、
「何が違うの、こんな切羽詰まった顔をして。恋なんてほどほどでいいのよ。健康で楽しく、家族とあったかく暮らせたらいいじゃないの。それなのに、命を懸けた恋、運命の恋とか言っちゃって。おバカさん、恋が如何ほど」
と罵った。
許されぬ恋の果てに死んでしまったアンドリュー・レンベック伯爵。
婚約者を繋ぎとめるために毒をあおったドウェインの婚約者。
兄嫁からみたら、さしずめ大バカ者といったところか。
さてはお義姉さま、私とドウェインのこと知っているな、とハイディはぼんやり思った。
「お義姉さまには情緒も何もないのね!」
とハイディが呆れたように言い返すと、
「私も恋くらいしたことあります。でも今は家庭と子どもを守ることで精いっぱい。みんなそうやって一生懸命生きているのよ。あなたたちもそれくらい真面目に生きなさい」
と兄嫁も言い返した。
ハイディはムッとする。
「私は十分真面目よ!」
真面目に恋をした。
私もアンドリュー・レンベック伯爵も。
寝たきりのドウェインの婚約者も。
しかし、ハイディは虚無感を振り払うことはできなかった。
『必ず君を迎えに行くから、待っていて。』
ドウェインのその約束は果たされることはない。
逢瀬の約束の前日に死んだアンドリュー・レンベック伯爵も。
ただ寝たきりの令嬢だけが必死で約束にしがみついている。
そのとき、兄嫁が目ざとく棺の中の物に目をやった。
「その棺の中の手紙は何? ラブレター?」
「お義姉さまには関係ないわ」
ハイディはつんとすまして答えなかった。
ハイディの兄は女たちを無視して、棺に蓋をして土をかぶせるように指示した。
どさっ、どさっと土が投げ込まれていき、やがて棺は土で埋まり、見えなくなった。
その作業の間は誰も口をきかなかった。
棺が土で埋まっていく様子をぼんやり見ていた兄嫁が小声でぽつんとハイディに言った。
「ねえ、今だから言うけど、私が死んだら、一緒に入れてほしい手紙があるの」
「はい?」
ハイディが聞き返す。
兄嫁は少し躊躇ってから、えいっと口を開いた。
「昔愛した人からのラブレターよ。それだけは捨てられなかったの。夫には頼めないから、あなたに頼んどくわ」
「はい?」
ハイディは唖然とする。
「……あなたに頼む気は全然なかったんだけど、ね。今、何となく、ほら、ちょっと……。よろしくね」
兄嫁は、なんで急にこんなことを言いだしたのかと自分でも不思議な気持ちになりながら言った。
ハイディはまじまじと兄嫁の横顔を眺めていたが、やがて少しだけ優しい気持ちになって、
「分かったわ。兄には内緒ね」
と請け負った。
【5.決別】
アンドリュー・レンベック伯爵の埋葬から暫く経った今も、ハイディは田舎の領地に引き籠っていた。
思い出すのは恋人だったドウェイン・マックゴールドリックのことばかり。
『もう会わない』と言ったけれど、本当は会いたくてつらい。
もらった指輪もはずせないまま、ついつい眺めて、ついつい触ってしまうのだ。
ドウェインは私と離れてどう思っているのかな。
愛していると言ってくれていたから、今頃私を取り戻すために婚約者に土下座して……。そこまでぼんやり思ってから慌ててハイディは頭を振った。違う、これは、間違っている。
もう戻ってはならないことは頭では分かっているのに、どうにか戻れるような未来を無意識のうちに探してしまっていけない。
彼は嘘ばっかりの残酷な男だったじゃないの、婚約者が寝たきりになったのは彼のせい!
そして、私のせい。都合のいい言葉ばっかり信じて、やっていたのはただの横恋慕……。
ハイディがずっと同じ考えをぐるぐる巡らせているばっかりなので、兄嫁はわざとらしく大きなため息をついたり「くだらない。あの一件で、あなただって少しは大人になったかと思ったのに」と睨んだりする。
ついにある日、兄嫁が少し青い顔をしながら速足でハイディの部屋を訪れ、吐き捨てるように言った。
「あなたにお客様です。とっても迷惑ですよ。なんとかしてちょうだい」
ハイディはどきっとして「誰」と短く聞いたが、兄嫁は返事もせずに出て行ってしまった。
ばあやが慌ててハイディに近寄って、
「ドウェイン・マックゴールドリック様です、お嬢様」
と小声で耳打ちした。
ハイディは飛び上がって、脇目もふらず客間の方へ駆けて行った。
ハイディが『もう会わない』と言ったことを婚約者の妹から聞いたのだろう、ドウェインはたいへん取り乱した様子だった。
「ハイディ! 私と別れるなんてダメだ!」
「必ず迎えに来ると約束したでしょう。あなたも待っていてくれると」
「あなたは私の言うことより、あの妹の言うことを信じるのか!?」
などと矢継ぎ早にハイディに向かってまくし立てた。
ハイディはどういった感情で彼に立ち向かえばよいのか自分でも分からないまま、情けない声で叫んだ。
「でも知らなかったの。まさかあなたの婚約者が、あなたのことが凄く好きで、だから自ら毒をあおったなど!」
ドウェインは一瞬怯んだように見えた。
「それは……。向こうは好きだったかもしれないが、私は彼女のことは少しも好きじゃないんだ。好きなのはあなただけだって何度も言っているでしょう。でも親同士の決めた縁談を無視すれば爵位を継ぐ権利は剥奪されるだろうし、どうすればよかったんだ!?」
「爵位って。あなたの婚約者は寝たきりなのよ? 私は恐ろしい。一人の女性の人生を狂わせてしまったことが。いつか私は報いを受けることになると思う」
ハイディは震える声で言った。
脳裏には、あの泥炭地から掘り起こされたばかりの、眠ったようなアンドリュー・レンベック伯爵の美しい顔立ちが浮かぶ。
果たされなくてよかったのだ、あの約束は!
あれは報い。時を彷徨うという罰。
しかし、『報い』という言葉でドウェインは逆上したようだった。
「報いだと!? もうとっくに報いを受けているんだよ、こっちは! まったくいまいましい! これ見よがしに寝たきりになって。心の中じゃほくそ笑んでいるんだ、あの女は。私を縛り付けたつもりか? 向こうの親も娘が毒を飲んだ経緯を知っているから娘の味方さ。私の自由になるのはあなただけだ! そのあなたが私を捨てるなど、許さないっ!」
「まあっ! 私はあなたの鬱憤のはけ口になっていただけなの? あなたは……、あなたはさっきから、自分のことばっかり言っているわ──」
ハイディは何だか冷静さを取り戻してきた。
「自分のことばっかりだって? それはあなたもだろう? 私に婚約者がいることはちゃんと知っていたんだ。それでも私と恋仲になったんだから、共犯者だ!」
ドウェインは脅すように言った。
ハイディはドウェインを睨み返した。
「……そうね。あなたの婚約者の気持ちを考えなかった私だって、自分のことばっかりだったのは認めるわ。でも私はもうあなたと会うのをやめる。あなたの婚約者には悪いことをしたわね。私の罪は消えないけど、あなただって、少しは考えた方がいいわよ!」
そのとき、
「騒々しいっ!」
と怒鳴り声がして、兄レンベック伯爵が客間に入ってきた。
そして、ドウェインをじろじろ見て、
「君はいったい何なんだね」
と言った。
それからハイディの方も睨みつけて、
「おまえはいったいどれだけアホなんだね。道ならぬ恋をしているようだとバーレット(※兄嫁のこと)から聞いてはいたが、けっこうな大事になっているなんて」
と叱りつけた。
「お兄様」
ハイディは涙目で項垂れた。
「君、二度とうちのハイディに近づくんじゃないよ」
兄レンベック伯爵は冷たく言い放つと、執事を呼び、有無を言わさずドウェインの帰りじたくをさせた。
それからハイディに向かって、
「おまえの後始末はつけてやるが、自分でもよく考えなさい。生きている人間は土に埋めておしまいということにはならないんだから」
と低い声で言った。
ハイディは何だか含みを感じてぞっとした。
そのとき兄嫁が部屋に入ってきて、
「あなた。思ったよりだいぶ面倒なことになっているみたいね」
と呆れたような口ぶりで言った。
「おまえはハイディに甘すぎるんだ、バーレット。だから言っただろう、ハイディに自由恋愛の隙なんぞ与えるべきではないと」
と兄レンベック伯爵は兄嫁に文句を言った。
ハイディは驚いて兄嫁を見た。
兄嫁は首を竦めて聞こえなかったふりをした。
本作をお読みくださいまして、どうもありがとうございます!!!
とっても嬉しいです!!!
久しぶりの短編形式。
泥炭湿地帯で発見される遺体のことを知って書いてみました。
実際の遺体はこんなに眠ったままのようには見えないのでしょうけれど。
創作ということでご愛嬌……(大汗)スミマセン。
あとは、私の作品は恋愛要素が薄くなりがちなので(たいてい登場人物が陰謀だの婚約破棄だの『ざまぁ』だのでバタバタしている)、今回は恋愛を意識してみました。
もし少しでも面白いと思ってくださいましたら、
下のご評価欄★★★★★や感想などいただけますと、今後の励みになります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。