表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

「奇跡」とグレードアップ

「何が起こったんだ?」

俺はいつもと同じく暗い28階層で目を覚ました。

記憶が正しければ飢餓によって死にかけて、たまたま見つけた魔物の死体を食ったらいきなり体が痛みだした気がする。俺、死んだのか?

そう思って周りを見回した。だが明らかにここは28階層で、直ぐ側にはボロボロの犬の魔物の死体が転がっている。別に幽体離脱を起こしている感じでもない。

試しに頬を引っ張ってみる。

「いてっ!」

痛かった。どうやら俺は生きているようだ。そこでふと気づく。

あれ?気を失う前まで感じていた、体の怠さや、空腹感などが感じられない。どういうことだ?



そこで思い出す。なんか気を失うくらいにレベルアップしたときに聞こえる女の人っぽい声が聞こえた気がする……。


「はい、そうです。」


いきなり頭の中に声が響いた。は?なんだ?気の所為か?


「いえ、違います。」


気の所為ではないらしい。じゃあなんだろう?


「私は特別固有(スペシャル)スキル<スマートフォン>です。」


何だそのスキル?


「隼様が「奇跡」を起こした際に入手されたスキルでございます」


ほう、今の時代のスキルは喋るものなのか……


「いえ、おそらくですが私のみだと思われます。たとえ私以外にいたとしても片手で数えられるくらいでしょう。」


さいですか。


「はい。」


…………意味わからん。


「では、天格暦724年3−11−25 21時27分39秒から再生させていただきます。」


「<称号>「異世界の勇者」確認、所持者カトウシュンに数奇な運命を確認、これより「奇跡」の実行を申請。……成功。これより対象カトウシュンに「奇跡」の実行を開始。


種族の進化……失敗。…………種族の変更を確認。種族の変化によりステータスの変更を確認。職業の変更「勇者」……失敗。「賢者」……失敗。「聖者」……失敗。「剣聖」……失敗。……………………………失敗、失敗、失敗。職業の変更、失敗。職業「無職」確認。<称号>の変更、確認。固有スキル<携帯電話>の進化……成功、固有スキル<ガラケー>の取得……失敗。原因の模索……成功。<携帯電話>の貯蓄スキルポイント、確認。是を考慮。固有スキル<携帯電話>の進化……成功。特別固有スペシャルスキル<スマートフォン>の取得……成功。スキル<言語理解>の持続、成功。スキル<アイテムボックス>の持続、成功。これより「奇跡」を実行。…………失敗。原因の模索。大罪スキルの乱入を確認。大罪スキル<暴食>の取得……成功。これより「奇跡」を実行……成功。」






いきなりなんかすごすぎる情報が流れてきた。





*****************************

数分後。

少し理解して頭を落ち着かせるのに時間がかかった。いや、理解はしていないのだが……

まあ、ひとまず「異世界の勇者」の能力で「奇跡」とやらが起こったらしい。どゆこと?


「隼様は魔石の溶けた魔物の肉を食べたことで一度死の淵へと追いやられました。ですが条件を満たしたことで「奇跡」を起こしました」


おお、ラッキーだったのか。てか、条件って何?


「<称号>「異世界の勇者」の所持、固有スキルの所持、魔素の濃い場所にいること、そしてその代の勇者で初めてこの3点を満たして、死にかけてなお生きようとした者であることです。」


俺はこの条件を満たしていたと。それは良かった、死ぬのは流石に嫌だからな。

まあ、ひとまずステータスを見よう。

「ステータスオープン」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カトウ シュン     16歳

レベル1

<種族>   魔を喰らいし奇跡の勇者

<職業>   無職


体力   3700

魔力   4500

攻撃   3800

防御   3200

俊敏   2900

魔功   4200

魔防   4200


スキルポイント   50

ジョブポイント   5

所持金  60000

装備  銅の剣  鉄の胸当て


<スキル>

言語理解  アイテムボックス  スマートフォン(特固)  暴食(レベル1)


<称号>

奇跡を起こした勇者・・・「異世界からの勇者」の「奇跡」を起こしたものに送られる称号。また、獲得経験値が+30%される。

魔を喰らいし人間・・・魔物の核である魔石を喰らって生き残った人間に与えられる称号。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



なんかいろいろやばかった。はい。

まずステータスだなんかバグってる!?

他にも称号もグレーダアップしている。

そして何よりもスキルだ。なんかすごそうなことになっている。

ひとまず<スマートフォン>を使ってみよう。



なんかスマホの液晶画面みたいなのが見える。おお!すごい!

普通のスマホと同じように使えるのか?


「はい、おおよそスマホと同じように使えます。タッチはできませんが頭の中でやりたい操作を思い浮かべていただければうまく操作できます。」


説明ありがたい。よく考えるとこれも<スマホ>の能力なのか。すごい。


「ありがとうございます」


はい。

じゃあ改めて。

ほうほう。色々なアプリがあるな。まあ色々見てみるか。


******************************

数時間後。

思った以上に色々なアプリがあり、それぞれがとても優秀だったので確認に時間がかかってしまった。


その一部を紹介していこう!


「検索」・・・この世界の情報などを検索することができる。

「マップ」・・・この世界のマップを表示する。ただし魔素が濃い場所は<スマホ>でも情報を取得できないため、1からマッピングの必要あり。ただし一度マッピングすると次回からはそのマップを表示。

「ショップ」・・・ネットショッピングを行える。だが送料などは無料で、購入を確定すればすぐに手元に届く。また種類も豊富で、食料や物資、武器、ましてやスキルやスキルポイントまで買える。さらに地球の物資まで買うことができる。

「通話」・・・<携帯電話>の頃の「通話」はもちろん引き継ぎ、魔力消費0、テレビ通話などの機能を新たに取得。

「書庫」・・・この世界に存在する本をほぼ全て収録。自由に閲覧することが可能。

「副業」・・・副業推進アプリ。副業が可能になる。またジョブポイントを消費して職のグレードアップや第3、第4職業などの開放も可能。ジョブポイントはレベルアップや職業を育てることで入手可能。


などと色々な機能がある。どれもこれもが素晴らしい能力だ。

驚くほどグレードアップしている。ほんと、すごい。


******************************

また<暴食>についても気になったので早速「検索」してみた。すると……


<暴食(レベル1)>

喰らい、吸収する能力。(0/1000)


雑で謎な検索結果が出てきた……

おい!スマホォッッッッ!!!もっと頑張れよ。壊れスキルになったんじゃなかったのかよ。

まあこの結果からも少しは情報を得られるので感謝はしているのだが……



ただこの「喰らい、吸収する」は捉えようによっては化け物級なのではないか。例えば敵からの攻撃を喰らったり、魔石の吸収をしたり、敵の持つスキルを奪えたりとかができるのならばぶっ壊れだろう。これは要実験だな。またこの(0/1000)という表示も気になる。おそらくだが次のレベルに成長するために必要なスキルポイントだと思われるが。レベル1からヤバそうなスキルレベル2になればどんな壊れ方をしてくれるのか、今から楽しみでしょうがない。確かに普通なら生涯をかけてスキルポイント1000なんて一つのスキルに費やすやつはいないだろう。というかスキルポイント1000を集めること自体が難しいのではないか……

だが俺には「ショップ」が存在する。そのためスキルポイントを買えばいいのだ!スキルポイント1につき10000ゴールドが相場だそうなので1000万ゴールド必要なことになる。そうとうな額だ。まあなんとかして集めるとしよう。



「グウーーーー」



おお、お腹がなってしまった。思った以上にお腹が空だったようだ。だが今回の食事からはまずい非常食も、食えない魔物も食わなくていい。なぜなら俺には「ショップ」があるから!<スマホ>様々だな!

さて何を食べようか。久しぶりに日本の食事を摂れるんだ。どうしようか迷う。


……よし!決めた!こいつにしよう!




1分後。

俺はかつて日本ではよく嗅いでいた刺激的な香りに包まれて一人感動していた。




そう、俺が選んだのはキャンプの定番、白と茶色のコラボレーション、ドロッとした見た目とスパイシーな香り、そうカレーライス(500ゴールド)!


まずは一口。


「っっっっっっっっ!?」


口に含んだ途端に起こる天変地異。米とルーが奏でるハーモニーは俺の存在すらも狂わせそうだ。

ああ、これだけは言わなければいけなかった。


「うわぁ、味の宝石箱や〜!!!」




*****************************

そんなこんなで食事を済ませた俺は「マップ」を使ってこの28階層を攻略することを決意。


「俺は、絶対に生きて帰ってやるからなーーーー!」





そんな決意とともに隼は攻略の準備を始めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ