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第33話 狂ったリッチ

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 翌日、朝食を食べてから、俺たちはゾンビ討伐を再開した。

 ゾンビの捜索は今日も精霊達にお願いして、ゾンビ達の居場所まで案内してもらう。

 このまま3泊4日の日程でゾンビ討伐を続けて、もしも討伐が完了しない場合は、いったん帰還して、ボルトンのソフィア達に応援を依頼するつもりだ。


 シルビアとエオリアは昨日の疲れも抜けたようで、今日もフルでゾンビ討伐を続けた。

 昼食前には、土魔法で簡易シャワー室を作り、汗とゾンビ独特の悪臭を洗い流した。


 昼食後も精霊の案内でゾンビ討伐を続けていると、廃墟となった村についた。

 何処となく村の雰囲気はブローニュに似ている。

 随分前に廃墟となったであろう村は、草がうっそうと茂って、残った木造の家は朽ちかけている。

 廃墟となった村には、スケルトンやゾンビが多数徘徊している。


「このゾンビとスケルトンは私たちと同じエルフだわ」


 シルビアは、この廃墟となった村はエルフの村で、徘徊しているスケルトンやゾンビ達はエルフであると言った。

 ゾンビ達を見てみると、確かに残っている耳の先がとがっている。


 シルビアとエオリアは、スケルトンやゾンビ化して魔物となったエルフ達を討伐した。

 俺も残った死骸を土魔法で地中に埋めていった。

 ゾンビやスケルトンの魔物になったエルフ達は500体以上いた。


 村を徘徊する魔物となったエルフ達を討伐した俺たちは、廃墟となった家屋を捜索し、エルフの村でいったい何が起こったのかを調べてまわったが、廃墟となって長い年月が経っているようで、日記などの記録はすべて朽ち果てていた。


 哀れな姿となった元エルフのゾンビやスケルトンを討伐した俺たちは、どんよりとした気分になった。


「魔法と精霊魔法が得意なエルフ達が、ゾンビに全滅させられるとは考えにくい」

「きっと何かあったに違いない」


 夕方になり、俺たちは廃墟を出た湖の畔で野営をした。


 全滅したエルフの村の謎は解けないまま翌日も俺たちは黙々とゾンビ討伐を続けた。

 精霊の案内で森を進むと大きな洞窟に着いた。

 精霊達の案内は洞窟の内部に続いている。


 俺たちは魔道ランプを手に洞窟に入った。

 中に入ると内部の壁は3メートル四方ほどあり、床も壁も自然のものではなく、土魔法で凹凸無く整えられていた。

 壁は薄い緑色の光を放っていて、魔道ランプが無くても先を見渡せる。


 俺たちは遭遇するゾンビを討伐しながら洞窟の内部を進んでいった。

 途中にはいくつか分かれ道もあったが、精霊の案内により迷うこともなく、ゾンビを討伐しながら奥へと進んだ。


 洞窟を進んでいくとひと際大きな空間に出た。

 縦横10メートル程の空間が前方に伸びて、両側には等間隔に3メートルほどの大きさのエルフの戦士を模した銅像が立っている。


 エルフの銅像からは強い魔力を感じる。

 先に進むと戦士の銅像達が動き出した。


「シルビア、エオリア、魔道具のゴーレムのようだ気を付けて」


 戦士の銅像は、剣や槍を手に向かってくる。

 シルビアとエオリアは、魔力を流した剣と槍で応戦する。

 振り下ろされる剣と槍を素早くかわしながら、ゴーレムをミスリルの剣と槍で切りつける。


 最初の2体のゴーレムを切り刻むと、配置されたゴーレム達が一斉に動き出したので、俺も泥沼魔法を放って、数体のゴーレムの動きを封じる。


 シルビアとエオリアは、動き出したゴーレムの攻撃を巧みにかわしながら、次々とゴーレムを切り刻んでいった。

 しばらく戦闘を続けると、ゴーレムの残骸があちこちに散らばり、全てのゴーレムが2人に粉砕された。


 俺たちはゴーレムの残骸が散らばった空間を先に進んだ。

 広い空間をしばらく進むと前方に大きな扉が見えてきた。


 扉の中からは、強い魔物の気配を感じる。

 精霊達の案内も扉の内に向かっているので、アンデットのボス的な存在が扉の中にいるようだ。


「シルビア、エオリア、扉の中から強い魔物の気配を感じる」

「ボス部屋って感じがするね」


 俺たちは扉を開けた。

 扉の中は天井の高い大きな部屋になっていたが、至る所に魔法の研究材料や資料、気持ちの悪い魔物のホルマリン漬けのような標本が雑多に並べられていた。

 奥を見通すことができないので、慎重に魔物の気配を感じる奥へと進んでいった。


 部屋の奥には、黒いローブに包まれた魔導士風の人影が1人で研究に没頭しているようにイスに座っていた。

 近づく俺たちには気付いていないようだ。

 魔導士からは魔物の気配を感じる。


 魔導士の後ろに近づいて、俺は声を掛けた。

「そこの魔導士、聞きたいことがある」


 魔導士はしばらく動きを止めてから、ゆっくりと振り返った。

 魔導士の顔には目がない。

 顔の皮膚も一部剥がれ落ちて、頭蓋骨が見えている。


「お前はリッチなのか?」


「そう我は不死の王、デクスター」

「エルフと人族が何の用だ」

「外のゴーレムは何をしているんだ」


「外のゴーレムは俺たちが倒した」

「お前はここでいったい何をしているんだ」


「私は生涯を魔法の研究に捧げている」

「今はこの大陸のすべての生き物をアンデットにする偉大な闇の大魔法の研究をしているところだ」

「邪魔するでない」


「エルフの集落の人々をアンデットに変えたのはお前か?」


「いかにも、私の偉大な魔法実験の成果である」

「あの村は、私の故郷であったが私の偉大な研究を理解しない愚か者の集まりであった」

「奴らは私の研究を理解しないばかりか、不死の王となった私を追放した」

「よって、私の偉大な広域闇魔法で全員アンデットにしてやったまでよ」


「こいつ狂ってやがる」

「魔物となり、同胞をあんな姿に変えたお前は私たちが滅ぼす」


「私の偉大な研究を理解しない愚か者どもが、お前たちもゾンビにしてやろう」


 リッチは呪いの闇魔法を放った。

 俺は、光魔法のプロテクトをかけた。

 リッチの闇魔法は、プロテクトで霧散した。


 シルビアとエオリアはリッチに切りかかるが、リッチは壁の隠し通路に姿を消した。


 俺たちが壁に近づくと、壁の穴からガスが噴き出した。


「毒ガスか?」


 俺は素早く解毒魔法と、プロテクトの光魔法を放った。

 魔物の気配が壁の奥に遠ざかって行く。


 俺達は土魔法で隠し通路の壁を破壊し、リッチを追った。

 通路の内には、ゾンビとスケルトンが俺たちの進入を阻む。


 俺は浄化の魔法を通路の奥に向かって放った。

 ゾンビとスケルトンは青白い浄化の光に包まれて次々と倒れた。

 俺、シルビア、エオリア、チビの順でリッチの気配を追いながら、道を阻む魔物を浄化の魔法で倒していく。


 魔物を倒しながら隠し通路を進むと、森に囲まれた広場に出た。

 逃げたリッチは、広場の先の崖の上に立ち俺たちを出迎えた。


「愚か者どもよ、アンデットになるがよい」


 リッチが呪文を唱えると、広場の周りの5本の石柱が黒い闇に包まれて、俺たちの足元に闇の魔法陣が出現した。


「これがエルフの愚か者どもを一瞬でアンデットにした私の偉大な広域魔法だ」


 俺は光魔法のプロテクトを最大魔力で放った。

 呪いの闇魔法の直撃は防げたが、魔法陣からは膨大な闇の魔法が湧き出してくる。


「シルビア、エオリア、魔力剣で石柱を1本粉砕してくれ」


 シルビアとエオリアは前方の石柱を魔力剣と槍で切り刻んだ。

 石柱を1本失うと闇の魔法陣は霧散した。


 2人はそのまま崖の上のリッチの元へと走った。


「おのれ、エルフの小娘どもが」


 リッチは、2人にファイヤーボールを放つが、2人は難なく魔法をかわしてリッチの首を刎ねた。

 首を失ったリッチは、断末魔を上げてその場で灰になった。


 アンデットの元凶となったリッチを葬った後は、残った石柱を破壊し、隠し通路と洞窟のアンデットの残骸を地中に埋めた。

 リッチの研究室にあった闇魔法の資料を全て焼き尽くして、最後に洞窟も土魔法で破壊した。


 狂ったリッチを倒した俺たちは、今晩も森で野営して、明日も精霊達にお願いして、残ったアンデットを駆逐し、一旦ブローニュに戻ることにした。


頑張って書いてます。

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