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第26話 魔物の襲撃と山脈の黄金竜

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 翌日、ボルトンの町は慌ただしい朝を迎えた。

 城壁の上には巨大なバリスタと弓と遠距離攻撃魔法を得意とする冒険者が配置され、城門の前に町を囲うように建ち上げられた土壁には1カ所だけ出入口が設けられ、出入口の周辺には近距離攻撃を得意とする冒険者と近距離攻撃魔法、支援魔法が得意な冒険者たちが配置された。


 俺たちは、土壁の出入口に配置された冒険者と森からボルトンに続く広い草原に網の目のように張りめぐらせた泥沼の位置と安全な通路を再度確認し、魔物との戦いに備えた。


 ちなみにシルビア、エオリア、ミレニアムのメンバーは土壁の出入口周辺に配置され、俺は火竜に変身して、上空を飛ぶ魔物への対処と火炎攻撃による地上の魔物の対処を行うように指示を受けた。


 ボルトンの町の緊張が高まるなか、昼前に俺は森から魔物の大群が押し寄せてくる気配を感知した。


 すぐにクロエギルド長に魔物の軍勢が迫っていることを伝えて、火竜に変身した。

 しばらくすると、森からゴブリンとオークを中心とした魔物の軍勢が飛び出してきた。

 魔物の集団はゴブリンとオークの軍勢が群を抜いて多いが、シルバーウルフ、ワイルドボア、ヴァイパー、オーク、オーガなどの魔物も多数いる。


 上空からは大量のハーピーの魔物の軍団と多数のワイバーンが近づいて来る。

 俺は火竜に変身して、大空に飛び立った。


 近づくパーピーの大群とワイバーンに向かって火炎を放った。

 火炎を浴びたハーピーは黒焦げとなって、次々に平原に落ちていく。

 飛行速度の速いワイバーンは、突然の火竜の攻撃に怯みながらも、火炎を回避した。


 俺はハーピーの群れを火炎で焼き払いながら、ワイバーン達に暗黒魔法を放ち撃ち落としていった。


 火竜の攻撃に地上の魔物の軍勢は怯みながらも前進を続ける。

 前進する魔物の軍勢は、俺が仕掛けた泥沼地帯に指しかかり、次々と泥沼に落ちていく。

 数千体の魔物たちは、泥沼に落ちた魔物を踏み台にしながら前進してくる。


 魔物たちは泥沼の罠にハマりながらも数を武器に前進を続けるが、平原に大量に設置した泥沼の罠に次々にハマっていき、ボルトンに近づくにつれて魔物の数は減っていった。


 ボルトンの城壁前にたどり着けた魔物は、ヴァイパーなど泥沼を泳げる特殊な個体と運よく安全な道を歩けた魔物が数える程度であった。

 城壁前にたどり着いた魔物たちは、城壁の上からのバリスタ、弓矢、遠距離魔法によって討伐されていった。


 俺も上空の魔物をすべて焼き払い、素早いワイバーン達は暗黒魔法を浴びて、地上に落ちた。

 平原に設置した泥沼では大量の魔物たちが抜け出せずに喚き声をあげている。


 地上に配置された冒険者達は、安全な平原の道を進んで泥沼にはまった魔物に止めを刺して回った。


 昼を迎える頃には、地上に落ちたワイバーンを含めてすべての魔物が駆逐された。

 ボルトンの冒険者達の被害は、誤って泥沼にハマった数名の冒険者と止めを刺す際に軽傷を負った冒険者数名のみであった。


 あまりにもあっけなく、魔物のスタンピードは防がれた。


 俺は大量に泥に埋まった魔物の死体と、地上に落ちたハーピーとワイバーンを取り込んで、残された泥沼の罠の水分を精霊魔法で取り除いた。


 後は取り込んだ魔物の必要な素材を分離して、取り出していくだけだが数が多く、この作業に一番時間が掛かった。


 素材の分離が終わる頃には夕方となっていた。

 ボルトンの広場には魔石や毛皮、角や牙、肉など大量の素材が積みあがっていった。

 町の住民達、冒険者、ギルド職員は、広場にきれいに仕分けされた素材を次々と倉庫に運んで行った。

 肉は食べきれないほどあり、今夜の打ち上げ用以外は町の住民達に配られた。


 夕方からは、町を挙げてボルトンの広場で魔物討伐の祝いの宴が行われた。

 俺はオリバー町長から、今回のスタンピードの最功労者として表彰された。


 俺はシルビアとエオリア、ミレニアムのメンバーらと打ち上げを楽しみながらも、森の魔素がいまだに濃い濃度を保ったままとなっていることが気になっている。

 以前、森の奥まで飛んだ時に見た魔素の濃い山脈のことが頭に浮かんできた。


「ヒデユキどうかしたの?」

 シルビアに聞かれたので、考えていた山脈のことを話した。


「そんなに気になるんだったら、明日、みんなで行ってみようよ」

「私たち冒険者なんだから」


 俺たちは明日、森の奥の山脈に行くことにした。

 もちろんミレニアムのメンバーも一緒にいくことになった。


 翌日、朝食を食べてからみんなを乗せて森へと飛び立った。

 しばらく森の奥を飛ぶと、以前見た魔素の濃い山脈が見えてきた。

 山脈の魔素は、以前よりもだいぶ濃くなっている。


 山脈の山々を抜けていくと、強い魔素を感じるひときわ大きな山が前方に見えてきた。

 発生源は山の中腹部分のようで、近づくと虹色に輝く魔素の泉が見える。

 泉の中心部分には陸地があり、そこには巨大な金色の竜がいた。

 黄金竜は火竜の俺よりも数倍大きい。

 金色の竜はクリスタルのような透明なガラスに包まれて微動だにしない。

 まるで封印されているようだ。


 俺たちは黄金竜がいる泉の陸地に舞い降りた。

 俺はみんなを降ろしてから、土魔法で壁を造りヒデユキに変身して着替えた。

 黄金竜は動くことはないが巨大で迫力がある。

 どうやら虹色の泉の魔素は、この巨大な黄金竜から流れ出ているようだ。

 クリスタルのようなガラスの下から少しずつ魔素が流れている。


 みんなでクリスタルを調べていると、俺の頭の中に声が聞こえてきた。

 シルビア達をみると、特に変わった様子はないので聞こえたのは俺だけのようだ。


『力ある者よ、私の名はノア、お前の目の前に封印されている黄金竜だ』

『お前の力でこの封印を解いてくれ』


 俺の頭に直接、黄金竜の声が聞こえてきた。

 俺も黄金竜に頭の中で話しかけた。


『ノアさんは、何故封印されたのですか?』


『はるか昔、私と対をなす暗黒竜との戦いに敗れて封印されたのだ』


『封印を解いたら暴れたりしませんか?』


『もし、この封印を解いてくれたら、決してお前たちには危害を加えないと誓おう』


『どうやったらこの封印は解けるのですか?』


『私も何度もこの封印を解こうと抗ったが、抗うたびに大量の魔素が抜けていく、封印の解き方は私にもわからん』


 ノアさんにもこの封印の解き方は分からないようだ。

 俺はとりあえず、クリスタルごと取り込んで、内部で封印を分離することにした。


 さっそく、黄金竜ごとクリスタルの塊を取り込んだ。

 内部を意識すると巨大な魔素を持つ黄金竜とそれを取り囲むクリスタルの封印を感じた。

 内部で封印と黄金竜の分離を意識すると分離できた。

 すぐに黄金竜だけを外に出した。


 目の前には封印の解かれた巨大な黄金竜が出現した。

 今まで生きたままの魔物を取り込んだことがなかったので、成功するか心配もあったが、うまくいったようだ。


 シルビア達は、突然封印の解かれた黄金竜が目の前に出現したので、とても驚いていた。

 俺は驚く彼女たちに黄金竜に頼まれて封印を解いたことを告げた。


「お~、この忌々しい封印がようやく解けた」

「力ある者よ、助かった礼を言う」

「さすがに私の魔素も底をつき、息絶えるところだった」

「そなた名は何という?」


「私の名はヒデユキと申します」

「そして、彼女たちは私の仲間で、シルビア、エオリア、ソフィア、ルビー、ベラです」


「ヒデユキ、そしてその仲間達よ、改めて礼を言う」

「私は長い封印により、多くの力を失ってしまった」

「これから、再び力を取り戻し暗黒竜との戦いに備えて、この魔素の泉で永い眠りにつく」


「ノアさん、この森の魔素が濃いのは、今までノアさんの魔素が泉に流れていたからですか?」


「そうであろう、封印が解け、これから私はこの泉で力を取り戻すため、眠りにつく」

「しばらく時間はかかるであろうが、徐々にこの森の魔素も落ち着いていくであろう」


「最近、森の魔素が急に濃くなったのは何故ですか?」


「私が封印を解こうと抗ったからであろう」

「今までも封印を解こうとすると、魔素が多く抜かれた」

「多分、そのためであろう」


「お礼と言ってはなんだが、この山にはお前たち人族が好む鉱石などが多くある」

「魔物も私の存在を恐れてこの山には近づいてこない、私が眠りにつく間、好きに使うがいい」


「それでは、ヒデユキ、そしてその仲間達よ、私は永い眠りにつく、さらばだ」


 ノアさんは、そう言い残して泉に潜っていった。


 突然の黄金竜とのやり取りであったが、得られたものはこの山脈の鉱石の採取のようである。

 貴重な鉱石って何があるんだろう?

 今度、ヨークの町で聞いてみよう。


 とりあえずこの森の強い魔素の原因がわかり、時間はかかるが徐々に魔素も薄れるそうなので、この件をボルトンのオリバー町長とクロエギルド長に報告しなければならない。


 永い時を生きる黄金竜が、魔素が落ち着くのにしばらく時間がかかると言うのは、何百年単位かもしれないが、この世界の住人にとっては喜ばしいことだ。


 俺たちは、黄金竜の眠る魔素の泉を飛び立って、ボルトンを目指した。


いいね!評価、ブックマークなど頂けると、大変励みになりますのでどうぞよろしくお願い致します。



初投稿作品です。

週に1話を目標に投稿していきたいと思いますので、末永くの応援よろしくお願いします。

頑張って書いてます。

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