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第25話 マーゲイトの町とボルトンの森の異変

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よろしくお願い致します。

 ラミア族を驚かせないように火竜の姿の俺は、町から少し離れた場所に舞い降りた。


 タールの魔人の姿に変身すると、ベラに抱っこされて注意事項の説明があった。

「ヒデユキ、ラミア族の町ではけっして人族に変身してはなりません」

「ワイバーンや火竜の姿に変身できることは話しても大丈夫ですが、人族の姿に変身できることは秘密にしてください」


「ベラさん何で?」


「人族に変身できることが知られたら、ラミア族は魅力的なあなたを誘惑して、町から帰れなくするからです」

「いいですか、けっして人族に変身できることは秘密にしてください」


 ベラに抱えられたまま俺たちは、マーゲイトの町に入った。

 久しぶりのベラの帰郷に町のラミア族が集まってきた。


 町の雰囲気は、ブローニュにとてもよく似ている。

 町の周辺には、田んぼや畑、果樹園が広がり、町の家々は木造の建物が立ち並ぶ。


 但し、ラミア族は全員が魅力的な女性で下半身は蛇の尻尾を持つ。

 集まったラミア族は、ベラに抱かれた俺に興味があるようで、色々な質問を受けた。

 ワイバーンや火竜に変身できることや精霊に愛されている魔人種であることをベラから町の人々に説明した。


 ラミア族のリーダーの名はオリビアさん。

 金髪の長く美しい髪に魅力的な瞳をしている。

 オリビアさんは、俺たちを歓迎してくれて宴を開いてくれた。


 俺は、お土産の海産物とブローニュ産の果物、ワイン、火酒を取り出した。

 俺の体から、次々と出てくる品々を見て、ラミア族はとても驚いていた。


 歓迎の宴では、ベラを筆頭にシルビアらが海産物の調理方法をラミア族に教え、ラミア族にとって初めてとなる海産物の試食会もとても好評であった。

 タールの魔人の姿の俺は、エオリアに抱きかかえられながら、食事を口に運んでもらった。


 途中、ラミア族のリーダーのオリビアさんから魔物への変身を是非、見せてほしいと頼まれて、シルバーウルフ、ヴァイパー、ミノタウロス、ワイバーンや火竜に変身して見せた。


 皆、驚愕の表情で俺の変身を楽しんでくれた。


「ヒデユキ殿は、人族には変身できないの?」

 変身能力を披露した俺にオリビアさんが聞いてきた。


 シルビアら5人の視線が俺に刺さる。


「残念ながら人族への変身はできません」


「それはとても残念です」

「ヒデユキ殿ほど、力のある魔人が人族の姿に変身できれば、ラミア族は今よりもっと繁栄できるのですがとても残念です」


 その日は、夜遅くまで歓迎の宴が続き、オリビアさんの家に泊めてもらった。


 翌日の朝食の後は、オリビアさんから他の町で行っている交易について相談があった。

 シルビアとエオリアが前日の宴の席で、ブローニュ、ヨーク、チェスター、ボルトンで専用窓口を設置して行っている特産品のやり取りの話をした。


 オリビアさんからは、マーゲイトの町にも、美味しい農産物や上質な織物業があり、他の町にも広めたいとのことで、専用窓口の設置のノウハウと物資の運搬をここマーゲイトの町にも広げてほしいとのお願いであった。


 マーゲイトの町はヨークからも近く、運搬については全く問題ない。

 俺はシルビアとエオリアと相談して、オリビアに了承を伝えるとともに、今後、各町の専用窓口にマーゲイトの町を加えることで調整することを約束した。


 残念ながら、ラミア族の子づくりの疑問はモヤっとしたままとなってしまったが、交易の話は上手くまとまり、俺たちはラミア族の女性だけの町マーゲイトを後にした。




 マーゲイトの町を訪問してから、ひと月が過ぎてマーゲイトの町の農産物や織物製品の専用窓口での取り引きも軌道に乗ってきた。

 最近では、美味しい農産物と上質な織物製品が評判となり、マーゲイトの町では田んぼや畑、果樹園、織物工場の拡張作業も進んでいる。


 同時に他の町からの特産品の輸入や美味しい料理のレシピのやり取りも増えて、それぞれの町が潤っていく。


 ちなみにマーゲイトの町では、俺は常にタールの魔人の姿で活動するので、移動も食事もとても不便である。

 人族のヒデユキの姿に変身し自由に動き回りたいが、俺はシルビアかエオリアに抱きかかえられ、マーゲイトの町では常に2人の厳しい監視にさらされている。




 ボルトンでの冒険者活動で最近微妙な変化を感じるようになった。

 海産物の採取や各町への物資の運搬もあり、週に2、3日程度の冒険者活動であるが、活動時はソフィア達ミレニアムと行動を共にする。


 ソフィア達も冒険者ギルドの教官として、新人冒険者の指導を続けており、俺たちとの週に2、3日の冒険者活動が丁度いいらしい。

 何より、俺と行動すると素材の運搬と飛行による移動ができるので、もはや俺なしの冒険は考えられないそうである。


 皆で話して、今日は少し森の奥まで飛んで魔物討伐をすることになった。

 森の上空を飛ぶと、眼下の魔物の気配がいつもよりも多く感じる。

 また、何となく森の魔素が依然と比べても濃くなっていると感じた。


 俺はソフィア達にそのことを伝えた。

 6年前にソフィア達が大けがを負ったスタンピードの前にもそのような報告があったそうだ。


 まだ、微妙な変化であるが、帰還後ギルドマスターにミレニアムから報告することにした。


 目的とする森の奥地に到着し、皆を降ろして俺は人族のヒデユキに着替えた。

 着替え終わると、直ぐに前方から大量の魔物が近づいてくる気配を感じた。


 俺は皆に50体程の魔物が近づいていることを告げた。

 すぐに戦闘態勢を整えると、前方からコカトリスの群れが見えてきた。

 コカトリスは頭部が鶏、トカゲの様な体に竜の翼に蛇の尻尾を持ち、石化の毒を放ってくる厄介な魔物で、翼はあるが高くは飛べないようだ。


 俺は、味方全員に石化を防ぐイメージの光魔法を放った。

 シルビアとベラは闇の魔法を放ち、チビも眠りの魔法を放った。

 ソフィアは泥沼魔法を放ち、半分ほどの魔物が動けなくなった。


 ルビーとエオリアが魔力を流した剣と槍で魔法を逃れた獲物を仕留めていく。

 魔物の数が多いので、シルビア、ベラ、チビは再度コカトリスに闇の魔法と眠りの魔法を放ち、ベラとエオリアに加えてソフィアが弓で魔物をせん滅していった。


 魔法にかかった魔物以外をせん滅して、闇魔法、眠り魔法、泥沼魔法を受けた魔物は、5人の女性が止めを刺して回った。


 俺は最初に石化を防ぐ光魔法を放っただけで、5人と1匹で50体のコカトリスをせん滅した。

 毎週のように大量の魔物を討伐する彼女らの魔素と魔力は、最初に会った時と比べると、とても強くなっている。


 シルビア、エオリア、ソフィア、ルビー、ベラの5人も冒険者として、急激に力をつけていることを実感しているようで、今では俺は少し援護するだけで、すべての魔物は彼女らが討伐する。


 俺は50体の大量のコカトリスを取り込んで、必要な素材を分離する。

 ちなみにコカトリスの肉は、鶏肉のようでとても美味しく、高値で取り引きされる。

 他にも魔石、鱗、皮、毒袋が魔道具、防具、薬の材料として買い取ってもらえる。

 森の奥地に生息し、石化の毒を持っており、討伐は難しいが、冒険者にとっては倒せばうま味のある魔物である。

 俺たちは大量の素材をゲットした。


 その後も、シルバーウルフ、ハイオーク、オーガの群れやヴァイパー、ミノタウロスなど、いつもよりも多くの魔物と遭遇し、せん滅していった。

 やはり森の魔物は普段よりだいぶ多いようだ。


 夕方前に俺は彼女たちを乗せて、ボルトンに帰還した。

 俺たちは討伐した沢山の魔物の素材と肉を冒険者ギルドに買い取ってもらった。


 ミレニアムの3人は、魔物の数と魔素の濃度について、ギルド長のクロエに報告に向かった。


 今日は久しぶりにシルビア、エオリア、チビと俺とで夕食に向かった。

 店に捕獲したコカトリスの肉をおすそ分けして、コカトリスの肉料理をエールで流し、美味しい夕食を頂きました。


 翌朝もソフィア達と森の奥に向かって飛んだ。

 前日、ソフィア達がクロエギルド長に森の異変を報告して、クロエから今日も森の奥を探索するようにお願いされたそうだ。


 昨日とは違う方向の森の奥に向かうと、眼下に大量の魔物の気配を感じた。

 軽く数千体を超える魔物がいるようだ。


 俺は直ぐにソフィア達に伝えた。

 近づくとゴブリンとオークの群れが町に向かって進行している。

 群れの中には、ホブゴブリンやハイオークなどの大きな個体も多数いる。

 きっと、ゴブリンキングやオークキングといった最上位種もいるはずだ。


 俺は、一旦、魔物のいる上空から離れた森に舞い降りた。

 ソフィア達と、これからどうするかを相談した。


 魔物の数が多すぎるし、町に向かっているので、すぐに知らせる必要がある。

 俺たちは、ボルトンに向けて飛び立った。

 魔物の移動速度を考えると明日にはボルトンに現れそうだ。


 町に戻る途中、眼下に見つけた冒険者達に、魔物が押し寄せていることを告げてまわった。


 ボルトンに舞い降りると、ソフィア達は急ぎギルド長に魔物の群れの進行を報告した。

 報告後は、ギルド内が慌ただしくなり、冒険者を集めて明日魔物の軍勢が町に押し寄せることと、今から町の防御を固めることが発表された。


 俺はソフィア達の指示に従い、城門の前に行き、土魔法と土の精霊魔法が得意な冒険者達と防御用の土壁を建ち上げてまわった。


 森から出た平原一帯にも、泥沼魔法の罠を多数張り巡らせ、ぱっと見では分からないように上部を普通の草原のようにカモフラージュした。

 網の目のように張りめぐらせた泥沼の罠だが、安全な道には目印もちゃんと作って、冒険者達に落ち込まないように伝えた。

 泥沼魔法の罠の付近には、駆け出し冒険者達が立ち戻ってきた仲間の冒険者が誤って落ち込まないように交代で見張ってもらうことにした。


 この他、ギルドではバリスタや弓矢など明日に向けて、できる限りの準備を整えた。


 夕方になると、魔法を多用したため、俺のお腹が空いてきた。

 シルビアとエオリに森に魔素の補充に向かうことを告げると、一緒に付いて行くというので、ワイバーンに変身して2人を乗せて森に向かった。


 俺は魔力草や魔素キノコを大量に取り込み、ワイバーンの姿のまま魔物を探して瞬殺してまわった。

 シルビアとエオリアからは、明日の魔物との戦いもヒデユキ一人でせん滅できるんじゃない?

と言われた。


 多分、今の俺ならそれも可能なような気がする。

 今日は明日に備えて、ボルドンの宿で早めに就寝することにした。


頑張って書いてます。

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