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第19話 お母さんにあいさつしよう

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 獣人族の女性職員に案内され、魔道エレベーターで5階に上がると、ゆったりとしたロビーが広がっていた。


 女性職員は、俺たちにロビーの長椅子で少し待つように告げて、通路の奥へと消えて行った。


 しばらく待つと、先ほどの女性職員から応接室に案内された。

 俺とチビは精霊に乗って、シルビア、エオリアと部屋に入った。


 部屋には大柄な男性リザードマンと、黒髪の獣人族の女性が待っていた。


 俺は2人にあいさつした。

「初めまして、私はブローニュの冒険者ヒデユキです」

「ブローニュとヨークからの依頼で物資の輸送と手紙を持ってまいりました」

「後ろにいるのは、冒険者仲間のシルビアとエオリアで、隣がペットのチビです」


「私はボルトンの町長のオリバーで、隣にいるは冒険者ギルドのギルド長のクロエです」

「物資の輸送ご苦労様」

「みなさん、お掛けください」


 リザードマンの町長オリバーさんは、ソファーに座りエスターシャ長老とボビー町長からの手紙に目を通した。


「なるほど、ヒデユキ殿のことは理解しました」

「ボルトンはヒデユキ殿を歓迎します」


 ギルド長のクロエさんから

「シルビアとエオリアは、もしかしてソフィアの娘か?」


 肯定すると、クロエさんは案内してくれた女性職員にソフィアを呼んでくるように言った。


 手がないタール姿の俺は、女性職員が淹れてくれた紅茶をエオリアに飲ませてもらいながら待つと、エルフの女性戦士が部屋に入ってきた。


「シルビア、エオリア久しぶりね」

「随分と強くなったようね」


 シルビアとエオリアは、母に駆け寄って抱き着いた。


 さすが親子とあり、ソフィアさんは銀髪で肌は白く、シルビアとエオリアにとてもよく似ている。


 エルフということもあり、見た目は30代前半ぐらいにしか見えない。

 しかし、過去に魔物との戦闘で深い傷を負ったと聞いていたとおり、顔や腕には大きな傷跡があり、左手の手首を失い、右目には黒い眼帯をしていた。


 かなりの重傷を負ったようだ。

 今は怪我で冒険者は引退しているようだが、指導教官としてボルトンに残っていると聞いている。


 しばらく3人で再会の喜びに浸った後、2人は俺をソフィアさんに紹介した。


 お母さんを前に、俺は何も悪いことはしていないがとても緊張した。


「初めましてヒデユキ様、私の名はソフィア、娘たちが大変お世話になっております」

「お見苦しい姿で心苦しく思いますが、これからもその膨大な魔素と精霊に愛されたあなたのお力を娘たちにお与えください」


 ソフィアさんはとても丁寧に俺に接してくれた。


「ソフィアさん、シルビアさんとエオリアさんにお世話になっているのは私の方です」

「2人は、この世界で居場所もなく、偽りの姿で旅を続けてきた私を受け入れてくれました」

「私は2人の優しさに包まれて、ようやく自分の居場所を見つけることが出来ました」

「ブローニュとヨーク、そしてボルトンが私を受け入れてくれたことに感謝します」



 あいさつの後、俺はソフィアさんに何故、体の傷を癒さないのか聞いてみた。


 ソフィアの姿は、見た目も年齢的にも俺のドストライク。

 美しいエルフの女性が、体中傷だらけの姿のまま不自由な生活を送ることはあまりにも不憫である。


「ヒデユキ様、失礼な言い方だが、私も冒険者としての生活を続けたいが、この傷は魔法でも精霊様の力を持ってしても癒すことは出来ない」

「私もこの傷が癒せるのならば、すぐにでも冒険者として魔物を駆逐したい」


 俺は、西の海で光魔法の練習の時に魚の尻尾を切って再生したことがあったので、人種の部位欠損は魔法では再生できないことを知らなかった。


「ソファイアさん申し訳ありません」

「私はあなたの怪我は光魔法で癒せると思っていました」


「何故、そう思ったのですか?」


「以前、光魔法の習得の際に部位欠損は癒すことができたからです」


「そこまでの光魔法の使い手は聞いたことがありません」


「落胆させさせてしまうかもしれませんが、ソフィアさん魔法を使ってもいいですか?」


 俺は、ソフィアの左腕と右目の再生、体の傷跡の治療を念じて魔法を放った。


 ソフィアの左腕は瞬く間に再生し、体の傷跡も無くなった。

 眼帯を外すと、ソフィアの美しいブルーの瞳が俺を見つめる。


 しばらく、左手の感覚を確かめていたソフィアさんは、タールの魔物の姿をした俺を抱きかかえて、やさしく抱きしめた。


「ヒデユキ様、本当にありがとう」


「魔法であれ程の傷を癒せるとは」


 ギルド長のクロエさんとオリバー町長も驚いていた。


「ヒデユキ様、もし可能ならば私の冒険者仲間でギルドの教官をしている仲間達の傷も癒してもらえないだろうか」


 ソフィアさんのお願いを俺は2つ返事で了承した。



 しばらくすると、ソフィアさんが教官2人を連れてきた。


 一人は赤い髪をした獣人族の女性ルビーさん。

 右足の膝から下と尻尾の半分を失っている。


 もう一人は、青い髪のラミア族のベラさん。

 下半身の尻尾部分に欠損がある。


 俺の魔法はイメージがとても大事だ。

 ソフィアさんにルビーさんとベラさんの尻尾を癒すのに復元イメージの参考となる人の手配をお願いした。


 しばらくすると2人に似た尻尾を持つ、獣人族の女性冒険者とラミア族の冒険者が応接室に呼ばれて来た。


 俺は2人の獣人族の尻尾を見比べながら、ルビーさんの尻尾の再生をイメージして光魔法を放った。

 ルビーさんの尻尾はイメージ通りに再生し、右足も再生した。


 つづいて、ラミア族の尻尾を見比べながら光魔法を放ち、ルビーさんとベラさんの傷は癒えた。


 3人の女性から、熱烈な喜びのハグを頂きました。


 他に傷などがあれば癒しますよと言うと、ギルド長のクロエさんが背中の傷を癒してもらいたいと近づいてきた。


 上着を脱いで背中を見せるクロエさんはとてもセクシー。


 俺は、光の精霊にお願いして、精霊魔法の癒しを試した。

 精霊にお願いすると、漂う光の精霊達が集まり、大きな光となってクロエさんの背中の傷を癒してくれた。


 部位欠損の癒しまで可能かは試してみないと分からないが、精霊の力が強いこの町では光の精霊の癒しも可能なようだ。


 クロエさんからも喜びとお礼のハグを頂きました。


「ヒデユキ殿、もし可能ならば怪我をした他の冒険者の癒しも引き受けてもらえないだろうか?」


 俺はオリバー町長の依頼を快諾した。

 町の冒険者の癒しは明日からギルドの1階で行なうことになった。


「オリバー町長、この姿では動きづらいので人間の姿に変身したいがよろしいでしょうか?」


 承諾をもらい、俺はシルビアに隣室に連れて行ってもらい人型ヒデユキに変身した。


 着替えた後は、ブローニュとヨークからの物資を何処に運ぶか尋ねた。


「裏にある倉庫にお願いしたい」

「物資は何処に置いてあるのですか?」


 俺は、穀物1袋を取り出した。

「私が持っています」

「倉庫に案内してください」


 便利な収納機能について説明し、倉庫へ物資の輸送を終えた。



 物資の搬入を終えて俺はシルビアとエオリアに尋ねた。


「久しぶりにお母さんに会えたんだから、家族水入らずで今日は食事でもしてきたら」


 家族での食事会を提案したが、ソフィアさんから、今日はルビーさんとベラさんも一緒にお礼を兼ねた食事会にと誘われた。


 そのまま俺たちは、ソフィアさんお勧めのお店に向かった。

 幻獣のチビも個室なら入店OKなようだ。


 店の入り口に近づくとカレーのいい匂いがする。

 まさかこの世界にもカレーライスがあるのか?


 店のなかは、多くの冒険者で賑わっていた。

 テーブルにはカレーライスが運ばれている。


 ソフィアさん曰く、この店のカレーライスと唐揚げは絶品で、食欲旺盛な冒険者に大人気のお店だそうだ。

 カレーライスとの相性はどうかと思うが、もちろん酒もある。


 6人と1匹でテーブルに着き、とりあえずエールを6杯とチビ用にミルクを注文した。


 ソフィアさん、ルビーさん、ベラさんの快気祝いと俺たちの出会いを祝って乾杯した。


 ソフィアさんは塩味と醬油味の唐揚げの大皿を注文し、カツカレーの大盛を6杯注文してくれた。

 チビには持参した塩抜きのアジの開きをあぶってもらった。


 久しぶりのカツカレー、カレーの匂いが食欲をそそる。

 唐揚げもサクッとして、エールが進む。


 久しぶりのカレーはとても満足のいく味でありお代わりした。


 食事中にボルトンの冒険者ギルドの登録について聞いてみた。


 冒険者のランクはクロスター王国と同じでAからGまであり、ギルドで申請するとカードを発行してくれるそうで、最初はGランクからとなる。


 Gランクが受けられる仕事は町の清掃業務や町の雑用、森での仕事は素材採取のみである。


 ソフィアさん達は、冒険者を引退しているがギルドの教官でランクはBのままだそうだ。


 Gランクの冒険者でも上位ランクの冒険者とパーティーを組めば森での魔物討伐も可能なようなので、今度ソフィアさん達とパーティーを組んで森に入ることを約束した。


頑張って書いてます。

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