第16話 新しい装備と魔道具
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温泉の後、部屋に戻るとシルビアとエオリアはまだ風呂から戻っていなかった。
寝室のベッドに横になると、火酒が効いたのか、直ぐに眠くなり気が付けば朝日が昇っていた。
2人は隣のベッドでまだ眠っている。
寝室を離れて居間の窓を開けると、眼下にはドワーフ達が、通りのあちこちで震えながら身を小さくし眠っている姿が見える。
12月なので寒さで凍死者なんて出てないだろうかと少し心配になった。
しばらくすると2人も起きてきた。
「今日はヨークの魔道具店とルイさんの武具店だったよね」
「楽しみだね」
「シルビアとエオリアも魔力を流せる武器なんか使ってみたらどうだい」
俺がよく使う魔力を流したミスリルの剣は魔物との戦闘にとても役立っているので2人に提案した。
魔力は魔物を討伐すると増えるから、魔力を流せる武器は良いと思うよ。
2人も乗り気なようなので、後でボビーさんとルイさんにお願いすることにした。
デイジーさんが朝食の準備が出来たよと呼びに来た。
俺たちは1階の食堂に向かった。
ボビー町長も座って、デイジーさんの手料理を頂いた。
朝食は朝からガッツリ分厚いステーキ肉、シチュー、サラダにパンとエールが並んでいた。
さすがドワーフ、朝から水代わりにエールを飲むんだね。
美味しい食事を楽しみながら俺たちは、先ほど話した魔力が流せる武器についてボビーさんに相談した。
ボビーさんは、ドワーフの鍛冶師は腕が良いので魔力を流せる武器は問題ない事と、火竜の素材の分配についてルイさんを交えて俺たちと話したいと提案があった。
朝食後は火竜の素材の配分の話しをするため、ボビー町長とルイさんの防具店に向かった。
俺はエルフの町ブローニュで火竜の素材の需要があるのかがさっぱりわからないので、配分はシルビアとエオリアにお任せした。
ルイさんの防具店は、繁華街のボビー町長の自宅のすぐ近くにあった。
3階建で、1階は通りに面した部分が店舗で奥は鍛冶工房となっているようだ。
店舗には剣や盾、装備品などがたくさん飾られている。
ボビー町長が来店を店員に告げると、奥からルイさんが出てきた。
俺たちは、店の商談テーブルに案内されて打ち合わせを行った。
シルビア達の話では、ブローニュで火竜の素材はポーションや装飾品の材料に使うぐらいで、骨、鱗、内臓、牙などの素材が多少あれば、あとは皆で食べる肉が必要なぐらいだそうだ。
逆にヨークでは、魔道具や鍛冶屋での需要が多く、捨てるところがない竜の素材は大変貴重なようで、話し合いの結果、俺たちは肉を多めにもらい、骨、鱗、内臓、牙などの素材は少量持って帰ることになった。
ルイさんは非常に心苦しそうであったが、必要ないものを持って帰ってもしょうがないので、その分、俺たちに最高の装備品と魔道具をたくさん提供することで納得してもらった。
ルイさんは、俺たち3人の防具として、竜の皮と鱗を使った動きやすい皮の鎧の採寸を行い、シルビアにはミスリルとグリップ部分に竜の骨を使ったレイピアをエオリアにはミスリルと竜の骨で槍を作製してもらうことになった。
いずれも竜の素材とミスリルをふんだんに使い魔力の流れは抜群だそうだ。
俺は愛用のミスリルの剣の整備とグリップ部分を竜の骨に変えてもらうことにした。
また、竜の角を使ったお揃いの短剣もお願いした。
ルイさんは、早速武具の作製に取りかかるそうだ。
竜の装備をお願いした後は、ボビーさんと隣にある魔道具店に向かった。
店には、色々な魔道具が置かれていた。
店の主人の名はルーバンさんと言い、ヨークで1番の魔道具職人だそうだ。
ルーバンさんは、今回火竜の素材が手に入ったことが、職人魂に火をつけて、嬉しくてたまらないようだ。
俺たちは店にある色々な魔道具の説明をルーバンさんから聞いて、必要なものは好きなだけ持って帰ってよいと言われた。
俺たちは魔力で動く懐中時計を3個と、家の台所用に水とお湯が沸き出る水の魔道具、お風呂用にシャワーも付いた水の魔道具、野外でもシャワーが浴びれる携帯用の水の魔道具、携帯用の魔道コンロ、洗濯の魔道具、ヘアドライヤー、シルビアとエオリア用に水中でも呼吸ができる風の魔道具をもらった。
この他にも、ルーバンさんは竜の素材を使い、魔法防御を付与したお揃いのネックレスを俺たちに作ってくれることとなった。
ルーバンさんとボビー町長にお礼を言ってから、ブローニュへの帰宅の準備をし、お土産の火竜の肉と素材を取り込んで広場に向かった。
広場にはたくさんの人が集まっていた。
俺は集まっている人達に今後も海産物を持ってヨークに販売に来ることを伝えた。
そして来るときは、ワイバーンや火竜の姿で飛んでくることを話し、実際にタールの魔物の姿からワイバーン、火竜へと変身して見せた。
俺の変身能力に集まった人々はとても驚いていた。
火竜の姿のまま頭を下げて、シルビアとエオリアに背中に乗るように言った。
2人を乗せた後は、温かい風をイメージして火竜を包むように風をまとった。
火竜はワイバーンよりも重く大きいので、飛び立つのにも風の魔法で上昇気流をイメージして火竜の体は空へと舞い上がった。
空高くまで上昇して、ブローニュに向けて進んだが、飛行スピードはワイバーンの方がだいぶ速いようだ。
途中、火竜の姿でブローニュに着いてパニックになったら大変だと思い、地上に降りていつものワイバーンの姿に変身した。
12月とあって上空の風はとても冷たい。
温かい風をイメージし2人を包み込んだので、シルビア達は快適な飛行を楽しめたようだ。
1時間ほどの飛行でブローニュに到着した。
到着後は、エスターシャ長老のもとに向かい、ヨークでの一連の出来事を話して、お土産に竜の肉と素材を取り出した。
火竜討伐の話しはエスターシャも驚いていたが、早速、町の皆に火竜肉のバーベキュー大会の準備を指示した。
俺たちは一旦自宅に戻り、もらった魔道具の設置と家用の火竜肉を冷蔵庫に保管した。
この家の魔道具も随分と増えて、テレビやインターネットは無いが、前世と同様に便利な生活が送れるようになった。
外からエルフ達が慌ただしく、バーベキュー大会の準備を始めた声が聞こえてきた。
俺たちも、魔道具の設置を終えて、広場のバーベキュー会場に向かった。
2日続けてのバーベキュー大会であったが、火竜の肉をみんなで美味しくいただいた。
12月も中旬を過ぎるとブローニュの町には雪が降り始めた。
これから3月末までは、森も雪が降り積もる。
俺の体は寒さを感じないので、週1回の西の海への海産物採取は、これからも続けていく予定だが、せっかくヨークの町で水中でも呼吸ができる魔道具を得たので、シルビアとエオリアは海に入りたがった。
俺は、風の魔法のように温かい水をイメージして、2人を包み込めば冬の海でも潜れるのではと考えて、ブローニュの近くにある湖で練習することにした。
最初にエオリアに手だけを水に入れてもらい、手を被うように温かい水で包み込むイメージで魔法を発動した。
エオリアの手は温かく、冷たい水も大丈夫なようだ。
次に呼吸ができる魔道具を口にくわえて、そのまま水に入り、温かい水で体全体を被うようにイメージすると成功したようだ。
シルビアにも魔法をかけて、2人で湖の中でも問題なく長時間動けるようになるまで練習した。
同じように水の精霊にお願いして、水中での活動を試してみたが、こちらも問題なくうまくいった。
魔法発動は自分の魔力を消費するので、長時間の活動では精霊魔法の方が効率が良い。
水の魔法と精霊魔法はエオリアも得意なので、俺がいなくてもエオリアの魔法と精霊魔法で同じことができるように練習を続けた。
エオリアの猛特訓が始まり、ついに魔法でも精霊魔法でも冷たい水の中で活動できるようになった。
さっそく、明日3人で西の海に向かうことにした。
翌朝、携帯用の水の魔道具、水の中でも呼吸ができる魔道具、ドライヤー、調理器具などを準備し、西の海へと飛び立った。
砂浜に降りたシルビアとエオリアは、すぐに服を脱ぎはじめた。
「シルビアさん、エオリアさん、目のやり場に困るので、せめて下着は着たままでお願いします」
2人は下着姿になって海へ向かった。
ちなみに女性の下着といっても、日本人女性の下着ほどセクシー感は無く、短パンに薄い肌着といった感じだ。
薄い肌着は海の中でどんなふうに見えるのか非常に興味深い。
海には危険な魔物もいる。
俺も2人に続いて海に潜った。
エルフの姉妹は超美人。
見えそうで見えない薄い下着は俺へのご褒美。
幻想的な海の世界を楽しむエルフの姿はまるで人魚の様だった。
海の探索を満喫して砂浜に上がる2人を俺は温かい風の魔法で包み込んだ。
砂浜に土魔法で壁を立ち上げ、簡易シャワー室を作った。
2人の入浴中、俺は収穫した海産物を調理した。
「海って神秘的」
「ヒデユキ、ありがとう」
3人で海と海産物のバーベキューを堪能した。
初投稿作品です。
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