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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第080話 オードリーの悩み事

「お茶会を始めるにあって、先ずはお茶とお菓子ですね。お茶はコロン様がお持ちくださった、ロラード領の茶葉、お菓子はミーシャが作って来てくれた動物クッキーです」


 マルティナの指示によって、各令嬢にシャンティーとエマによってお茶が配られていく。


「マルティナ、この小箱は何かしら?」


 マルティナに紙切れの入った小箱を渡されたコロン嬢は首を傾げる。


「普通にお菓子を選ぶよりも、くじで引けば、何が当たるのか楽しみでしょ?」


「なるほど、それは面白いわ」


 そう言ってコロン嬢がくじを一枚引く。


「まだ、開けちゃダメですよ、全員ひいてから一斉に開けましょう」


 マルティナはそう言うと次にオードリーに引かせ、テレジア嬢に、ミーシャと引かせる。


「レイチェル、先に引く?」


「いいえ、私は最後でいいわ」


 残り物には福があると言うので、私はマルティナに先に引かせ、残った一枚を自分で引く。


「じゃあ、いっせのーで!」


 マルティナの掛け声で皆が一斉にくじを開いていく。


「私は、犬だわ」


 コロン嬢は犬。


「私は、イルカの様だね」


 オードリー嬢はイルカ。


「私にはリスが当たったようね」


「私はうさぎですね」


 テレジア嬢がリス、ミーシャがうさぎの様だ。


「あら、私はたぬき? たぬきなんてあったの?」


 マルティナはたぬきが当たったようだ。そして、私は自分のくじを確認する。


「あら、私はくじらだわ」


「では、それぞれ当たったクッキーをとっていて」


 そういって、お皿に移し替えられたクッキーが回されていく。


「うぅ、大きい…」


 私の当たったくじらクッキーは通常のものより3倍を超える大きさがあった。しかもちゃんと表面にはチョコレートが塗られている。


「いいなぁ~くじら…」


 マルティナが羨ましそうにわたしのくじらくっきーを見る。


「あはは、くじらはいつもマルティナが選んでいたからね」


 マルティナの様子を微笑ましくミーシャが笑う。


「マルティナ、交換しましょうか?」


「いい! そんな事をしたらくじの意味がなくなっちゃう」


 マルティナは迷いを断つ為かたぬきくっきーをガシガシと食べる。


「では、お茶とお菓子が回った所で、みんなの御悩み事相談会といきましょうか」


「えっ?全員のなの? 今日はオードリーだけじゃないの?」


 コロン嬢がマルティナに尋ねる。


「いや、こうやって皆で集まれるのも久しぶりだし、どうせならと思いまして」


「なるほどね、私も自分の悩みだけで皆を集めたとなったので心苦しかったよ」


 マルティナの説明に、オードリー嬢が同意する。


「では、改めてオードリー様から改めて悩み事を説明してもらえますか?」


「分かった、私から始めるよ…」


 そうして、オードリーは先日、オペル座で私たちに話した悩みを皆に説明していく。父親が浮気をしたせいで、母が屋敷から去った事、そんな父と一緒には居たくないので屋敷を出たい事、屋敷を出るためにお金を稼ぐ事、お金を稼ぐために今オペル座で演劇の仕事をしている事、ただ父にその事がばれた時には辞めさせられる恐れがある事なのである。


「お金を貸す事ぐらいはできるけど、私のお小遣いじゃ…」


 そうもらすミーシャ。しかし、おそらくミーシャのお小遣いがマルティナ程度なら、それだけで十分、下町の家なら買えると思う。


「いや、私は皆からお金を借りるつもりはないよ。お金の貸し借りをすると友情にひびが入りそうだからね」


 そう返すオードリー。


「そうね、借りたとしても、お金を稼ぐ場所のオペル座に働きかけられて辞めさせられたら、返す当ても、生活するお金もなくなるわけですし」


 そう付け加えるコロン嬢。


「やはり、オードリー様がオペル座を辞めさせられないようにするのが重要よね…」


 マルティナが眉を顰める。


「ちょっと、よろしいですか?」


 私は手を上げて皆に声を掛ける。


「レイチェル、どうしたの?」


「オードリー様は主役を張れるほどの人材なのに、そのトップの方はオードリー様の実家の言葉で簡単に止めさせてしまわれる方なのですか?」


「あぁ、オペル座のフィボッチ校長は伯爵家の人だからね、侯爵家の圧力には敵わないよ」


 オードリーが答えてくれる。


「そのフィボッチ校長が、オペル座のオーナーでもあるのですか?」


「いや、フィボッチ校長は雇われ校長だから、オーナーではない」


「では、オーナーはどなたなのですか?」


「それは…」


 そこで、オードリーの言葉がつまる。どうやら分からないようだ。


「オペル座は株式会社だから、株主総会で校長を…あ…」


 そこまで言って、コロン嬢が何か思いつく。


「どうかされました? コロン様」


「そうよ! 私たちが筆頭株主になればよいのよ! そうすれば実質的なオーナーになれるわ!」


 コロン嬢が手を叩いて声をあげる。


「でも、筆頭株主になるって相当なお金が必要ではないですか?」


「あら、無駄遣いするのではなく、投資ですから、そんなのお父様に相談すればよいだけよ。学園でも私たちが宣伝すれば、間違いなく、オペル座の評判は良くなるわ。そうすると株価は上がって利益が増える。だから無駄遣いではなく、良い投資先になるのですから、お父様もご了承して下さるわ」


「それなら、私の父にも話がしやすいです!」


 コロン嬢の話にミーシャは同意する。


「わ、私も父に連絡してみるわ」


 マルティナがどもり勝ちに言う。この話し方は、転生してからまだ一度も父親に連絡していないと思われる。


「それで、オードリー様の父上がオペル座に働きかけても大丈夫なのですか?」


「その校長だけには私たちの家が後ろ盾についていることを言って、筆頭株主であることを隠しておけば、オードリーの父上も何もできないわよ」


 私の質問にコロン嬢はそう答える。


「でも、父は他に女を作る以外には、頭の中には仕事しかない人間です。先日も大量の資料を書斎に持ち込んで、ずっと籠ったままだから…」


「あら、オードリーの父上がいくら仕事熱心といっても、マルティナのジュノー家、ミーシャのラビタート家、そして私のロラード家の財力に対抗できるとは思わないわ」


 オードリーの不安をコロン嬢が自信を持って解消する。


「で、では、私のあの家を出て、演劇を続けていくことが出来るんだね…」


 オードリー嬢は身体を震わせて、悩み事と願い事の両方が上手くいったことに感動している。


「そのかわり、良い公演を開いて、株価を上げてくださいましね」


 コロン嬢がにっこりとオードリー嬢に微笑む。


「うん、必ず、オペル座を今以上に盛況にさせるよ!」


 こうして、オードリー嬢の抱える問題は解決を見たのであったが、私個人としては、オードリーの父子関係も改善して欲しかったとは思う。


「では、次の御悩み事解決に行きましょうか、オードリー様、誰を指名する?」


 マルティナが次の話題に移る為、オードリーに指名を促す。


「えっ? 私が選ぶのかい? では、ミーシャを」


「えっ? 私!?」


 こうして、次の御悩み事相談はミーシャに決まった。







連絡先 ツイッター にわとりぶらま @silky_ukokkei


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もご愛読頂ければ幸いです。

※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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