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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第049話 異世界文化侵略

 自室に向かっているが、身体の倦怠感はまだ残っている。学園の生徒である私が、何故このような苦労をせねばならないのだろうか。ようやく一般人の友人も出来て、貴族の友人も出来た。しかし、私に憑りつく『アイツ』の為、私の人生は前世の玲子時代も、今世のレイチェルに於いても、順調には行かない。トモコが言っていた『アイツ』が『人生の幸せや希望』を吸い取っているという事は正しいのであろう。


 また、『アイツ』が鎖によって私に繋がれ拘束されているという事は、私自身が人柱にされているのと同じだ。『アイツ』を解放させてはいけないという目的は分かるが、一体誰が私をその人柱の生贄にしたのであろう。それも一代限りの話ではなく、転生しても引き継がれる状態でだ。


 謎は深まるばかりであるが、それらを検証するための、知識も情報も私には全く足りていない。だが、ここは魔法や精霊が存在する世界だ。おまけにここは学園だ。玲子時代に比べれば、知識を学ぶことも情報を集める事もやりやすいであろう。


 私は自室の扉の前に辿り着き、ノックをしながら声を掛ける。


「エマ、帰ったわよ」


 すると、扉の向こう側から、エマ一人ではなく、別のもう一人の声も響く。


「お、お帰り下さいませ、レイチェル様」


「お帰り~」


 何故、エマ以外の誰かの声が聞こえるのかと思いながら、扉が開かれる。そこには困った顔をしたエマと、奥のソファーで寛ぐマルティナとそのメイドの姿があった。


「待っていたわよ、レイチェル」


 マルティナはにこにこしながらこちらを見ている。


「すみません…レイチェル様、お断りしようとしたのですが…」


 エマが申し訳なさそうな顔をしている。恐らく、マルティナと一緒に一泊したときにエマとマルティナは顔見知りになったので、断り切れなかったのであろう。


「大丈夫よ、後は私が相手をするから」


 私はエマを安心させる為、微笑んで返してから、マルティナに向き直る。


「マルティナ、どうしてここにいるの?」


「凄いものを手に入れたから、おすそ分けに来たのよ、レイチェル、貴方には色々お世話になっているし」


 感謝の気持ちは有難いが、人の部屋に勝手に押し入るのはどうだろうか。そんな事を思いながら、マルティナの相手をするために応接テーブルに向かうが、そのテーブルの上に信じられない物が目に入る。


「えっ? ちょっとまって、それ、綿菓子? それも縁日仕様の?」


 ビニールではなく紙袋の違いはあるが、お祭りの屋台で見かける綿菓子が置かれている。しかも、向こうの世界と同様に、袋には何かは分からないが、キャラクターの絵まで描かれている。


「えへへ、凄いでしょ」


「これ、どこで手に入れたの?」


 私はマルティナの前に腰を降ろし、綿菓子を手に取る。


「街で見かけた記憶があったから、メイドのシャンティーに買いに行ってもらったのよ」


「はい、お陰様で私は羞恥心に耐える訓練になりました」


  ドヤ顔で語るマルティナと、その後ろで無表情で語るシャンティーの姿があった。


「先生が転生者はこの帝都にもいくらでもいるって話は聞いていたけど、本当にそうなのね」


 私は袋から中の綿菓子を取り出し、一口分摘まむ。


「どうも他にも色々とあるみたいよ、また手に入れたらプレゼントしてあげるわ」


「また、私の羞恥心が試されるのですね」


 ご機嫌のマルティナと無表情のシャンティー。


「綿菓子を再現したいのは理解できるけど、どうして、表の袋にキャラクターのイラストまで再現したのか理解できないわ…」


「でも、そのイラストがここの人たちに受けているみたいよ」


 この綿菓子を作った人は、そちら系の人で、布教活動でもしているつもりなのか、この世界がオタク文化に汚染されていく…


「もしかして帝都にも秋葉原みたいな場所が出来ているのかしら…」


「レイチェル、それよりも、この綿菓子を食べながら、お茶でもしない?」


「いえ、申し出は有難いのだけど、夕食前よ?」


「あぁ、そうだったわね、じゃあ、綿菓子とお茶はまた今度にして夕食でも行きましょうか」


 私の部屋の中にいたのは驚いたが、彼女なりの友人と一緒に行動したいという気持ちの表れなのであろう。


 私とマルティナは揃って食堂へと向かう。


「私、ここの食堂で食事を摂るのは初めてなのよ」


「えっ? そうなの、マルティナも寄宿舎にいるのでしょ?」


 倒れていた間なら兎も角、食堂で食事をしないでどうやって食事をしてきたのであろう。


「ある程度の大貴族になると、自前にシェフに料理させるのよ」


「えっそうなの?」


「そうよ、それに寄宿舎の部屋の大きさも違うしね、私の所はほぼ一軒家よ」


「そうなんだ…寄宿舎といっても一軒家なのね…そう言えば、ジュン達の部屋は相部屋だったし、かなりのランク分けがあるようね」


 マルティナは一軒家、私は普通の貴族部屋、ジュンとニースは相部屋。他にも色んな部屋があるのだろうか。


「ところで、食堂の食事ってどうなの? 美味しい?」


「普通ね、これでも国全体としては帝都は味付けが濃くて美味しいそうだけど」


「どんなメニューが出るの?」


「基本はパンとスープね。苦学生もいるからそれらは無料、お代わりが出来るわ。他にも欲しいなら別料金ね」


 ここの国の人はスープにパンを浸して食べる人が多い。苦学生は特にそうだ。あと、食事を受け取るところは、食堂系の店のシステムとよく似ている。


「そうなの? お財布をシャンティーに預けたままだわ!」


「大丈夫よ、一々払っていられないから、本人確認をして、後で月ごとに請求がくるのよ」


「じゃあ、遠慮しなくても大丈夫ね」


 そうして、食堂に辿り着き、私とマルティナはトレイを手に取って、並べられた小皿の食事を欲しいものを載せていく。


「ちょっと、マルティナ、そんなに載せて大丈夫?」


「えっ?あっ、二人で分けようと思って」


 私が学んだこの国のテーブルマナーではその様な事は無作法とされていた。しかし、転生したばかりの彼女にとっては、ファーストフードやファミレスで友人同士で行う、普通の行為だ。私は、忘れていた玲子時代の事を思い出して懐かしくなってきた。


「そうね、わけっこしましょうか、なら私もこれを貰おうかな」


 私は久しぶりに、友人との食事を楽しんだ。玲子時代にこうして一緒に食事をしたあーちゃんは今頃どうしているだろうか…



連絡先 ツイッター にわとりぶらま @silky_ukokkei


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異世界転生100(セクレタさんが出てくる話)

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もご愛読頂ければ幸いです。

※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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