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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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悪霊令嬢 外伝 第001話 暇つぶしの女子会

挿絵(By みてみん)

本編終了後の外伝です

不定期に連載します

 あのエリックやDQN転生攻略対象者事件から、落ち着くだけの日にちが過ぎて、私たちは漸く日常を取り戻しつつあった。

 

 まぁ、夏休み中も色々とあったことや、コロンの身体がかなり縮んでしまっている事は残っているが、極めて平和な日々を過ごしている。

 だが、そんな平和な日々もあれほど刺激的な日々を過ごしていた私たちにとっては物足りなさを感じているのも事実である。まったく人間とは業の深い生き物だ。


 そんな私たちが退屈を紛らわせる為に、行っているのが、お茶会である。私を含め、あの事件に関わった、コロン、マルティナ、オードリー、ミーシャ、テレジアが集まって、退屈を紛らわせる話が無いかと集まっているのである。


「あ~ 退屈ねぇ~ 何か面白い話はないかしら~」


 そうしただらけ切って完全に素を出し切っているマルティナが、お茶請けのお菓子をポリポリと食べながら声を上げる。


「退屈と言っても、マルティナは先日ツアーが終わったばかりじゃないか、休める時はゆっくり休んで体力を戻した方がいいよ」


 オペル座で公演経験のあるオードリーが、マルティナのだらけた姿に微笑を浮かべながらそう告げる。


「体力的には、こうしてぐうたらしていれば戻りますけど、精神的な疲労は、何か刺激のある面白い話を聞かないと回復しないんですよ~」


 マルティナはそう答えてお茶をずずっと啜る。


「まぁ、次回の公演は帝都での魔法少女マリンクリンの公演になるから、ツアーの様に移動しない分、体力的には楽になるかしら」


 頭一つ分以上小さくなったコロンがそう述べる。


「えぇ~ 帝都での公演ですか~ 帝都でやると、その後、駄菓子の買出しの時に、勘の良い子供が私の事を気づきそうになるんですよね~」


「それぐらい…良いじゃないの…マルティナ…」


 私はマルティナの言葉に、胸の中にモヤモヤとしたものが湧き上がり、思わず口をひらいてしまう。


「私なんか…悪の女王レイディーだと気が付かれて…子供に泣き叫びながら逃げられたのよ… あんなに居たたまれない気持ちになったのは始めてよ…」


 私の言葉に皆は、御気の毒様といった感じで乾いた笑いをする。


「でも、グッズの販売はマルティナのマリンクリンに続いて2位の売上なのよね… なんでもいう事を聞かない子供にいう事を聞かせる為に、奥様方の間では評判なのよ… だから、次の公演では復活させようと思っているのよ」


 コロンがサラリと言ってくる。


「えっ! 私、また悪の女王レイディーをやるんですか!?」


「えぇ、奥様方から定期的にレイディーを出してもらって、グッズの効力を保って欲しいそうなのよ… これも帝都の子供たちの躾だと思って我慢してもらえるかしら? レイチェル…」


 コロンは私にナマハゲになれというのか… これもいやいやながら敵役を引き受けて、そのくせ、本気になって演じた私の業がなせる因果なのか…


「レイチェル…まぁ、これでも食べて機嫌直してよ」


 項垂れて悩む私の目の前に、マルティナはお茶請けのピンク色をした何かの輪切りのお菓子を差し出してくる。


 普段食べている洋菓子とは異なり、薄切りにして何かに付け込んだだけの代物に興味が惹かれて、一枚手に取って口元へ運ぶ。


 ポリポリポリ…


「あれ? これって…さくら大根じゃないの?」


 見た目から、もしかしては思っていたが、その甘酸っぱい味とポリポリとした食感に、これが現在社会で売られていた『さくら大根』と同等なものだと気が付く。


「でしょ!でしょ! 私もツアー先で見つけた時には驚いて、もう大人買いしてきたわよっ」


 先程までだらけていたマルティナは起き上がって、ドヤ顔で自慢してくる。


「しかし、海外旅行に出かけて日本料理店を見つけるぐらいの確率で、この異世界に日本の駄菓子を見つけるわね… そんなに日本からの転生者って多いのかしら…」


 ここまで日本人転生者が多いと実は、日本とこの異世界とを行き来する方法があるのではないかと思ってしまう。


 私はそんな事を考えながら、さくら大根一枚を食べきり、お茶を口元に運んで一口飲む。すると、今日のお茶はいつもの紅茶ではなく、さくら大根によく合う番茶に近い風味と味のお茶であった。


「お茶とお菓子と言えば、ミルクやバターを使って甘いものが当然と思ってましたが、こういうのも良いですね」


 そう言ってミーシャがポリポリとウサギの様にさくら大根を齧る。


「私は飲まないけど、お酒の肴にも良さそうね」


 テレジアはカイさんの事でも考えながらそう告げる。


「あーテレジア、よかったらカイさんの分にお土産として持って帰る? 大人買いしてきたから一杯あるわよ」


「えぇ、ホント? ではお言葉に甘えさせてもらうわ」


 テレジアは喜んで微笑む。


「じゃあ、そろそろ場が温まってきた事で、誰か面白い話を知らない?」


 そう言いながらマルティナが皆を見渡し、誰が口火を切るかで場が静まり返る。


「面白い話ではないけれど…」


 そう口火を切ったのはコロンであった。コロンは口にしていたティーカップを降ろすと、皆に向き直る。皆の視線がコロンに集まる。


「お父様からこっそり聞いた話なんだけど… あのカイレルが釈放されたみたいだわね…」


「えぇぇぇ!!! あのクソ眼鏡が!!!」


 コロンの言葉を聞いて、激高したマルティナが立ち上がる。


 コロンはまだ話の続きがあるのに、マルティナが激高して立ち上がるので、少し驚いて目を丸くしている。


「ちょっとっ、マルティナ落ち着きなさいよ!!」


 そんなコロンに気が付いて、私はマルティナの袖を引き席に座らせる。


「んっ んっ! ごめんなさいね、ちゃんと説明しなかったから、マルティナを混乱させたようね…」


 マルティナはコロンがあのクソ…いやカイレルを釈放したわけでもないのに、親の仇でも見るような目でコロンを見つめている。


「でね、カイレルがどうして釈放されたかと言うと… どうも、カイレルの魂が抜けた後に、別の転生者の魂がカイレルの身体に入ったそうなのよ…」


「えっ!? 別の転生者が!?」


 今度は私が驚いて立ち上がったのであった。



 


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