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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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最終回 天高く澄んだ青空

 謁見室の全ての者は、固唾を呑んで、皇后陛下の判決が下されることを見守っていた。


 皇后陛下は大きく息を吸い込んだ。


「学園での公序良俗に反する催し、また婚約者がいる立場でありながら、品位にかける数々」の行為、そして、帝国を揺るがす事件に際して、その危機に乗じて己が欲望を満たす為だけの、功績の略奪行為、どれ一つとっても許されざる愚行である!!」


 この言葉から、かなり重い判決が下されることが分かる。


「よって、事件に関わった、エリシオ・コール・ベルクード、カイレル・コール・カルナス、オリオス・コール・イアピース、そして、アレン・カウ・アシラロ!」


 アレン皇子も同列の処分が下る事に、皆のどよめきが起きる。


「以上の者は、学園の除籍処分、並びに貴族位の剥奪…そして、断頭台による処刑を申し渡す!!!」


 島流しや無期懲役などの命が助かる処分ではなく、命を奪う処刑… しかも、名誉の毒酒を煽る自死ではなく、断頭台による処刑…それにアレン皇子が含まれている事に、ただのどよめきどころではなく、大きな喧噪が巻き起こる。


「また、皆の規範となるべき、皇室の一人でありながら、自ら先頭に立って、不道徳と不品行な行為を行ったアレンに関しては、本来私的財産として継承するはずであった、領地や財産を全て没収し、その没収した財は全て国庫に編入して、被害者、関係者に対する賠償とするものにする!!」


 後列に平伏していた者たちが、落胆の声をあげ始める。アレが皇后陛下が仰っていた、アレン一派の者達であろう。


「また、他の貴族の規範となるべき公爵家のベルクード家、カルナス家、イアピース家には、エリシオ、カイレル、オリオスを愚行を許したにより、アレンと同額の罰金を帝国に支払うものとし、帝国より、被害者、関係者に対する賠償とするものとする!!」


 コロンたちの後ろのエリシオたちの親たちは、皇后陛下の処分に、力なく項垂れる。


「最後に、コロン、マルティナ、オードリー、ミーシャ、テレジア、そしてレイチェルの六名は、以上の件に全く責が無い事を帝国が保証し、尚且つ帝国の危機を救った事に対して、その栄誉を讃え、第一種瑞宝章を授与するものとする!!」


 皇后陛下のその言葉に、コロンたち本人やその両親から歓喜の声が巻きあがる。


「以上を持って、本審判を閉廷する!!」


 皇后陛下の声が謁見室に響き渡った。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「あぁ~やっぱり、審判は神経が疲れるわぁ~ 特に処断を下す審判は気が滅入るのね…」


 先程までの皇后然とした姿から打って変わり、あーちゃんはソファーに深く腰を降ろして愚痴を言い始める。


「あーちゃん、お疲れ様、威厳ある皇后さまの姿でカッコ良かったわよ」


 私はあーちゃんに労いの言葉を掛ける。


「ありがとう、玲ちゃん…それより、あんな物騒な場に立ち会わせてごめんなさいね…ちゃんとケジメを付けておかないと、示しが付かなくなるのよ…」


 あーちゃんは、処刑の事を言っているのだろう。だが、私はあーちゃんが昔とは異なり、帝国のトップの妻である皇后陛下としての職務と責務を果さねばならないことが理解できる。


「いいえ、気にしていないわ… 魂の抜けた身体を放っておいても、衰弱死するか、行き場のない浮遊霊の憑りつく先になるだけだから…」


 私は伏目勝ちに答える。


 そう…私は今までアイツの被害にあった人物の顛末を、ディーバ先生から聞き出している。やはり、気になるからだ。多くの場合は、生ける屍になり、自力での食事摂取が出来なくなり、衰弱死となる。誰かが、介護したと言っても、浮遊霊に身体を乗っ取られるだけだ… それならば、慈悲の介錯をした方が良いであろう。私はそう考えていた。


「ん~暗い話になっちゃったわね、それなら気分転換しましょうか」


 あーちゃんが声を上げて、身体を起こす。


「気分転換?」


「そうよ! 玲ちゃんも、早くみんなとお話したいでしょ? 私も玲ちゃんの新しい友達を紹介して欲しいから!」


 私はあーちゃんの言葉で、心の中の鬱陶しい霞が消し飛んでいき、笑みが零れる。


「ロロ! 準備は出来ている?」


 あーちゃんは、人狼の騎士に尋ねる。


「はい、陛下、皆さま、別室にてすでにお待ちですよ」


 ロロと呼ばれた人狼が笑顔で答える。


「じゃあ、行くわよ、玲ちゃん!」


 あーちゃんは私の手を取って歩き始める。


「あーちゃん!」


 私は急に手を引かれて戸惑いながら、声を上げる。


「玲ちゃんの友達は、私の友達、コロンちゃんの事は知っているけど、他の子の事は知らないから、紹介して欲しいのよ、中には転生者の子もいるんでしょ?」


「えぇ…いるわよ、マルティナが、前世ではハピネスで私たちの後ろの席に座っていた女の子なの」


「そうなの? なら、歳が近いから、話が合いそうねっ」


 あーちゃんはるんるん気分で私の手を引き続けて、皆のいる部屋の前まで辿り着く。


 そして、皆のいる部屋の扉が開かれる。


 その中に、小さくなったコロン、マルティナ、オードリー、テレジア、ミーシャの姿があった。そして、みんなは私の姿を見つけると顔を綻ばせて立ち上がる。


「レイチェル!!!」


 皆が一斉に私の名を呼んで駆けてくる。


「レイチェルさんっ! ありがとうございます! 姉弟揃って命を救ってもらってっ!」


 ミーシャが私に飛びつく。


「レイチェル! ありがとう!! あの時、レイチェルが私を捕まえてくれなければ、私は今頃、地面に叩きつけられていただろう…」


 オードリーも私を抱きしめた。


「レイチェル!! アイツらを殴り飛ばしてくれててありがとう!!! 私、胸がすっとしたわ!!」


 マルティナが背中から腕を回して私に乗っかってくる。


「レイチェルさん… 私、死ぬのが怖かったんです…漸く幸せを掴みかけたのに、お爺様を残して、死んでしまう事に…でも、レイチェルさんのお陰で幸せを掴み続ける事が出来ます!!」


 テレジアが私の手を握り締める。


「レイチェル!!!」


 私のお腹の辺りにコロンがしがみ付く。


「レイチェル…本当にありがとう…私はレイチェルに一度ならず、二度までも命を救ってもらえたわ… あの時、皆が助かれば自分の事なんてどうでもいいって思ってた…でも、こうしてみんなと再び会えたら、どうでも良くないって思えたわ!! レイチェル、本当にありがとう!!」


 ちっちゃなコロンが顔を私に擦り付ける。


「み、みんな…」


 私は皆の元気な姿を、元気な声を再確認して、胸の中に色々な思いが溢れて来て、涙が溢れる。


「あらあら、玲ちゃんってば、モテモテなのね、うふふっ」


 そんな私の姿を見て、あーちゃんが微笑む。


「あっ! こ、皇后陛下!!」


 コロンがあーちゃんの事に漸く気が付いて、慌てて、その小っちゃくなった身体で平伏する。


「へ、陛下! 申し訳ございません! 陛下の前で平伏もせずに取り乱しまして…」


 皆もあーちゃんの存在に気が付いて、コロンにならって平伏する。


「そんなに畏まらないで、それに謝るのは私の方よ、コロンちゃん…」


「は、はい?」


 あーちゃんの言葉にコロンが顔を上げると、あーちゃんはコロンの目線に合わせる為、しゃがみこんで、そして、優しくコロンを抱きしめた。


「ごめんね…コロンちゃん、私が頼んでしまった為に、アレンの事で、コロンちゃんには一杯迷惑を掛けて…そのせいで、コロンちゃんはこんな姿になってしまって…」


「アンナ様…私は別に気にしておりません…それよりも、私の方こそ、アレン皇子を救う事は出来ませんでした…本当に申し訳ございません…」


「謝らないで、コロンちゃん、貴方は悪くないわ! 悪いのはこんなに心を砕いてくれたコロンちゃんの気持ちが一つも分からなかったアレンよ、コロンちゃんは悪くないわ…」


 そして、あーちゃんはコロンの肩に手を当てながら、立ち上がり、他のみんなも見る。


「みんなも一緒で悪くないわ! みんなあのアレンが悪いのよ! そしてあのアレンをわがまま放題にしたアレン一派の連中がみんな悪いのよ!」


 その言葉にみんな、顔を上げてあーちゃんを見る。


「みんな、安心して、みんなの事は私が必ず守るわ!! だって…」


 そう言って、あーちゃんは私を見る。


「みんなは玲ちゃんのお友達で、そのお友達は私にとってもお友達なんだから…」


 みんなはその言葉に最初は驚いていたが、次第に笑みが零れ始める。


「だから、みんなは、何も心配せずに学園生活を謳歌して、だって青春時代は今しかないんだから!」


 コロンもマルティナも、オードリーもミーシャもテレジアも、そして私も、その言葉に大きく頷いた…





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 あーちゃんとの面会が終わった私たちは皇居の外に出ていた。外はまだ日が高く、空は青々としていた。


「漸く、全てにケリがついて終わったという感じね…」


 コロンがポツリと呟く。


「ん~終わったと言えば終わったけど…でも、漸く心置きなく生きていけるって感じかしら」


 マルティナがコロンの言葉に続ける。


「そうですよっ! それに、これから夏休みがはじまるんですよっ! 皆で楽しい計画をたてましょうよっ!」


 ミーシャが声を弾ませる。


「そうだね、面倒ごとが色々あったから、気分転換にどこか遊びに行きたい気分だね!」


 オードリーが腕を広げて、伸びをする。


「良いですわね、私は美味しい食べ物があるところに行きたいかしら」


 テレジアがうふふと微笑む。


「そうだ! 私のお父様が今日お祝いパーティーをするって言っていたわ! 皆もきてくれるかしら? もちろん、そのままお泊りしてもらって、一緒に夜通し、夏休みの計画をたてましょうよ!!」


 ちっちゃなコロンが、夏休みに期待を膨らませる小学生のように、飛び跳ねる。


「いいわね! みんな!早速、コロンの家に行きましょう!!」


 マルティナがそう言うと、みんなは皇居の入口の階段を駆け降りていく。


 私はそんなみんなの背中を追いながら、ふと足を止め、空を見上げる。



「神は天に在り 世は全て事もなし…」



 空は天高く青く澄んで、どこまでも広がっていた。




 お わ り




永らくのご愛読、誠にありがとうございました。

今後の活動や、その後のこの世界の事について、またその他の事など合わせて

あとがきの様なものを後日、投稿するつもりです。


出来れば、いいね、感想、評価などを頂けましたら、

後日譚、外伝等の執筆モチベーションになりますので、よろしくお願いします。


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