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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第384話 懐かしい親友

 部屋や廊下があり得ないぐらい豪華だと思っていたら、ここは皇族の住む皇居だったのか… 道理で豪華なはずだ…


 しかし、そんな皇居に何故、私が連れて来られたのであろうか… 心当たりが…無いことは無い、逆に大ありである。


 アレン皇子…コロンという婚約者がいながら、友好国であるプラム聖王国の王女システィーナを妊娠させて、廃嫡処分となったとは言え、アレン皇子は、皇族の一人である。


 そんな皇族のアレン皇子を、私が直接手を下した…いや、頬は確かに殴ったけど、とりあえず、直接手を下した訳ではないが、結果的に、私に憑りつくあの悪霊が、アレン皇子の魂を喰らいアレン皇子は廃人となった。


 だが、アレン皇子の中身はこの世界の魂ではなく、私と同じ世界から来た転生者であったが、そのあたりはどうなのであろうか…


「私はディーバ・コレ・レグリアスだ。目的の人物をお連れした」


 私が考え事をしていると、ディーバ先生が門番の騎士に言葉を掛ける。その言葉に騎士は、ディーバ先生の姿を見て、次に私の姿を凝視する。


「うむ、話は伺っている」


 騎士はそう答えると、扉の前に警戒を解いて、扉の向こう側に向き直る。


「ディーバ・コレ・レグリアス様とそのお連れの方が到着されました!!」


 扉の向こう側にも聞こえる大きな声で報告する。すると中から、扉越しにこもった声で返事が返ってくる。


「入室を許可する」


「承りました!!」


 中からの声に騎士が答えると、扉の向こう側から、扉が開かれていく。


 そのすこしつづ扉が開かれていくたびに、部屋の中からの明りが私たちを照らし出す。その眩しさに一瞬、目がくらんでしまうが、少しして目が慣れてくると、次第に中の部屋の様子が見え始める。


 巨大な奥行きをもった部屋であり、廊下以上に高い天井、その天井を支える幾つもの不徳て白い柱、その両側の柱ごとに完全武装した騎士が待機しており、奥へと続く床の上には豪華な赤い絨毯が敷かれている。そして、その赤い絨毯の伸びる先には、階段状になってその上に壇上があり、その上に高い背もたれの玉座とそこに腰を降ろす人物、そして、その両側にその部下と思われる人物がいる事が見えた。


 私は、その玉座に座る人物を見続けては行けないと想い、視線を落として、赤い絨毯を見ながらディーバ先生の後に続いていく。


 ディーバ先生は、それ程恐縮した様子が無く、ゆっくりと上品な足運びで赤い絨毯の上を歩いて部屋の奥へと進んでいく。私のその後に続いていくが、部屋の両端に一定間隔で立つ、騎士の刺さるような視線に威圧を感じ、肝が冷え上がっていく。しかし、皇族の目の前で無様な姿を見せる事は出来ない。


 だから、私は別な事を考えて気を紛らわせようと考えた。


 そもそも、私が皇族に呼ばれた理由だ。それはアレン皇子の事があって…あぁ、もしかしたら、その事で、私は処刑されるかも知れないのか…でも、こんな事で皆を頼って悪いが、皆が嘆願でもしてくれれば、一生牢獄ぐらいで済むかもしれない… きっと、ディーバ先生やコロンやマルティナたちは、時々面会にきてくれると思う…


 そんな事を考えていると、前を進むディーバ先生の足が止まり、そこで恭しく片膝をついて頭を下げる。私もそのディーバ先生の所作にならって、膝をつき更に頭を下げる。


「ディーバ・コレ・レグリアス…御前にレイチェル・ラル・ステーブを連れてまいりました」


 ディーバ先生が御前に向かって声を上げる。


「ご苦労、今から渡す物を左手の小指に付けなさい」


 玉座からでなく、その隣から声が響き、誰かがディーバ先生に何かを渡す。そして、次に私の所にくるのであるが、その足を見ると、人間の足ではなく、鳥人の足であった。


「はい、レイチェルちゃん」


 その声に私は頭を上げる。そこには私の家庭教師をしてくれたセクレタさんの姿があった。私はセクレタさんの姿に思わず、口を開こうとしてしまうが、その前にセクレタさんがくちばしの前に羽を立て、静かにするようにとポーズをとる。


 そして、セクレタさんは私の前に、指輪が乗った黒盆を差し出す。私はその指輪を受け取り、指示通りに左手の小指に付ける。


『二人とも面を上げなさい』


 頭の中に直接言葉が響く。恐らくこれが指輪の効果なのだろう、私は、恐縮してカチコチになりながら、ゆっくりと頭を上げる。


 すると、次第に壇上の様子が見えてくる。中央に玉座があり、その左右に、銀髪で犬耳をつけた獣人の近衛騎士の女性がいて、玉座のすぐ隣にはセクレタさんの姿もある。


 そして、肝心の玉座に座る人物は、式典用の豪華な衣装を纏った、30台ぐらいの女性で、その胸元には、皇室の紋章が入ったサッシュを掛けている。


 もしかして、この御方は…皇后陛下?


 その皇后陛下は、宝石を散りばめたかの様にキラキラと輝く金髪を後ろに流してまとめて、非常に美しく整った顔立ちをしており、優しく慈愛に満ちた碧眼で私を見つめている。


 そして、皇后陛下は少し躊躇いがちにその口を開く。


 『れい…ちゃん…だよね…』


 直接、頭に響くその言葉に、私は聞き間違いではないかと困惑して、上ずって疑問形の様な口調で答えてしまう。皇后陛下が私をちゃん付けで呼ぶなんてありえない。


 『は、はい?』


 すると、皇后陛下はクスリと笑う。


 『うふふ、ごめんなさい、こっちの名前はレイチェルで紛らわしかったわよね…だったら、こう呼んだ方がいいかな?』


 私は訳が分からず、陛下を見つめ、陛下も優しい瞳で私を見る。


 『玲子ちゃん…』


 私はその言葉に、心臓が止まりそうになるぐらいの衝撃を受ける。何故、皇后陛下が私の前世の名前である玲子の名を知っているのだ!?


 私は訳が分からず、困惑して、言葉に詰まり、ただ目を見開いて陛下を見つめていると、陛下は少し困った様に眉を顰めて首を傾げる。


 『もしかして、玲ちゃんは私の事を分かんないのかな? あの日、ファミレスのハピネスで待ち合わせて、一緒に山盛りポテトを食べたしょ? それで乙女ゲームの話をしていたでしょ?…』


 『えっ… 東丹町のハピネスで、山盛りポテトに…乙女ゲームって…まさか!?』


 陛下の言葉で、あの日の事が遠くに感じていたあの日の事が鮮明に思い出されてくる。あの日、私の親友を最後に過ごした時間の事を…


 『私、私だよ、玲ちゃん…玲ちゃんがあーちゃんって呼んでくれた杏奈だよっ!』


 『あーちゃん!!』


 私は陛下…いや、あーちゃんの言葉に思わず立ち上がり、あーちゃんも玉座から立ち上がる。その光景に玉座の近衛騎士が剣に手を掛けて、前に進み出ようとしたが、セクレタさんが手で制止する。


 『玲ちゃん!!! 漸く会えた!!!』


 あーちゃんはそう言うと私に向かって駆け出してきて、私を抱きしめる。


 『あーちゃん!!!』


 私は二度と会えないと思っていた友人に再び会う事が出来て、感極まって、涙を流しながら、あーちゃんを抱き返す。


 『玲ちゃん!! 私、あの日、突然に一人でこの世界に飛ばされちゃって、凄く凄く、寂しかったの!!』


 私を抱きしめるあーちゃんも涙を流していた。


 『寂しくて寂しくて…ずっと玲ちゃんをさがしていたんだよっ!!』


 『ご、ごめんね…あーちゃん! 私、あーちゃんがこっちの世界に来ていると思わなくて…前の世界で無事だったと思っていたの… ごめんね…あーちゃん!!』


 『ううん、いいの…今、こうして会う事が出来たから… それより、私を見て…』


 そう言って、あーちゃんは私から身体を離して、自分の姿を見せる。


 『私ね…向こうの世界では、一度も成就することが出来なかった恋愛を成就することができたんだよ!!』


 前世では振られてばかりいて、どこか影のある表情をしていたあーちゃんが、今では、満たされて満足した笑顔を見せていた。


 『おめでとう!! あーちゃん! あーちゃんが一杯、一杯!幸せそうで私もうれしいわ!!』


 私は素直な気持ちで、親友の恋愛成就を祝ってあげた。すると、あーちゃんは更に大粒の涙をポロポロを零し始める。


 『私…私…ずっと、その言葉を玲ちゃんに言って欲しかったの…おめでとうって… 私、その言葉を聞いて漸くゴールに辿り着いたと思えるの…』


 あーちゃんは私のお祝いの言葉で感極まったのか、顔に手を当てて、肩を震わせる。


 『あーちゃん…』


 私は、そんなあーちゃんを再び抱きしめる。そして、私もあーちゃんの感極まる姿を見て、私も大粒の涙が零れ始める。


 『玲ちゃん…』


 『あーちゃん…』


 私たちは互いに再会の感動に、共に抱き合い、二人で大粒の涙を流して、泣き続けた。


 


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