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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第251話 ジュノー家の伝統と伝承

 マルティナと話して見て、マルティナが母親のマリアナさんに対して確執を持っていない事が分かった。これなら、昨日、話損ねた事を話しても大丈夫だと思う。


「それで、マルティナ、昨日、話損ねた事なんだけどね」


「あぁ、夕食後、皆がきて途中になっていた話ね」


 マルティナはちゃんと覚えていてくれたようだ。


「私の見立てでは、お父さんをそのまま説得するのは難しそうだから、先ずはお母さんのマリアナさんから説得してみたらどうなの?」


「お母様かぁ~」


 マルティナはそう言うと、また、背もたれに身体を預けてぐったりとし始める。


「なに? お母さんも説得しづらいの?」


「いや、それもあるんだけど、でもうちの家は結局、お父様の発言が強いから…」


「だから、お母さんにも説得を手伝ってもらうんだって」


 マルティナは、いやいやだってモードに入っている。幼いころの習慣で両親に逆らいにくいのであろうか、もしくは、別の意味で親離れというか、独立心が低いというのであろうか、私たちはもう15歳なので、親の意見だけではなく、自らの意見もちゃんと言うべきであると思うのだが…


 そこ辺りを含めてマルティナ自身も説得しないといけないのだが、今のマルティナはいやいやだってモードに入っているので、今、説得するのは難しそうだ。ここは気分転換でも行うべきか?


「マルティナ、気分転換する為に、ちょっと散歩しない? 私自身もまだこの家の事を案内してもらってないし」


「そ、そうね… 私も気が高ぶっちゃっているから、少し落ち着いた方が良さそうね…」


 うーん、追放されたくないけど、両親に婚約破棄の事は話したくないって、自分でも焦ってはいるようである。


 

 そんな訳で、私たちは部屋を出て、庭園に来ていた。こうして改めてマルティナの家の庭園を見ると、その凄さに改めて驚く。


 帝都のコロン様のロラード家や、オードリーのトゥール家などのタウンハウスにも庭園はあったが、いくら二人が大貴族の侯爵家と言えども、帝都内の限られた土地を使っての庭園である。しかし、ここの庭園はジュノー家の領地の邸宅で、自分の領地なので好きなだけ屋敷の敷地を広げる事ができるので、凄まじい広さの庭園である。


「昨日は、見る暇なく、マルティナの弟や妹たちが現れたけど、改めてみると凄い大きさね」


 私は庭園を眺めながら感心して口を開く。


「でしょ? あっちの区画は、私も小さい時は迷って大変だったのよ、見つけてもらうのに相当時間が掛かって、もう一人で死んじゃうんじゃないかと思ったわ」


 マルティナは生垣で迷路を作った区画に視線を向ける。昨日、二時間も待たされた別館のすぐ近くにある生垣で作った迷路の区画であるが、ここから見渡してみると、学校のグラウンド以上の広さがあるようで、迷路の端の方は低い生垣で作られているが、中心部に向かう程高い生垣になり、ここから見ても迷路の全貌は分からないようになっている。 


「あれ? でも、昨日、マルティナの弟や妹さんたちはあそこにいたわよね?」


「あぁ、それはね、私たちの伝統になっているからよ」


「伝統?」


 私はマルティナに向き直る。


「そうそう、伝統。私から始まって、兄弟全員、一度はそこで迷子になるのよ。で、上の兄弟は自分が迷った事があるから、上の者が迷っている所に捜しに行くのよ。そうして、上から順番に迷路に迷っては助け出してもらってを繰り返していくのよ」


「つまり、兄弟上から順番に、そこの庭園で迷子になって、上の兄弟に探してもらうのが伝統になっていると…」


「そう、それで、大体の迷路の構造や、抜け道を覚えるのよ」


 マルティナは通過儀礼のアトラクションの様に話す。


「しかし、小さい子供がよく迷子になるような庭園を、そのままにしておくわね… 普通は解体されそうなものだけど」


「いや、それが、この伝統は私の代で始まったことではなくて、ずっと前の代から続いているそうなのよ… お母さまの話では、お父様とお母様が小さい時に一緒に迷ったそうよ。それで、迷って心細いお母様の手を、お父様がずっと握りしめてくれていたから、この人と結婚しようと思ったそうよ」


「なるほど、ご両親の馴れ初めの場所でもあるのね、それは解体出来ないわね…」


「レイチェル、一度入って見る?」


 マルティナがニヤニヤしながら私を見てくる。


「ちょっと、私を迷路の途中で置いて行くつもりじゃないでしょうね…」


 私はニヤつくマルティナに警戒する。


「えっ? そんなことしないわよ、なんでそんなふうに思うのよ」


 マルティナはニヤついていた顔をキョトンとする。


「だって、貴方、ニヤついていたから…」


「あぁ、意地悪しようと思ってニヤついていたのではなく、良い事を思いついたからよ」


「良い事って?」


 生垣の迷路に入る事に何が良い事があるのだろうか?


「この生垣の迷路には伝承があってね、誰も辿り着けない中心部には祠があると言われているのよ。その祠はうちのジュノー家の伝承にまつわるものなのよ」


「貴方の家の庭園には伝統やら伝承やら色々とあるのね…」


 伝承と言われても、私にははっと来ないので、驚きもせず素で答える。


「あ~ 今、ちょっと馬鹿にしたでしょ…」


 素で応えた私に、マルティナは私が真に受けていないと思って、頬を膨らませる。


「いや、馬鹿にするも何も、私はその伝承の内容を知らないのだから、馬鹿にしようがないわよ。ただ、マルティナの望むリアクションが取れなかっただけよ」


 私がそう言うと、マルティナは納得したのか頬を元に戻していく。


「分かったわ、迷路に入りながら、この生垣の迷路の伝承を教えてあげるわ」


 マルティナはそう言うと、私の手を引き、生垣の迷路の中へと入っていった。




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