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第八話 おっぱいには夢が詰まっている

「がっはっは!……さぁて、と。それじゃアタシもほのかも世話になったけど、そろそろアタシらは破魔町へ帰らせてもらうことにするよっ」


 胸が見違える程に大きくなり、舞い上がる程に喜ぶほのかの襟首を片手でひょいと掴み上げるのは、赤い魔女さちよさん。

 だが、その言葉に首を傾げるミッキュ。


「……はっ?いやいやさちよっ!帰るっていっても一体どうやって元の世界に戻るんだっキュ?」

「ほのかがアタシを『にほん』って場所に呼び出した時と同じ魔法を使うんじゃないのかい?」

 

 こう見えてもアズリアは一度、ほのかが無理くりに発動させた召喚魔法で時空を越え、地球は日本の破魔町に訪れたことがあるのだ。

 あの時は、召喚魔法そのものに制限時間があったからなのか、ほのかに肝心な事を伝え終える前に帰還してしまうことになったが。


「いやいやアズリアっ、アレはおっぱい欲に塗れたほのかの大失敗だったんだキュ」

「……ミッキュ、うっさい」


 さちよさんに襟首を掴まれていたほのかは、少しばかり不機嫌となり柔らかそうなミッキュの身体が破裂する勢いで握り潰すが。

 ぶるんぶるんと胸が揺れるたびに顔をニヘラ〜とだらしなく緩ませてしまう。


 その襟首を掴んでいたさちよ当人が、二度ほど深く呼吸をして拳を握り込んでいくと。


「なぁに、簡単なことさ。時空の壁なんてモノはねえ……こうやって、魔力を込めた拳で殴りつけりゃあね────がっはっはああっ!」


 いつもの豪快な笑い声と共に、何もない空間に魔力を込めた拳を放つ。

 だが、さちよの拳が纏っていたのはただの魔力ではなく、あまりに濃密な魔力は(あか)く可視化され。

 アズリアやその背後にいたユメリア、エルやユーノといったある程度の実力を持った人間だけでなく、若干12歳のシェーラですら、その魔力の大きさが理解出来てしまう程だったのだ。


 何もない空間を殴りつけた筈であったのに。

 そこにはピシリ……と亀裂が走り。


「お、おいおい……嘘だろ、何にもない場所に拳一つで召喚陣(ゲート・サークル)が出来上がるなんて……いや、さすがはさちよと言うべきなのかねぇ」


 アズリアの感嘆の声と同時に、亀裂が剥がれ落ちた後に空間に映り込んだ景色は、ほのかたちが住んでいた日本は破魔町の景色だった。


「……ほ、ホントに繋がっちゃった」

「……ッキュ、信じられないっキュ」

「でもでも、てことは私たち……っ」

「喜ぶっキュほのか!破魔町に帰れるっキュううう────っキュぅぅぅっっ……」


 さちよの一撃で開いた破魔町との時空の扉(ディメンションゲート)へ、無造作に襟首を掴んでいたほのかとミッキュを放り込んでいく。


「それじゃまたなアズリアっ!あんたがもう少し強くなったら今度はアタシも本気を出せそうだからなっ、がっはっはっは!────」


 ────がっはっはっはっ……


 豪快な笑い声の残響を置き土産に、最後にさちよが自ら開いた時空の扉(ディメンションゲート)を潜り、破魔町へ戻っていくと。

 空間に出来た扉が急速に閉じていき、やがて何もなかったかのように何もない空間へと戻っていく。

 

 そんな騒がしすぎた、異世界からの来訪者を見送っていたアズリアだったが。

 ふと、背中にぶるっ……と感じた背筋が凍るようか四つの尋常ならざる殺気に思わず振り返ると。

 

「……何なんですかアズリアお姉様っあの素敵な魔法はっ!」

「お願いしますアズリア様っ!あの魔法を是非とも私にも使っていただけませんかっ!」


 と、掴み掛かってくる勢いでアズリアに顔を近寄せてきたのはランドルの一人娘シェーラと(ギザ)の部族長ハティの妹ユメリアだった。

 二人はほのかに魔術文(ルーン)字を描いた彼女の指を握って自分の胸へと押し付けていく。


 少しは落ち着いて欲しい、とアズリアは願った。


 一方で二人に混じらず、後ろで待機している修道女(シスター)エルと魔王配下の四天将の少女ユーノ、まさか二人はそんな些細な事に心を惑わされることないと信じていたが。


「ねえ、アズリアお姉ちゃん……ボクも、ほのかみたいにおっぱい、おっきくなれるかなあ?」

「……あたしは別に三人の後でいいけどっ、ちゃんと胸を大きくしてくれないと……許さないんだからねっ!」


 完全に、ほのかに使った「lagu(ラーグ)」の魔術文(ルーン)字の効果に心を奪われていた。

 そんな四人へ、アズリアは自分が旅して感じていた大きな胸が如何に邪魔であるかを説いていったのだが。


 ……いや、実際。

 胸が大きいことで得をした記憶がアズリアには全然、これっぽっちもなかったのだ。

 購入する胸甲鎧(ブレストプレート)は既製モノでは合わずに特注代金を請求されるハメになったり、傭兵連中の集まりや酒場の男たちからは欲情の視線を浴びることになるわ。

 とにかく良い記憶がなかったのだから、と。


 だが、説明を受けた四人の反応はアズリアの想像とは違ったのだ。

 

「……はぁ、これが持つ者の余裕と言うべきでしょうか……その無頓着なところがアズリア様の長所なのでしょうが」

「うんうん、お姉ちゃんがわるいっ」

「……さすがに今回ばかりはあたしも庇えないわよ、アズリア」

「え?ええッ?……だからさあ、アタシは何度も繰り返すようだけど、胸が大きくなってもイイことなんて全然な────」

「だったら!ほのかさんみたいに私にもあの胸が大きくする魔法を掛けて下さいよアズリアお姉様っ!」

「なんでそうなるんだよおオオオオオオオオオオ!」

 

 アズリアは天に向かって世の理不尽を叫んだ。


 ────後に。

 アズリアの現在の能力では二重発動(デュアルルーン)までしか扱えず、よって一度に二人までが胸を大きくする魔術文(ルーン)字を維持出来るという事実を知り。

 四人は血も涙もない非情な闘争に明け暮れることとなるのだが、それはまた別の話となる。


 最後に、アズリアは思った。 

 破魔町に戻っても、アズリアから記憶(メモリー)した魔術文(ルーン)字は扱えるのか、それはアズリアには知る(よし)もなかったからだが。

 

「せめて……ほのかだけは幸福(しあわせ)でいて欲しい」


 と。

 

【第一部 完】

 これにてとりあえず、魔法少女ほのかとのコラボ作品は幕を閉じさせていただきます。  


 いや、本当に楽しかった!

 特にうちの主人公アズリアとさちよさんとの戦闘シーンはあと10話は書き続けたかったくらい楽しかったですね。

 「(ダブル)」の設定大好き。


 この場を借りて。

 ぺったん魔法少女ほのかや下衆コットのミッキュ、最強の赤髪魔女さちよさんなどの魅力的な設定とキャラクターを、嫌な顔せず貸していただいた作者のお花畑ラブ子さんに感謝の言葉を。

 誠にありがとうございます。

 出来たらさきやカレンお嬢様も出してあげたかったの(笑)



 

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