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第二話 ミッキュよ永遠なれ

 気がつくと、わたしは先程までいた草原ではなく、どこかの建物の内部でベットへと寝かされていた。

 

「こ……ここは、何処……ってうわあっ?」

「心配したっキュよほのかっ?もう3日も目を覚まさなかったから、ミキュはてっきりほのかがアズリアに殺されたかと思って────むぎゅぅぅぅ……」


 目が覚めたわたしの顔面にベタァと張り付いてきて、3日も寝ていたと聞いて驚いていたが。

 そんなミッキュをわたしから引き剥がしていったのは、やっぱりアズリアお姉さまだった。


「……嘘付くんじゃないよ、このキュっキュうるさい謎の生物ッ」

「アズリアお姉さま……あれ?その格好って……」

「ん?ああ、鎧外してるだけだよ。アタシだって年がら年中鎧着けて歩いてるわけじゃあないんだよ?」


 アズリアお姉さまは、わたしが召喚して呼び出された時や、先程草むらで再会した時のような黒光りする立派な鎧を纏っておらず。 

 胸にはサラシのような布地一枚に、腰には丈の短いパレオを巻いている、ボディラインを強調した服装をしていた。


「────って、おい……ほのか、何やってんだい」

「はっ?き、気がついたらお姉さまの胸に吸い込まれるようにっ?……こ、これが大きな胸のま、魔力っっ?」


 気がついた時にはわたしはベットから上半身を起こして、アズリアお姉さまの揺れるスイカに顔を埋めていた。

 いや、それだけでなく。

 手のひらに収まりきらない程のボリュームと弾力のある感触を、いつの間に堪能していたのだった。


 恐るべし、スイカの魔力!


「……ほのかも相当なゲスだっキュ」


 そんなわたしを呆れた声で批難するミッキュだが、そんなの仕方ないじゃない。


 認めたくない。

 認めたくはないが……わたしの胸は同世代の平均的な胸囲(バスト)と比べると、多少だよ?……本当に多少ではあるが、ち、小さいらしいのだ。

 

 だからこそ、より優れた能力(おっぱい)を持つ者に惹かれてしまうのは魔法少女のサガとも言える。


「……その魔法少女のサガとやらでこんな世界に飛ばされたのをほのかは理解してるッキュ?」


 ミッキュうるさい。

 あれはさちよさんが悪い。


 アズリアお姉さまが、さちよさん同様にわたしが胸を揉んでみても振り払ったりしないのをいいことに、鷲掴みにしていた胸の弾力と柔らかさを堪能していると。


 部屋のドアが激しく開く音と一緒に。

 部屋へとなだれ込んできた四人の人影。


「お姉ちゃんから……は・な・れ・ろおおおっ」


 頭から猫耳を生やした同い歳ほどの女の子に、無理やりアズリアお姉さまから離されると。


「アズリア様から離れなさいっこの不届き者!」


 黒髪の如何にも大和撫子と呼んでもよさそうな歳上の女性が、わたしとアズリアお姉さまの間に立ち塞がり。


「アズリアお姉様から離れてっ!ズルいです!」

「アズリアから離れなさいよっ……このっ!」


 その女の人の背後には、わたしより歳下のお嬢様風のお人形のような女の子と、シスター姿のこれまた歳下の女の子がアズリアお姉さまへと抱きついていた。

 四人全員に共通していたのは、わたしを親の仇でも見るような鋭い眼差しで睨みつけていたということだ。 


「え?えええっ?……な、何なのこの状況?」

「ほのか……どうやらこの小娘どもはアズリアを『姉』と慕ってる連中みたいだキュ……それにしても……」


 ミッキュがアズリアお姉さまの前に立ち塞がる四人の女の子(約一名は女の人だが)を観察して、何かがわかったようで。

 それをこっそりと小声で教えてくれた。


「……全員、ほのかと同じくらい貧しい胸をしてるっキュ」


 ここでミッキュは致命的なミスを犯す。

 ミッキュは小声で話したつもりなのだろうが。

 女は、自分の悪口には非常に敏感なのだ。


「……な、なんだッキュ?……急にミキュの周りの空気が5度くらい下がったキュ?」

「ミ〜ッキ〜ュ〜?今、な〜んて言ったのかな〜ぁ〜私の耳が確かなら〜『貧乳』って聞こえたんだけどな〜あ?」

「キュ……キュキュゥゥゥゥゥゥ⁉︎……ち、違うんだっキュ、こ、これは口がつい滑ってというか、本音がポロリと漏れちゃったんだっキュ……テヘペロ」


 今や、わたしを含めた五人の10の視線は、ミッキュに注がれていた。

 その視線に気づいたミッキュは、何とかわたしの怒りだけでも収めようと苦しい弁解を繰り返すが、その弁解が逆に火に油を注いだ結果。


 全員が阿修羅の如き表情を浮かべ。

 ミッキュを取り囲んだ、次の瞬間。

 

「今度こそたぬき鍋にしてやらああ!くたばれゲスコット!────記憶(メモリー)解放(リベリオン)……爆破(デトネイト)オオオオオオ!」


 怒りのあまり、杖に蓄積(チャージ)しておいた魔力を全部解放して、ミッキュを上空高くへと打ち上げていく。

 いや、ミッキュが空高く消えていったのはわたしの魔法だけの威力ではなく。


「────凍結の風(アイスストーム)っ!」

銀の右腕(アガートラーム)からの右拳っ!」

「────聖光閃(ジリオス)っ!」

鉄拳戦態(モード・アイゼルイェーガ)っ、ふっとべえええ!」


 同時に他の四人も、わたしと遜色無い威力の技を繰り出し、あわれミッキュは真昼の空の星へと姿を変えたのだった。


 ────さらばミッキュ。

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