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斑蜘蛛  作者: 霜月 己巳
ある蜘蛛の独白
1/1


皆様の知るところの静岡県、伊豆半島の中央あたり、天城山に抱かれた浄蓮の滝という滝がございます。


人の分け入らぬものですから、それは立派な木々の生い茂る、妖やら何やら多く棲む妖しくも美しい千古の森。

そこが妾の縄張りですの。


何故、こんなお話を、ですか?


うふふ、


妾の自慢を聞いて欲しくて、ごめん遊ばせ。

妾が大切な宝物を手に入れたときのこと。


まあ、

話し半分に、聞いてやって下さいませ。

 

先ずは人の言い伝えをお話ししましょう。


昔々。あるところに、それは美しい滝のある山がございました。

ある日、その山で仕事をしていた樵の男は滝の近くの岩で休憩しておりました。

男は幾本もの糸が己の男の足に絡み付いていることに気付きました。


不審に思った男はその糸を手近な切り株に結びつけ、身を隠しました。


すると切り株は凄まじい力で滝に引き寄せられていきます。

土の中に残っていた根は引きちぎれ、遂に切り株は滝の中へ沈み込んでしまったのです。


それを見た男は恐怖のあまり里へ逃げ帰りました。

糸に気付かなければ、滝に沈んでいたのは自分だったのですから。

そのあと、滝の中で自身がどうなるかなど、想像せずとも恐ろしさに気が狂れそうです。


以来、里の人々は滝壺に棲むという絡新婦を恐れてその滝に近づかなくなりました。


めでたし。めでたし。



では本題ですわ。

皆様もうお気付きかと思いますが、妾がその絡新婦と呼ばれた妖ですの。


あらあらまあまあ、怖がらないで?

あのお話は確かに怖い妖として書かれていますが、他の゛えんでぃんぐ゛もありますの。



妖と樵が恋に落ちる。


そんな、素敵なお話。


  

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