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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
5/42

5話

繁忙期で更新が大幅に遅れてしまいました。今後とも頑張りますので、応援お願いします。



サクラに連れられて、他の子供たちもいるという部屋に案内してもらうことになった。

サクラはここで教育係をしており、子供たちのメンタルケアから健康管理まで全て任されているらしい。

部屋を出て通路を進んだ先の階段を下りた途端、周りの雰囲気が変わった。

サキが最初に居た階層は雑な構造で舗装等されていなかったが、この階はコンクリートで舗装され完全に居住空間になっていた。

しかしいくつか気になる点もあった。

それは明らかに空間のある場所には扉がなく、変わりに小屋の中にもあったような仕掛けがいくつもあったからだ。

やはりただの居住空間じゃないか……。

普段は見えないようにしているようだが他の教徒達にはわかる仕掛けなのだろう。サキはその場所を一応頭の中に記憶しておくことにした。

するとサクラは大きな扉の前で足を止めた。

「おっきい扉だね!」

素朴な疑問のつもりだった。しかしサクラから漂う雰囲気は異質だった。

「そう、ここにはね私達の神様がいらっしゃるの」

「かみさま?」

サクラは尊い眼差しで扉を見る。いや、正しくは扉の向こうの何かを見ていた。

この部屋には何かある……サキにもこの先に何があるのかは分からないが、自分でも検討のつかない雰囲気に一層警戒心を高めた。

そして大きな扉をあとにすると先ほどとは一変して騒がしい空間に出た。

そこにはたくさんの女子供がいた。

多分サキと同じように無理矢理連れてこられたのだろう。しかし表情や行動からすると既に調教済みといった感じで、目は完全に狂信者のそれであった。

俺もこんなふうに調教するってことかな?とりあえずしばらくここで情報収集だね。

「さあみんな~新しい家族のゆうきくんよ。ごあいさつは?」

「「ゆうきくん!これからよろしくねー!」」

そこにいた10人ほどの子供たちは皆息を揃えてサキに挨拶をする。

しかし子供たちの目はサキを全く意識しておらず、サクラの方を意識していた。

「よ、よろしくね」

「ゆうきくんって恥ずかしがり屋さんなんだねー!」

「サクラ先生と一緒に遊ぼうよ!」

子供たちはサキに積極的に話しかけてくる。

その中でもひとりの女の子はしつこく遊ぼうと誘ってきた。

「僕さっき起きたばかりだからあんまり……」

やんわり断りここの情報を探ろうとしたのだが女の子は引いてくれなかった。

「えー!どうして?サクラ先生と遊ぶのすっごく楽しいんだよ?それに気持ちよくなれる遊びなのにどうして断るのー?」

その言葉にサキは違和感を覚えた。

子供たちにはそれぞれネームプレートが付けてあり、その女の子の名前は”ちよ”と書かれていた。

名前の横には5と書いてある。

数字……こんな場所にいるくらいだからなにかの管理番号、もしくは薬の効き具合?まだ情報が足りない……。

サキが考えていると不意に手を掴まれた。

サキの手を引いて廊下に向かおうとするのはもちろんちよだ。

ちよはどうしてもサキと遊びたいらしく、サクラもせっかくだし遊びましょうといったため断れなくなったサキは渋々別の部屋へ向かうことにした。

ちよはサクラと共にサキを別の部屋へ案内すると部屋に入る前に更に違和感を覚えた。

というのも空間は扉越しでもなんとなく声や音の反響でどの程度の広さなのか、どのような構造なのか大体わかるのだ。

もちろんサキは訓練されているからだが、普通であればわかるはずもない。

部屋は完全に閉鎖空間だった。

二人に続いて部屋に入っていくと部屋に入るためには今通った扉のみで、他には窓も何もないただの部屋。

どうみても子どもが遊ぶ環境ではなかったが、ちよははしゃいで部屋の中へ入っていくと部屋に用意してあったイスに座った。

同じようにサキも隣のイスに座るが子供の遊びにしては異質である。

サクラは初めにちよの前に座った。

部屋の中、真ん中に3つのイス。二人の子供と一人の大人……。どこからどうみてもおかしいが誰も何も言わない。

そもそも何も感じないように教育されていたのだ。

そんな沈黙を割ったのはちよだった。

「せんせー!はやくいつもの遊びやってよ~」

「わかったわ。でも今日はゆうきくんが居るから一緒に遊び方も説明しながらでいいかしら?」

「うん!ゆうきくんにも教えてあげるね!」

満面の笑みでちよはサキを見つめてくる。

しかしその笑顔は本心からではない。ここへの移動中にも沢山の人間に微笑まれたが、それら全て本心からではなかった。

「じゃあ今から私が言う言葉を真似して言ってくれる?」

サクラはなぜかメガネを付け始めサキとちよにそう指示してきた。

サキは言われたとおりにサクラへと目線を動かすと気がついた。

サクラがつけたメガネの横にあるスピーカーのようなほんの2ミリ程度の大きさの突起である。

普通の人間、ましてや子供には気にもとめないようなものに気がついたのである。

どう考えてもこれで催眠をかけて何かしらを吹き込んでるとしか思えないよね。

それなら……。

サキには催眠術や薬の類は効かないのだが、今回はあえて引っかかったふりをすることにした。

するとサクラが話し始めた。

「私達は尊い命」

それに倣ってちよも復唱し始めたのでサキもそれに合わせる。

「「私達は尊い命」」

その瞬間頭に変な周波数が流れ込んできた。

サキはこの周波数を知っていた。それは施設にいた頃催眠術や脳の操作をされないために何度も流された周波数。

それは人間の脳を麻痺させ、一種の麻薬状態に似た状態にする催眠周波だった。

サクラのセリフを復唱していくにつれてどんどんちよの目から生気が消えてゆき、ついに完全な催眠状態へ陥った。

それにはかってサキも同じように催眠状態に入る。



「ふぅ。何度もあんなセリフ言わないといけないのは恥ずかしいけど上出来ね」

二人が催眠状態になるとサクラは手元にある注射器をちよとサキに射した。

意識がない状態では気づかないが、それは教団の作った自我を薄れさせる薬だった。

自我が薄ければ催眠状態がとけても数を重ねて教育していくことで、本当の自分がわからなくなっていく。

教団こそが絶対であり、自分たちは家族。そしてジーアスが絶対の神であることを記憶に植え付けているようだった。

サクラがジーアスのことをサキたち吹き込むときサクラもまた麻薬にかかったような状態に陥っていた。

しかしサキたちとは違い自分から堕ちたようだった。

ジーアスの素晴らしさを語るに連れて性的興奮を覚えるほどジーアスを溺愛しているようで、サキたちに一通りの情報を吹き込むと艶やかに呟く。

「あぁ、ジーアス様。またあなた様の配下が増えました。存分に使ってください……そして私も……あぁ」

サクラもまた狂信者のような目で何もない空間を見つめていた。







好きな人のことを語るほど性的興奮を覚えるってありますよね。

おまわりさんこの人です。

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