4話
もう少し展開をはやくしたいと思います。更新遅れ気味ですが頑張ります
男たちは黙々と階段を下りていく。
「とりあえずいつもの部屋にこいつを寝かせて、後は調教師に任せるか」
「そうだな。ジーアス様に会いたいが……俺たち程度にはもうあってくださらないだろうな」
「ああ、あのお美しい姿。もう一度拝見したいもんだぜ」
男たちはジーアスという人物に酷く執心のようで、サキを連れて行く間もずっとその話題でもちきりだった。
話の中でわかったのは、教団はジーアスという美人が教祖になってから、急に繁栄し始めたらしく、何らかの手品か催眠術で不思議な奇跡を起こすそうだった。
狂信者の集団ではよくある話かな。当てにならないと思うけど一応警戒はしておこう。
サキが慎重に情報整理を行っていると、男たちの足が止まる。
「今回はここでいいんだよな?」
「でも女の子にも見えるよな……」
話を聞く限り、男と女の部屋がありそのどちらにサキを寝かせるかで悩んでいるらしい。
サキの容姿は、変装ではあるが黒髪長髪で顔も中性的であり、男にも女にも見える顔立ちだった為、男たちはサキの性別を判断するのに戸惑っているようだった。
そんな中、一人の男が閃いたと言わんばかりに言い出した。
「じゃあ今脱がせて付いてるかどうか確かめたら早いんじゃな―――――――」
しかし他の男ふたりにすぐ止められる。
「おい!ジーアス様のお膝元でそんな下品なことが出来るか!」
「そうだぞ!ジーアス様が見ていらっしゃらなくてもダメに決まってるだろう!死にたいのか?」
よほどジーアスと言う人物に執心しているらしく、皆が口を揃えて反対する。
しかしそのうちの一人からは、本気の殺意が発せられていた。
他の二人には怒っているようにしか見えないが、サキにはわかる。サキだからこそわかる殺意である。
しかしもうひとりの男がすぐにしまったという顔をして言う。
「名前からして男じゃねーか?」
「「………」」
「俺たちアホだな………」
どうでもいい会話の後男たちはとある部屋にサキを寝かせると部屋から出ていった。
個室に一人になったサキは、直ぐに起き上がろうとはせず、まずは監視カメラや盗聴器がないかを確認し始めた。
盗聴器や監視カメラから発せられるわずかな周波数やノイズ音を聞き取りこの部屋が監視されているかどうかを確認しているのだ。
もちろん常人にはこんな芸当はできず、その様に育ったサキだからこそできる技である。
この部屋には幸いなんの器具もなく、本当に目を覚ますまで待つだけの部屋のようで、サキはようやく体を起こす。
部屋は6畳ほどの狭い部屋で、扉の隣にトイレと水道があり端にベッドがあるだけだった。
寝かせられた子供はこの絵屋に置かれて起きる時間になると迎えが来る………俺もその調教師に調教させる手はずなのだろう。
調教というくらいだ、警戒するに越したことはないだろうとサキは判断すると再びベッドに戻り、いつも持ち歩いている武器の手入れを始める。
サキは体のいたるところに武器を隠し持っており、たとえ全裸で戦地に放置されても生き残れるほどの技術と武器を隠し持っていた。
そんなサキだが、武器の手入れには気を使っていた。というのも、サカキがずっとそう教えていたからである。
サキの武器の使い方であれば、錆一つできないが万が一の為と体裁を気にしてサカキが教え込んでいたのだ。
一通り武器の手入れを終えると体内時計で約6時間ほどたっており、そろそろ調教師が来る時間になっていた。
ずいぶん時間かけちゃったけどしかたないかな。
サキはベッドに入り寝たふりを始める。もちろん周りへの警戒も怠らない。
しばらくすると部屋がノックされるが誰も返事をしない。ノックした人物はそのまま部屋に入ってくるとサキを起こすために声をかける。
「ゆうきくんおはよう。起きてるかな?」
優しい女性の声がした。
「お姉さん誰?」
まるで今起きたかのような態度で相手を見る。女性はショートカットの日本人で、サキにほほ笑みかけてきた。
「ゆうきくんだよね?私はここの教育係を知っているサクラっていうの。よろしくね?」
サクラと名乗った女性は嘘をついていた。
人間は嘘を付いたり、何か隠し事をするとき普通ではわからないよな特有の行動をする。
しかし初対面であればわからないがそんな微妙な仕草もサキは見通した。
サクラはこの教団での調教師であり、これからサキを教団に引き入れるために何らかの策を講じてくることはわかっていた。サキは警戒しつつサクラと話し始める。
初めは自分の家族の話し。自分がなぜ一人で旅をしているのか。そして何が目的でここにたどり着いたのか。サクラはサキの全てを肯定して話を聞いていくと何やらメモを取り始めた。
あらかたサキの説明を聞くとサクラはメモを閉じ家族を探すのを手伝うと提案してきた。
「私にはたくさんの教え子がいてね。みんなで探したほうがはやく見つかると思うの。どうかな?」
サキは考えた。探すと言ってもなんの手がかりもないのだ。そしてサクラの口ぶりからするにここでゆうきとして暮らす事になるだろう。
潜入しようと思っていたところだしちょうどいい・・・・・・。
「うん!僕サクラお姉さんと一緒にお父さんとお母さん探す!」
サクラは満面の笑みでサキに「じゃあ決まりね!」そう言うとみんなのいる部屋へ案内すると言い、今までいた部屋をあとにした。