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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
3/42

3話

2話連続投稿です。





サカキが死んでからも、サキは何事もなかったかのように組織と接触していた。しかし、サカキを救えなかった時、自分の未熟さに嘆いたサキは、更に知識を欲した。

形式科学、自然科学、社会科学、人文科学、応用化学様々な分野をマスターした。

もっと俺に知識があれば…………サカキを救えたのかな?―――――いや過ぎたことだ。

サキはサカキの遺体をできるだけ長く、良質な状態で保存するために自作のコールドスリープ用のカプセルに保存した。もちろん死人は生き返ることはない。それはサキが一番よくわかっていたことだ。

しかし、もしかしたらという可能性にかけることで、無意識に自分の心の支えにしていたのだ。



1年後、支持されていたオカルト教団を潰すためにサキは目標の拠点へと向かった。



この1年で調べた情報によると、オカルト教団はサカキが言っていた通り頭のおかしい連中ばかりだった。

サカキ以外にも俺が理解できない人間って存在するんだな…………。

オカルト教団ジーアス―――。後にこの教団によりサキの運命が激しく揺らぐことをサキはまだ知らない。






サキはサカキが死んだとき、自分も無意識に愛という過剰をサカキに少なからず抱いていたことを知った。

今にでも組織を潰そうと思ったがやめた。サカキの情報能力をもってしてもその末端の情報すら手に入れられていなかったことにその組織の大きさを改めて再認識したからである。

いくら自分より強い相手にあったことがないといっても慢心してはいけない。

これはサカキに嫌と言うほど聞かされたことでサキはそれを忠実に守っていた。

まだサキのかでサカキという人物は生きているのだ。

サカキ―――――。サカキは自分が殺されることまでわかってたんだね。

サカキは組織がいつ自分を始末するか分かっていたのだ。しかしどれだけ遠くから狙撃されようとも、人間離れしたサキの能力であれば容易く回避できたであろう事態である。

しかし、サカキはそこまで見越してサキの気を一瞬でも逸らせる会話を交えていたとサキは思った。

「理由はまだわからないけど、サカキの宿題はちゃんとやり遂げないとね」

サキは何かに向かって微笑むと、手元の資料に目を戻すのだった。







教団ジーアスがあるという、とある田舎町の駅の改札を出ると、空はすでに赤みがかっていた。

改札の先は丁度夕日が隠れそうで、まだ沈まんと頭だけをひょっこり出している太陽が見えていて、なんとも幻想的であった。


普通の人間はこういう景色をみて黄昏るっていうけど、何故景色によって感情がころころ変わるんだろう。とっさの状況判断では邪魔でしかないのに…………。


サキにとってサカキへの感情が特別なことは理解していた。

しかし、全ての感情を知ったのではなくまた知ろうともしていなかったためふとしたことでこのように考えてしまうのだった。

「余計なことは考えないで仕事しよう」

自分自身に言い聞かせるように駅を後にする。

街の中に入ると、田舎町と言うよりは村だった。サキは親をさがして旅をする少年という設定で情報収集することにした。


とりあえず10歳くらいの設定で変装かな?


サキは特殊メイクと特殊肉体改造により身長や外見を自由に変えることができた。普段は素顔で居るのだが、仕事の時は常に変装するようにしていた。

変装したまま村の人間に救いを求める少年を装い情報を聞き回った。

組織では一番凄腕の殺人鬼でも、傍から見れば家族を心配し心の支えを探す哀れな少年そのものだった。

当然周りの人間はサキの状況に心打たれ、快く情報を与えた。

その情報をまとめると驚いた事に村全体が教団であり、村の人間は皆教団の信徒であることがわかった。

村の中にじゃなくて村自体が教団………なるほどあまり情報が流れてこないわけか―――とりあえず潜入してお偉いさんの情報を集めるところからかな?

サキは村にあるホテルで一泊し後日入団する方法を模索しようとホテルへ向かおうとした時ふと気配を感じた。

尾行は初めてにしては手馴れており、常習犯のようで迷いなく近づいてくる。

人数は3人………もしかしたら教団のメンバーは誘拐した子供も含まれる?

サキはそう睨むと誘拐されたふりをして潜入しようと考えた。すると尾行していた男3人はあっという間にサキを囲んだ。

「やあぼうや、こんな時間にこんなくらい道で何をしているんだい?」

気さくに声をかけてきたのは中年くらいのヒゲを生やした男だった。

「あ、僕ホテルに………泊まりたくて―――」

「おお!丁度いいところに出会ったね!実はおじさんたちもホテルに向かうところだったんだよ~。よかったら一緒に行かないかい?」

なるべく警戒されないように笑顔で話しかけてくる男達は少しづつサキとの距離を詰めながら逃げ道をふさいでくる。

本当に手馴れてるなぁ……。

サキはそのまま状況に流された子供のように装う。

「うん!僕まだここに来たばかりで道に迷いながらだったから。おじさんたちと一緒にいきたい!」

「おー!じゃあ一緒に行こうか!ぼうやの名前はなんて言うんだい?」

さりげなくとなりに並んできた男が名前を聞いてきた。サキは予定していた通りの名前を答える。

「ぼくゆうきっていうの!お父さんとお母さんがつけてくれた大好きな名前だよ!」

あたかも両親が大好きで本当に無邪気な子供を演じると、男は嬉しそうにぽけっとから飴を取り出すとサキに渡した。

「実はおじさんにも子供いてね~、たくさんお菓子を持っているからゆうきくんにも一つあげよう!」

「わー!ぼく飴さん大好き!おじさんありがとう!」

明らかに怪しいが子供は無邪気だ。なんの疑いもなくサキはその飴を食べると再び男達と歩き出す。

男達は目線を合わせるといやらしい笑みを浮かべホテルへと向かう。確実にホテルへ向かっているはずなのだが、普通では気づかないほど微妙に遠回りをするルートを選んでいるのだ。

そしてホテルまでもう少しという時サキは急に足を止めた。

「おや?どうしたんだい?」

男達は心配そうな顔でサキを見る。しかしサキは何も答えずそのまま座り込んで眠ったかのように動かなくなった。

「ゆうきくん?ゆうきくん!?」

サキの体を必死に揺さぶる男達はしばらくしても反応がないサキを確認すると嫌な笑みを浮かべた。

「まさかホテルにつく前に効いてくれるとはな」

「まあ、まだ子供だしな。とりあえず本部へ連れて行こう。こうなると6時間はそのまんまおねんねだからな」

3人の男達はご機嫌そうにサキを担ぐとホテルとは反対方向へ歩いていった。

4人目の意識がある事に気づかずに………。






男達はなるべく人目につかない狭くて薄暗いへ進みながら雑談をしていた。

彼らの話によると、彼らは教団の一員で間違いなく、こうして女子供を拉致し教団の一員になるように催眠や調教をして信徒を増やしているようだった。

教団では教徒様という存在がいて、その人物を筆頭に動物と動物の遺伝子操作をし、キメラのような化物を作り出したり、信徒達にお金を集めさせ人体事件や奇怪な儀式をしているようだった。

確かに放っておいたら何をしでかすかわからない危険因子だ……。

男達に運ばれながらもサキは意識があった。正確にはあの飴には一種の睡眠薬が入っており、気づいていたが毒の効かないサキはなんのためらいもなく口に放り込みこうして眠っている振りをしていたのだ。

男達は村のはずれにある小さな小屋に入ろうとする。

「こんばんは~」

男の一人があいさつをすると小屋の中からまだ若い女性の声が聞こえてくる。

「迷える子羊は?」

「ジーアス様のご加護により幸福に」

合言葉により小屋の扉は開かれ、顔は見えないが女性が男達に問いかけその答えによって対応を変えているようだった。

「今回はやけに早いわね」

年沸かそうな女性はそう言うと小屋のあかりを付けソファーに腰掛けると男達もサキを抱き抱えたままソファーに座る。

「いや、やけに素直な子でな。何でも両親をさがして旅しているそうだが、心の拠り所を探してたっていうところか?声かけたら喜んで付いてきたぞ」

飴を渡した男がサキと話していたときとは打って変わって悪人顔で女と会話する。

小屋の中は6畳程と狭く、床の一部が鉄という謎の構造だった。

部屋の中を気づかれないように探っていると

、女は鉄の床の方へ移動する。すると鉄の横の床が一部開き暗証番号を入力する仕掛けが出てきた。暗証番号を打つと鉄の部分がズレ地下への階段が出てきた。

教団は以下に本部を作っていたのか………どうしで情報が少ないわけだよね。

女が通路を確保すると、男達はサキを連れ中へ入る。すると扉は自動で閉じ、代わりに足元のライトが点灯し奥の方までぼんやりと照らし始めた。

このままで大丈夫かな?―――。

サキは少々警戒しながら男達の行動を監視した。



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