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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
21/42

23話

よろしくお願いします。






街へ入ると初めに目に入ってきたのは街の中心に建っているであろう、王城だった。


「ひえ~~~!」


「これはすごいですね………。私達が封印される前は城壁すらなかったのにここまで発展するなんて……」


女神達は封印される前もこの街に一度来たことがあったらしい。しかし外壁は愚か家すらもろくに建てられてなかったというのだ。

それだけでも人間の進化は目まぐるしいですねとアクエルは少し嬉しそうで、しかし寂しそうな顔もしていた。


兵士に聞いた通り大通りを歩いていく。

そのまま冒険者ギルドへ向かうサキに声を掛けるものがいた。


「行商の街クリエストへようこそ!お兄さん見たところ商人さんみたいだけど宿はもう取った!?」


そう声をかけてきたのは明るい笑顔が代名詞ですと言わんばかりの笑顔に薄緑のショートヘアーの女の子だった。


「いや、まだこの街には着いたばかりで何もわからなくってね~」


困ったよ~と少し残念そうな顔をするサキに女の子は嬉しそうにする。


「じゃあじゃあ!私のお店においで~!ご飯も美味しいいし、お部屋も綺麗!ほら!選ばなきゃ損なことばっかりだよ~!」


ぐいぐい腕を引っ張ってくる宿屋の女の子。

しかし女神達はいい顔をしなかった。


「なんですかこの人間はー!ユキ様に偉そうに!」


「そうねえ、私も不本意だわ……。まあ子供のすることだから仕方ないけど」


別にステータスカードを作ったら野宿でもいいんだよなぁ………。外にシロ待たせてるし。


そんなことを考えていると大通りの手前にある、清潔感のある建物の前まできていた。


「おかあさーん!お客さん一人捕まえたよ!」


すると店の奥からグラマラスな体型で女の子と同じ髪の色の長髪の女性が出てきた。


「まったく、あんたまた強引に連れてきたんじゃないわよね?」


「大丈夫だよー!このお兄さんも泊まってくれるって!ね?お兄さん!」


まだ何も行ってないんだけど……。否定するのも面倒だしここまできたなら別にいっか……。


「はい~!是非お願いしますね。まだ街にはきたばかりで何もわかりませんが」


微笑み返すと何故か女性は顔を赤らめ「まぁ」と言うと店の奥へ入っていってしまった。


あ、宿屋の人なら別に催眠いらなかったかも。


サキは常に周りの人間を欺いてきたため催眠をかけ油断をさせる癖がついていたのだ。

しかしサキは考える。


この世界には精神魔法もあるって言ってたしそのうち習得したいなぁ。

異世界に来てからはあまり鍛錬もできてないし後で森にでも行こうかな……。


サキは考えていた。

この世界に来てからは知らないことばかり。そのため体の鍛錬もあまりできずにいた。

知識は女神達から聞くことが可能だが、それもだいぶ昔の情報。

ならば自らの手で調べるほかないだろうと思った。


どのみち今できることをするしかないか……。


「お兄さんありがとう!私はメイア!宿屋『ヤドリギ』の一人娘だよ!」


サキは一瞬で思考を切り替えると『ユキ』としての演技に再び集中する。


「うん、よろしくねメイアちゃん」


先ほどと同じように微笑み返すとメイアは嬉しくなったのか、サキの顔をじっと見てきた。


「お兄さんの名前はなんていうのー?あ!私のことはメイアってよんでいいよー!普通のお客さんにはちゃんづけで呼ばれてるけどお兄さんはなんかいい人って感じがするからサービスね!」


ウインクをして少し恥ずかしそうにするメイア。


「僕の名前はユキっていうんだ。改めてよろしくねメイア」


「うん!よろしくねユキお兄ちゃん!」


メイアに腕を惹かれたまま宿屋『ヤドリギ』に入っていく。

内装はとても落ち着いた空間になっていた。

カウンターの後ろには沢山のビンが入れられており、カウンターの横には丁寧に手入れされた何かの花が飾られている。

飾られている花の前には食事ができるスペースがあり、テーブルや椅子は手作りなのか少し拙い部分があるが逆にそれがいい雰囲気を出していた。

椅子の背もたれには『ヤドリギ』という文字が刻まれていた。

食堂のスペースの隣には細い階段があり、おそらく二階には寝室があるのだろう。

すると食堂とは反対側の扉から先ほどの女性が出てきた。

するとメイアはまだ仕事があるからと街の方へと走って行ってしまった。


「すいませんうちの娘が……。本当は強引に連れてこられたのではないですか?」


「いえ大丈夫ですよ、それよりもお部屋をお借りしたいんですがおいくらでしょうか?」


お優しいんですねよ微笑むと女性は何やらメニュー表を出した。


「一応3コースありますがどのコースに致しますか?」


ああ、この世界の言語はわかるけど読み書きはまた別なのか………。

これも要勉強かな……。


正直に言うとまったく読めなかった。


「すいません。僕は東の国出身で……。まだ読み書きが不安なんです。もしよろしければ教えていただけませんか?」


すると女性は快く承諾してくれた。


「行商の方は勉強熱心だと聞きますけど本当なんですねえ」


あのあとコースは口答で教えてもらったところ、一番植えのコースは一週間コース、二番目は一ヶ月コース、三番目は一年コースということだった。

とりあえずは一週間コースでお願いしたところねdなんは先払いで銀貨八枚だった。

そのまま食堂横の階段を上がり、部屋に案内された時メイアが子供の頃に読んでいたという絵本と少し難しいかも知れないけどといいながら魔法の基礎本も貸してくれた。


「じゃあ、何かあったら下にいるので声をかけてくださいね」


「はい、ありがとうございます」


ようやく一人になれたと思ったところでずっと後ろに隠れていた女神達が出てきた。


「ユキ様の演技力には目を見張るものがありますね………」


「ホント!私も今までのユキ様?本当に?って思っちゃった~」


そういえばついてきたんだった。


「これからどうするんですか?」


するとアクエルがサキにこれからの予定を尋ねる。


「とりあえず読み書きをマスターしようと思うから座学かな。それに行商人が読み書きできないっておかしいからね」


「確かに……。基礎は同じですが私達が封印されていなかった頃はもっと簡単な文法だった気がしますが………」


「まあ時代の流れってやつだね~。とりあえず半日くらいは本読んだりしてると思うから目立たないように外を観光してきたらどうかな?」


少しでもストレスを減らすために気分転換にと思って言ったことだったのだが、女神達の反応は劇的だった。


「「いいんですか!?」」


「う、うん。いいよ」


アクエルは冷静な顔を装ってはいるが、内心の嬉しさを隠しきれないでいた。

フレイアはというと、嬉しさのあまり部屋中を飛び回ってベッドにダイブ。

よほど嬉しかったのだろう。


「久しぶりの人間観察ですね」


「わーい!人間の発展具合を見るのって楽しいよね~。まさかこんな大きな街を見る機会があるなんて思わなかったけど!」


二人は、はしゃぎながら外へ出ていった。

暫くの沈黙の後、部屋に居た『駆け出し行商人ユキ』は消え、一人の暗殺兵器に戻る。




「煩かった………」




一人になったことで十分に警戒しユキからサキへ戻ると、借りていた本をパラパラとめくっていく。

数十分もしないうちに謎の機械音声が頭の中に響く。


『スキル『言語理解』を入手しました。言語理解を語学能力に統合します………。成功しました』


絵本を読んだだけで、普通は言語理解等不可能である。

しかしサキは様々な国の言葉をマスターしておりある程度の文法や法則がわかればすぐに理解することができた。



にしてもスキルって簡単に入手できるものなんだ……。

あまりたくさんあっても面倒くさいからどんどん統合して欲しいんだけどなぁ。


そう思いながらも隣にある魔法の基礎本を手に取ると今度はそれを読み始めた。

基礎本には本当に魔法の基礎のみが書いてあった。

この世界では魔法のスキルを持っていれば魔法は使えて当たり前だが、別の職業の人間でも基礎知識やただ火をおこす程度の魔法は使えるらしい。

魔法とは、自然エネルギーを、魔力を使用して吸収し、それを自分のイメージに変えて放出するのだそうだ。

しかしサキはイメージしただけで魔法を使うことができていた。

本によれば魔力の消費をしているはずなのだが、サキにはそんな感覚はあまりなかった。


本当にファンタジーって理解できないことが多すぎるなぁ。


水刃もそうだが、自分でイメージした魔法に名前をつけることで自分の中に明確なイメージが出来上がり、最初から魔法を構築しなくてもそのイメージを顕界できているようだった。

しかしこれは女神の特殊なスキルを持つサキだけが可能なことであり、他の人間は魔法を使う場合はイメージだけでは魔法を発動する事は愚か、イメージを顕界することも不可能である。

もちろんそのことをサキは知る余地もない。

更に普通の人間は魔法を使う場合は杖が必要だと書かれている。

これだけでサキは異質だと言えるだろう。


「女神は別として………。魔法を使うには杖が必要なのか」


ならば人前で杖なしに魔法を使うのは目立つ行為である。また女神達は無詠唱で魔法を使えることがおかしいとも言っていた。

ならば魔法名を考えていちいち口にしなければいけないだろう。


面倒だけど仕方ないかな………。


サキは火魔法と水魔法は最上級まで入手していただ知識がなく宝の持ち腐れだと思っていた。

更にステータスカードを作る際そのようなスキルを持っていれば目立たないわけがなかった。

なんとかしてステータスを隠蔽できないかサキは考えながら本を読む。

一通り本をと見終わった為サキはいつものように武器の手入れに入る。

使っていない武器もしっかり手入れをしなければ痛むのだ。

武器の手入れをしながら更に考える。


ひとまずは森とこの街を行き来して整形を立てつつステータスカードを偽装する方法を見つけたほうがいいのではないかと。


武器の手入れを終えたサキは、『行商人ユキ』へ戻ると下にいる女将へ本を返しに行く。


「あら~ユキさんじゃない。ご飯にするかしら?少し遅いけどこれから作るから大丈夫ですよ」


「いえ、本を読み終わったので―――――」


「早いですねえ~。流石行商人さんは頭もいいんですね」


「お姉さんのおかげで少しは読めるようになりました」


すると女将は手を振りながら恥ずかしそうに答える。


「いや~お姉さんだなんて……。サリアでいいですよ」


「はい、ではサリアさんと呼ばせていただきますね。僕に対して敬語は不要です」


微笑みで返すとサリアは頬を染めるとご飯の支度があるからと慌てて厨房へ向かった。

なんだかわからないままサキは部屋に戻る。



その日は部屋の中で魔法の練習をして夜明けが来るのを待つ事にした。











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