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異世界でも殺し屋さん?  作者: なきもち
17/42

19話




女神達の元へ戻ると。サキが来ている服に驚かれた。


「ユキ様!?その服はどこで…………調達なされたのですか?この辺にはまだ村も町もないはずですが……」


「分かりました!きっと駆け出し行商人から――――」


「フレイア!」


冗談よ~と言いながらもアクエルに口を塞がれるフレイア。


よかった。どうやらこの世界の行商人の服と判断される出来には仕上がったみたいだ。


サキは誤解を招くのも面倒なので説明を始めた。


「うん?勘違いしているみたいだけど、これは返送のための道具でさっき作ってきたんだよ」


「私達がのんびりお風呂に入って仮眠を取っている間にですか?」


「流石ユキ様だわ………」


フレイアはすごいすごいと口にしながら自分のことのように喜んでいた。

しかしアクエルは納得がいかなかった。


「しかし布を作るということはそれ相応の技術と材料が必要なはずです。ユキ様の技術であれば服を作ることなど容易とは思いますが材料はそう簡単にいかないのでわ?」


そう、この世界での布の価値は説明した通り、スリーピーの壊滅的減少によりとても高くなっており手に入れるのは容易なことではなかった。

それこそこの世界にきたばかりのサキに買ってくることなど不可能だと思ったのだ。


流石に的確な指摘だ。


常人であればこの短時間で綿を糸にし、布を縫い上げるのは不可能である。

しかしぎこちないながらも即席で布を編めるのも昔からそういうことをさせられていたからだったのだがそこまで説明する必要はないと思った。


いつもどおり温和に行こう…………。


「的確な疑問だけど、これは普通に綿を加工して適当に安打だけだからね~。評価してくれたのは嬉しかったよ。ありがとう」


笑顔を浮かべながら二人を見るが、アクエルの方を気づかれないように観察する。

アクエルの疑問は少し残っていたものの、「まあユキ様ならありえそうね………」と言いながら一人で納得していた。


アクエルはまだ『ユキ』の事を疑っているみたい………か。もしかしたら初めての失敗かもしれない。


サキは考えていた。

初めの出会いの時にもう少し温厚に接していればもう少しマシな関係になったのではないかと。

しかしもう過ぎた事である。サキはこのことを次に活かす為に思考を重ねる。

女神達が同行する以上行商人の演技のことは説明しなければならない。

しかし。


説明が面倒出し…………どちらも温厚で温和な性格の設定だから大丈夫かな?


相変わらず面相は避けたいサキだった。

考え事をしているとふいにフレイアが声をかけてきた。


「ユキ様~。その服は行商人の服と言っておりましたが、行商でも始めるおつもりなのですか?」


「そうだよ。一応駆け出しの行商ということで町にも入りやすくなるかと思ってね~」


「そうなんですね!………あ、それから……」


「ん?」


「いえ!何でもありません!」


何かを言いかけていたフレイアだが、その動きからは申し訳なさと恥ずかしさの気持ちが感じ取れた。

しかし何かもじもじしながらサキを見たりアクエルを見たりするフレイアを見かねたのかアクエルが救いの手を差し伸べる。


「ユキ様。フレイアは身分証のことを気にしているのではないでしょうか?」


「ア、アクエル!?」


サキにバレないようにアクエルはフレイアにウインクを入れる。

もちろんバレバレであるがサキは気づかないふりをしつつ身分証の話しを振った。


「もしかしたらと思ったけど、この世界って行商するにも身分証とか必要になるの?」


フレイアはバツが悪そうにその場に浮いていたのでアクエルが答えた。


「あい。ユキ様はこの世界に来て間もないので知らなくて当然だと思いますが……」


アクエルの説明によると、この世界にはゲームのようにそれぞれステータスが存在する。

そしてそのステータスをカードに移したカードが身分証となるそうだ。

それらはステータスカードと呼ばれ特殊な加工を施しているらしく偽造できないように冒険者ギルドや商業ギルドでしか作成できないらしい。

偽造する裏ルートもあることはあるらしいがもちろんサキにはそんな宛はなかった。

その厳重性からステータスカードの信頼性は高いそうだ。


「じゃあ俺もその、ステータスカードっていうのを作らないといけないんだね」


「そうなります。しかし行商に関してはスリーピーの綿という貴重な素材もありますし稼ぎには苦労しない思います」


別に本格的に稼ぎたい訳じゃないけど………。いいカモフラージュではあるかもしれない。

それと同時に目立つようになっても困るんだよねえ。


サキはこの世界のことをまだ知らない。それなのに突然目立ってしまっては面倒事に巻き込まれると踏んだため、貴重なものはごくわずかしか売らないことにした。

その後も移動しながらこの世界の通過の話しや魔物を倒した時のドロップの話しを聞いた。


「つまり………魔物を倒しまくれば別にお金には困らないってことでいいのかな?」


「はい。それであってますが、魔物にも沢山の種類があります。その辺の雑魚をどれだけ倒しても大したお金にはなりませんね」


なるほど………。初めに軽く説明はされていたがそこまでめんどくさいのか……。

つまりゲームみたいに強い敵を倒せばレア率の高いドロップやお金のレートも上がるようだった。


そう考えると魔物を殺しまくったほうが効率がいいかもしれないね。


そこまで考えているとアクエルが続ける。


「ですが、ただ強い魔物を討伐するのは勿体無い時もあります」


「それは?」


「はい、この世界には先程説明下冒険者ギルドという組織が存在します」


これまたゲームやファンタジーがそのままテンプレされていると思った。


「その冒険者ギルドで冒険者登録でもしたほうがいいかな?」


「察しがよろしいですね。その通りです。冒険者になると、国滅亡の危機や世界の危険になった場合強制ではありませんが極力戦闘に参加することになります。更に最高ランクの冒険者になると国単位に雇われたりもするので其の辺は面倒かもしれません……。ですがその恩恵はもちろんあります。例えば宿屋の値段が安くなったり。冒険者ギルドの依頼をこなす事で討伐ならば魔物を倒したドロップとその依頼報酬の両方をゲットできたりします」


「なるほどね。だから登録してから倒しほうがいいんだね」


「はい」


つまり………先に大きな町か国へ行き、冒険者登録してから色々散策したほうが効率もいいということだろう。

そうと決まれば行き先は変えたほうがいいのだろうか?


「冒険者ギルドは大きな国や町にしかないの?」


「はい……恐れながら私達が進めた町には冒険者ギルドはありません…………」


とても申し訳なさそうに謝るアクエルだがサキはそこまで気にしていなかった。


「じゃあ先に冒険者ギルドがある町へ向かおうか。あと、フレイアもこっちにきて一緒に話しをしよう?」


首をかしげてフレイアのほうを向くとフレイアは顔を真っ赤にしてサキの元まで飛んできた。

何をそんなに赤くなっているのか分からなかったが知る必要もないと思った。


「それとアクエルはもう少し敬語なくてしてもいいんだけどね~」


誰のせいよといった顔で見てくるが気づかない振りをする。


それに俺のせいって言われても困るんだけどなあ………。


「分かりました。極力直します」


「ありがとう」


「後は通貨に関してでしょうか」


「うん」


「通貨には種類があります。銅貨・銀貨・金貨・鋼金貨の4種類です。鋼金貨は滅多に出回ることがないのですが、それぞれ銅貨1000枚で銀貨1枚。銀貨1000枚で金貨1枚。金貨1000枚で鋼金貨1枚となります。宿屋に一泊で表すと場所によりますが銅貨100枚くらいですね」


「なるほどね」


そういえばアイテムボックスに結構コインとか入ってた気がするけどそれかな?


通貨と魔物討伐に関しては後から考えることにしたサキは冒険者ギルドのある街へ向かうために二人に質問する。

するとアクエルの顔は曇っていたが答えてくれた。


「以前お話した港町ですが………実はそれよりも近くに街……というよりは国があります」


「何か理由があるんだよね?」


そう、今更隠し事など無意味とわかっているアクエルがあえて言わなかったということはそれ相応の理由があるのだろう。

するとアクエルは曇った表情のままサキを見ると恐る恐る答える。


「その国へ向かうには森を通らなければならないのです………しかも結構深めの場所を……」


「その森が何か問題でもあるのかな?普通に歩いていけそうだけど」


すると今まで黙っていたフレイアが真面目な顔で話し始めた。


「いえ、あの森の危険度が高すぎて普段は誰も近寄らず狩りをするにも本当に浅い場所でだけなんです!……それにグレム達ですら浅い部分を集中的に狙っていて、迷った人間や行商を襲っていたんですよ……」


それの何が問題なのだろうかと思ったがふたりの話を聞く限り本当に危険と言われているところなのだろう。

そのためサキや自分たちの身を守るためにわざわざ離れた街を提案したのだそうだ。

しかしサキの意見は二人とは違った。


「じゃあその森を超えていこうか」


「うんうん、やっぱり迂回したほうがいいですよね~~…………」


「「ってええええええええええええええええええええ?!」」


2人の声が重なった。


「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆユキ様聞いてました!?この森に生息する魔物は皆化物級で一歩間違えれば全滅もありえるんですよ!?」


「そうですよおおおおおお!私まだ人間たちに復讐してないんですよおおおお!!」


二人共本音がダダ漏れだった。


「フレイアは人間に復讐したいって言ってたけど、その人ってまだ生きてるの?」


「!?」


しまったと言わんばかりに口を両手で塞ぐが遅かった。


「フレイア、観念してユキ様にお願いしてみなさいよ」


さっき言いかけたことと何か関係があるようでサキはフレイアが喋るまで待った。

しばらく時間が経った頃。落ち着いたのかフレイアはようやく重い口を開き始めた。


「私……。前にもお話したんですけど人間に裏切られたんです………」


そしてアクエルに話したように自分の経緯や、神々の禁忌を犯したことも全て話した。

神々のルールを破ったフレイアのことをサキは嫌いになってしまうのではないか。

それともそんな危険因子は直ぐに排除されるのではないだろうか。

そんな不安が二人を襲う。

そんな考えが抜けずにフレイアの目からは涙が溢れ出ていた。


「ごっ…………ごべんなざい……やっばりっぅぇっぐ………こんなの面倒くさいでづよね……だいじょうぶで―――――」


しかしそこまで話しを聞くとサキは2人の予想の斜め上の返答をした。


「俺が殺してあげようか?」








また少し忙しくなってきましたががんばります。

誤字脱字すごいですがちょっとづつ直して行きたいと思います。

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