教会での暮らし
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七瀬礼二、彼がレイ・ナナとしてこの世界に召喚されて7年が経過していた。
「また魔法見せてよ!ジャン兄ちゃん!」
「しょうがねえなぁ、よく見とけよ?」
背負っていた薪の束を下ろし、木の近くに行きナイフで表面を削って的を作るとレイの近くに行き、人差し指を的に向けると指先から一筋のとても細い雷が出て、的のど真ん中に当たる。
「すげええええ!」
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「ねえねえ、どうやったら魔法使えるの?」
「じゃあ教会のドア開けてくれたら教えてやるよ」
「?…良いけど」
レイがドアに手をかけた瞬間、ジャンはニヤッと笑う。するとレイの手にビリっと静かな電流が走る。
「痛ってー!!」
「ふふふ、名付けて「静電気」だ」
人差し指で雷をビリビリさせながら得意げな顔で答える。
「格好よくねえよ!シェリー姉ちゃんに言いつけてやる!」
「あっ汚えぞ!待てレイ!」
薪をどこに下ろすか悩み、結局その場で下ろして少し出遅れてレイを追い掛け、シェリーのいる台所に走る。
「あぁレイ、薪拾いお疲れ様…どうしたの?」
「おかえりー!!」
シェリーのお手伝いをしている5歳の少女、エマが太陽の様に元気いっぱいにレイを迎える。
シェリーは料理をしている手を止めてから振り返ってレイの目線に合わせてしゃがんで微笑む。
「ジャン兄ちゃんに意地悪された」
ジャンが来る方に指を指す。
「レイお前!…ゲッ…」
台所に着き、シェリーの姿を見て血の気が引いて顔が真っ青になる。
「あんたイタズラに魔法使っちゃダメだって神父様と約束したでしょ!?」
「痛っ」
ジャンの頭にゲンコツが飛ぶ。
端で見ているエマは声に出さずに痛そーっと呟く。
「ほら、レイに謝んなさい」
「ごめん、なさい」
「ジャンの事許してあげる?」
レイの頭に手を置くシェリー。
「姉ちゃんが怒ってくれたから許す!」
「だってさ、ジャン」
今度はジャンの頭を撫でるシェリーとそれを真似して切る前のリンゴを撫でるエマ。
「じゃあレイ、今度は本当に魔法の使い方を教えてやるよ」
「本当!?」
「エマも来るか?」
「良いの?」
親指をしゃぶりながらシェリーの方に顔を向けて見上げる。
「うん良いよ、いってらっしゃい」
エマの頭を撫でる。
「そうと決まればさっきの場所に行こうぜ!」
「いえーい!」
走って教会を後にする三人を見送るシェリー。
「終わった?」
「あっ神父様戻ってたんですか?」
「ああ、いつも悪いねこういうのは僕がやるべき事だと分かってはいるんだけど」
「良いんです。あの子たちには母親みたいな存在が必要なんだと思うんです」
「ありがとう、シェリー」
「ふふっ」
恥ずかしそうに笑うシェリー。
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教会の前の木の前についた二人はさっきのように木の表面をナイフで削り、的を作る。
「いいか、魔法を使うにはイメージと魔力の練り方が大事だ、やってみな」
「うん」
「ンギギギギ」
顔をトマトみたいに真っ赤にして力を振り絞るが何も出る気配はない。
「はぁ…」
「ははは、やっぱりお前にはまだ早いかもな」
「…!」
突然何かを思い出し、ジャンに質問をする。
「ねえジャン兄ちゃん、さっきの静電気って前にもやったことあったっけ?」
「いや、さっき初めて使った魔法だけどそれがどうかしたか?」
「なんか、前にもあれを食らったことがある気がするんだけど…」
「気のせいだろ、そういうのなんて言うんだっけ?デジャブって言うんだっけ?」
「でじゃぶー?」
「何それ」
「神父様が言ってた、初めてのはずなのにどっかで見た事あるみたいに勘違いするってやつ」
「でもなんか見た事ない場所で僕が変な服着てたんだよね」
「じゃあ神父様に聞いてみるか、何か知ってるかもしれない」
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「と言う事なんだけど神父様、なんか知ってる?」
一瞬驚いた顔をするがすぐにいつもの優しい顔に戻る。
「ごめんね、僕にはわからないな」
「なーんだ神父様も知らないのか、じゃあレイの勘違いだったんじゃない?」
「うーん、そうなのかなぁ?」
「そうだ」
急に話を逸らし、エマの両耳を両手で塞ぎながら小声で話す神父。
「エマの誕生日が明日なんだ、だからみんなで街に行って何か買いに行かないか?」
「「行きたい!」」
次あたりで物語が動くと思います。近いうちに投稿します。




