アルバートを探して
遅くなって申し訳ない。途中まで、改稿がはいっております。
「アルバート、じゃと? 」
そうそう、誰なのさ。
「アリシアよ、どうして急にそんなことを聞いて来たんじゃ? 」
「これ、わたしてってたのまれたの」
さっと手に持っていた紙を差し出す。
…それにしても、舌が回らないなあ。上手くしゃべれないのが気に食わない事、気に食わない事。おじいちゃん達は焦らなくていいって言うけれど、前世の記憶があるだけ余計、ね。…ひらがな表記で読みにくいって? 文句は私じゃなくて作者に言ってよ。
「そうか、そうか。手紙、かの。持ってきてくれてありがとうな」
おじいちゃんは、にっこり笑って私の頭を撫でた。…あれ? どうしておじいちゃんがお礼をいうのかな?
「おじいちゃん、アルバートさんのことしってるんですか?」
「ふふ、知ってるも何もわしの事じゃからな」
わ・し・の・こ・と!!
まあ、考えれば分かることか。他にエミアさんが知ってそうな人いないもんね…
「しょうがないと言えばそうなんじゃが… まあよい。誰からかのう?」
ちょっと不満げにした私の頭をポンポンと撫でつつ、おじいちゃんは折りたたまれた紙を開いた。
つらつらと文字を追う彼の顔をなんとげなく眺めていると、おじいちゃんの丸眼鏡の下を涙がつたって行くのが見えた。
「どうしたの、おじいちゃ…わっ 」
慌てて駆け寄ると、ぎゅっと抱き寄せられた。
「アリシア…、…アリシアは、愛し子じゃったんじゃな…」
私を痛いほど強く抱きしめたおじいちゃんの声は少しかすれていた。驚いて、なのかそれとも嬉しいのか。もしかしたら、悲しいのかもしれない。…でも、どうして?
「…おじいちゃん?」
そう問いかけると、私の髪に顔をうずめたおじいちゃんの腕にはさらに力がこもったような気がした。
「愛し子は、王都の神殿で生涯を過ごすことになるんじゃよ…」
なん、だと!!
王都、それは人・富・名声と闇が集まる場所。神殿、それは有象無象が蠢く場所。
おうふ。
神よ、私に安寧をもたらしてくれるのではなかったのか。
…そこまでは言ってない? 知らないよ。
だって、だってぇ。腹黒狸さんとは仲良くしたくないって、前から、あれほど…
くうう、かくなる上は、秘儀! 王族と仲良くなる! 愛し子って特異な存在だろうから、それで王都の神殿の管轄になるんだろうし、王族と会う機会位あると思うんだよね。聞いたところによると、今、王家には私より1つ上の王子がいるらしい。年が近いならなおさら、ね。
私がタヌキさん達と戯れたくないのって、ありもしない理由付けて追い落とされたくないから、なんだよ。
そこで秘儀が役に立つ。一つ上の王子って言うのが王太子、つまりお世継ぎな訳だ。…優秀な王族に取って代わられることもあるらしいけど。まあ、ひどい性格してても調きょ…げふんごふん、なんだ、矯正?すればいい。
んで、彼とお友達になっておけば後ろ盾ができるし、タヌキさんたちは王子と縁をつなぐために私にゴマをすりに来る。
ただ、相手をしているうちに仲間だと思われたら困るから、適当にあしらわなくちゃいけないけどね。
そえで、わざと考えないようにしてたんだけど、王都に行かなくちゃいけないってことは、おじいちゃんとノルさんと別れなくちゃいけないんじゃ…
サブタイトルを「~でした」にそろえることに断念…